======イグノタス・ペベリル====== =====简介===== イグノタス・ペベリルは、13世紀に生きた純血の魔法使いであり、有名な「三人兄弟の物語」に登場する三人の[[ペベリル]]兄弟の末弟です。物語の中で、彼は最も謙虚で賢明な人物として描かれ、[[死の秘宝]]の一つである[[Invisibility Cloak|隠れマント]]の最初の所有者となりました。彼は[[ハリー・ポッター]]の父方の直系の祖先であり、その血筋を通じて[[隠れマント]]が[[ポッター家]]に代々受け継がれました。 =====生平===== イグノタス・ペベリルの生涯に関する情報のほとんどは、[[吟遊詩人ビードルの物語]]に収められている「三人兄弟の物語」に由来します。伝説によれば、イグノタスと彼の二人の兄、[[アンティオク・ペベリル]]と[[カドマス・ペベリル]]は、旅の途中で危険な川を渡るために魔法で橋を架けました。その時、彼らの行く手を阻んだ[[死]]そのものが現れ、彼らの魔法に感心したふりをして、それぞれに望む褒美を一つずつ与えると言いました。 長兄アンティオクは最強の杖である[[Elder Wand|ニワトコの杖]]を、次兄カドマスは死者を呼び戻す力を持つ[[Resurrection Stone|蘇りの石]]を求めました。しかし、イグノタスは[[死]]を信用せず、**「ここから立ち去る時、あなたに追跡されないための何か」**を求めました。しぶしぶ[[死]]は自身のマントの一部を切り取り、彼に渡しました。それが、所有者の姿を完全に見えなくする[[Invisibility Cloak|隠れマント]]でした。 兄たちが[[死の秘宝]]を手に入れたことで悲劇的な運命を辿ったのとは対照的に、イグノタスは[[隠れマント]]を賢明に使い、[[死]]から身を隠して長い人生を送りました。非常に高齢になった時、彼は自らマントを脱いで息子に譲り、旧友を迎えるように[[死]]と対面し、喜んで共にこの世を去ったとされています。 イグノタスは、[[ハリー・ポッター]]の両親も埋葬されている[[Godric's Hollow|ゴドリックの谷]]の墓地に埋葬されています。彼の墓石には、[[死の秘宝]]のシンボルが刻まれており、1997年に[[ハリー・ポッター]]と[[ハーマイオニー・グレンジャー]]によって発見されました。 =====外貌と性格===== イグノタスの具体的な外見に関する記述は原作にはありません。しかし、彼の性格は「三人兄弟の物語」における行動から明確にうかがえます。 * **謙虚さ (Humility):** 彼は兄たちのように力を誇示したり、自然の法則に逆らったりするような願い事をしませんでした。彼の願いは、支配や復活ではなく、平穏に生きることでした。 * **賢明さ (Wisdom):** 彼は[[死]]の策略を見抜き、その誘惑に乗りませんでした。彼の選択は、死を打ち負かすことではなく、死を避け、自然な寿命を全うすることであり、これが彼の賢明さを示しています。[[アルバス・ダンブルドア]]は、三人の兄弟の中でイグノタスが最も賢明であったと評価しています。 =====魔法能力と技巧===== イグノタスは、[[死の秘宝]]を作り出した(あるいは[[死]]から授かった)とされるほど、非常に強力で才能ある魔法使いであったと考えられています。[[アルバス・ダンブルドア]]は、ペベリル兄弟が[[死]]と出会ったという話は伝説であり、彼らが非常に優れた魔法使いで、自らこれらの強力な魔法の品々を創造した可能性が高いと推測しています。彼が所有していた[[隠れマント]]は、通常の[[姿くらまし術]]や他の透明マントとは比較にならないほど強力で、何世紀にもわたってその効力を失うことがありませんでした。 =====重要物品===== * **[[Invisibility Cloak|隠れマント]]**: [[死の秘宝]]の一つ。所有者を完全に見えなくし、ほとんどの呪文を跳ね返すことができる、完璧な魔法の道具。このマントはペベリル家の家宝として父から子へと受け継がれ、最終的に[[ジェームズ・ポッター]]を経て、息子の[[ハリー・ポッター]]の手に渡りました。 =====人際関係===== * **[[アンティオク・ペベリル]]**: 長兄。[[Elder Wand|ニワトコの杖]]の最初の所有者。 * **[[カドマス・ペベリル]]**: 次兄。[[Resurrection Stone|蘇りの石]]の最初の所有者。[[ゴーント家]]の祖先。 * **[[ポッター家]]**: イグノタスは[[ポッター家]]の直系の祖先です。彼の血筋は、[[隠れマント]]と共に現代まで受け継がれ、[[ハリー・ポッター]]へと繋がります。 * **[[ゴーント家]]**: 次兄カドマスの血筋は[[ゴーント家]]へと続き、最終的に[[ヴォルデモート卿]]に繋がります。これにより、[[ハリー・ポッター]]と[[ヴォルデモート卿]]は、ペベリル兄弟を共通の祖先とする遠い血縁関係にあります。 =====名前詞源===== * **イグノタス (Ignotus)**: ラテン語で「知られていない」「無名の」を意味する //ignotus// に由来します。これは、[[死]]から身を隠し、知られることなく静かに生涯を終えたいという彼の願いと完全に一致しています。 * **ペベリル (Peverell)**: イギリスに実在する中世の古い姓です。この名前は、物語に歴史的な深みと由緒ある魔法族の血統という印象を与えています。 =====幕後情報===== * J.K. ローリングは、ペベリル兄弟が「三人兄弟の物語」のモデルになった実在の人物であったと述べています。つまり、彼らが実際に強力な魔法使いであり、[[死の秘宝]]を自ら作り出したのであって、物語が先にあったわけではないということです。(Pottermore) * 「三人兄弟の物語」は、ジェフリー・チョーサーの『カンタベリー物語』に含まれる「免罪符売りの話」と多くの類似点が見られます。 * 映画『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』では、「三人兄弟の物語」が独特の影絵のようなアニメーションで描かれ、イグノタスの姿もそこで視覚化されています。(映画設定)