======グリム====== =====概要===== グリム (The Grim) は、[[魔法界]]において死の最悪の前兆とされる、巨大な幽霊犬です。その姿は巨大な黒い犬であり、墓場に出没すると言われています。[[占い学]]の教科書である『[[未来の霧を晴らす]]』にも、死の前兆として記載されています。 物語においては、『[[ハリー・ポッターとアズカバンの囚人]]』で[[ハリー・ポッター]]の運命を暗示する不吉な存在として繰り返し登場します。しかし、ハリーが目撃していたグリムの正体は、実際には彼の名付け親である[[シリウス・ブラック]]が変身した[[動物もどき]]の姿であったことが後に判明します。 =====外見と伝承===== * **外見:** 石炭のように爛々と輝く目を持つ、巨大で亡霊のような黒い犬として描写されます。 * **伝承:** [[魔法界]]の伝承では、グリムは墓場をうろつく存在とされ、これを目撃した者には間もなく死が訪れると信じられています。[[ロン・ウィーズリー]]は、自身のおじであるビリウスがグリムを見てから24時間以内に亡くなったと語っています。この迷信は[[魔法界]]に広く浸透しており、[[占い学]]の授業で[[シビル・トレローニー]]教授がハリーのティーカップの茶葉にグリムを見出した際には、クラスメートの多くが恐怖を抱きました。 =====作中での役割===== グリムは、『[[ハリー・ポッターとアズカバンの囚人]]』の物語全体を通じて、[[ハリー・ポッター]]に死が迫っていることを示す象徴として機能します。 - **最初の目撃:** ハリーがダーズリー家で[[マージョリー・ダーズリー|マージおばさん]]を膨らませてしまった後、[[マグノリア・クレセント]]で初めてグリムらしき巨大な黒犬を目撃します。この犬の正体は、脱獄しハリーの様子を見に来た[[シリウス・ブラック]]でした。 - **[[占い学]]の授業:** [[ホグワーツ魔法魔術学校]]での最初の[[占い学]]の授業で、[[シビル・トレローニー]]教授はハリーの茶葉にグリムの形を見出し、彼の死を予言します。この予言は学年中に広まり、ハリーに精神的なプレッシャーを与えました。 - **[[クィディッチ]]の試合:** [[ハッフルパフ]]との[[クィディッチ]]の試合中、ハリーは観客席にいる黒犬の姿をグリムと見間違え、その直後に[[吸魂鬼]] (ディメンター) の影響で箒から転落しました。 - **真相の判明:** 物語の終盤、[[叫びの屋敷]]において、ハリーがこれまで目撃してきたグリムが、未登録の[[動物もどき]]である[[シリウス・ブラック]]の犬の姿であったことが明らかになります。シリウスは、ハリーを守り、[[ピーター・ペティグリュー]]を捕らえるために、犬の姿で行動していたのです。[[ハーマイオニー・グレンジャー]]は、一貫してグリムの存在や[[占い学]]の予言に懐疑的な立場を取っていました。 =====語源===== 「グリム (Grim)」という名前は、イギリス、特にイングランド北部の民間伝承に登場する「チャーチ・グリム (Church Grim)」に由来すると考えられます。チャーチ・グリムは教会の墓地を守る守護霊であり、しばしば大きな黒い犬の姿で現れるとされています。この伝承上の存在もまた、死の前兆と関連付けられることがあり、作中の設定と深く結びついています。 =====幕後情報===== * 映画版『[[ハリー・ポッターとアズカバンの囚人]]』では、グリムは非常に痩せこけた、骨張った姿で描かれており、原作の「大きな黒犬」という描写よりも不吉さが強調されています。(映画設定) * グリムのモチーフである「不吉な黒い犬」は、イギリスの民間伝承で非常にポピュラーな存在であり、「ブラック・シャック (Black Shuck)」など、地域ごとに様々な名前で知られています。