======ウィザーディング戦争====== =====概要===== **ウィザーディング戦争** (Wizarding Wars) とは、20世紀後半に魔法界を二度にわたって震撼させた大規模な紛争の総称である。この戦争は、闇の魔法使いである[[ヴォルデモート卿]]と、彼の信奉者である[[死喰い人]] (デス・イーター) が引き起こした。彼らは[[純血]]主義のイデオロギーを掲げ、[[マグル]]生まれの魔女や魔法使い、そして彼らの思想に反対する全ての者を排除し、魔法界を支配しようと企んだ。 戦争は大きく二つの期間に分けられる。 * **第一次ウィザーディング戦争:** 1970年頃から1981年まで続いた、[[ヴォルデモート卿]]の最初の台頭期。 * **第二次ウィザーディング戦争:** 1995年の[[ヴォルデモート卿]]の復活から1998年の彼の最終的な敗北まで続いた、より激しく公然とした戦い。 =====第一次ウィザーディング戦争===== 第一次ウィザーディング戦争は、およそ1970年から1981年10月31日まで続いた。 * [[ヴォルデモート卿]]が権力を掌握し、[[死喰い人]]を率いて魔法界に恐怖をもたらした。彼らは[[許されざる呪文]]を公然と使用し、多くの[[マグル]]や魔法使いを無差別に殺害した。 * 当時の[[魔法省]]は有効な対策を講じることができず、闇の勢力が優勢となった。 * これに対抗するため、[[アルバス・ダンブルドア]]は[[不死鳥の騎士団]]を秘密裏に設立し、[[ヴォルデモート卿]]と戦った。 * 1980年、[[シビル・トレローニー]]によって「闇の帝王を打ち破る者」に関する[[予言]]がなされた。この[[予言]]は、7月末に生まれる、闇の帝王に三度逆らった親を持つ子どもを指していた。 * [[ヴォルデモート卿]]は[[予言]]の子を[[ハリー・ポッター]]だと信じ、[[ゴドリックの谷]]に隠れていた[[ポッター家]]を襲撃した。 * [[ジェームズ・ポッター]]と[[リリー・ポッター]]夫妻は殺害されたが、リリーが息子を救うためにかけた[[愛の守り]]によって、[[ヴォルデモート卿]]の「[[アバダ・ケダブラ]]」の呪いは跳ね返った。 * 結果として、[[ヴォルデモート卿]]は肉体を失い、力を奪われた状態で逃亡した。これにより、第一次ウィザーディング戦争は終結した。 =====戦間期===== 1981年から1995年までの約14年間は、魔法界にとって比較的平和な時代であったが、水面下では来るべき戦いの火種が燻っていた。 * 多くの[[死喰い人]]が[[アズカバン]]に投獄されたが、[[ルシウス・マルフォイ]]のように[[服従の呪い]]を受けていたと主張して罪を逃れた者もいた。 * 肉体を失った[[ヴォルデモート卿]]は、霊体としてアルバニアの森に潜んでいた。 * 1991年から1992年にかけて、[[ホグワーツ]]の教授であった[[クィリナス・クィレル]]に憑依し、[[賢者の石]]を狙ったが、[[ハリー・ポッター]]によって阻止された。 * 1994年、長年ネズミとして隠れていた[[ピーター・ペティグリュー]]の正体が暴かれ、彼は逃亡して[[ヴォルデモート卿]]と合流し、主人の復活を助けた。 =====第二次ウィザーディング戦争===== 第二次ウィザーディング戦争は、1995年6月24日の[[ヴォルデモート卿]]の復活から、1998年5月2日の[[ホグワーツの戦い]]での彼の死まで続いた。 - **復活と否認 (1995-1996):** [[リトル・ハングルトン]]の墓地で、[[ハリー・ポッター]]の血を使って[[ヴォルデモート卿]]が完全に肉体を復活させた。しかし、魔法大臣[[コーネリウス・ファッジ]]が率いる[[魔法省]]は彼の帰還を公式に否認し、[[ハリー]]と[[ダンブルドア]]を嘘つき呼ばわりするキャンペーンを展開した。この間、第二次[[不死鳥の騎士団]]が再結成され、[[ホグワーツ]]では[[ダンブルドア軍団]]が結成された。この時期は[[神秘部の戦い]]で終結し、[[ヴォルデモート卿]]の帰還が公のものとなった。 - **公然の戦い (1996-1997):** [[ヴォルデモート卿]]の脅威が公然のものとなり、魔法界は再びパニックに陥った。[[ダンブルドア]]は[[ハリー]]に対し、[[ヴォルデモート卿]]の不死の秘密である[[分霊箱]] (ホークラックス) についての個人授業を始める。この時期は、[[天文台の塔の戦い]]における[[セブルス・スネイプ]]による[[ダンブルドア]]の殺害という悲劇で終わる。 - **ヴォルデモートの支配 (1997-1998):** [[魔法省]]が[[死喰い人]]の手に落ち、事実上[[ヴォルデモート卿]]の支配下に入った。[[純血]]主義が公的な政策となり、[[マグル]]生まれは迫害された。[[ハリー]]、[[ロン・ウィーズリー]]、[[ハーマイオニー・グレンジャー]]の三人は[[ホグワーツ]]に戻らず、残りの[[分霊箱]]を破壊するための危険な旅に出た。 - **終結 (1998):** 最後の[[分霊箱]]が[[ホグワーツ]]にあると突き止めた三人は城に戻り、[[不死鳥の騎士団]]や[[ダンブルドア軍団]]のメンバーと共に[[死喰い人]]の軍勢と対峙した。最終決戦である[[ホグワーツの戦い]]で、[[ハリー・ポッター]]は[[ヴォルデモート卿]]を打ち破り、戦争はついに終結した。 =====影響===== ウィザーディング戦争は魔法社会に甚大な傷跡を残した。 * 魔法界の人口に大きな被害をもたらし、[[リーマス・ルーピン]]、[[ニンファドーラ・トンクス]]、[[フレッド・ウィーズリー]]、[[セブルス・スネイプ]]、[[アラスター・ムーディ]]など、多くの著名な魔女や魔法使いが命を落とした。 * 戦後、[[キングズリー・シャックルボルト]]が魔法大臣に就任し、[[魔法省]]の改革と腐敗の一掃が行われた。 * [[純血]]主義のイデオロギーは大きく後退し、より寛容な社会の再建が進められた。 * 戦争の経験は、[[ハリー・ポッター]]の世代に深い精神的影響を残し、彼らの人生を大きく変えることとなった。 =====呼称について===== 作中では、登場人物たちは主に「戦争 (the war)」や「ヴォルデモートとの戦い (the war against Voldemort)」といった言葉でこの紛争に言及する。「ウィザーディング戦争 (Wizarding Wars)」という呼称は、これら二つの大きな紛争を歴史的な出来事として総称する際に、読者やファン、および公式の補足資料(Pottermoreなど)で広く使われている。