====== ゴーントの指輪 ====== ===== 基本情報 ===== * タイプ (Type): [[魂器]]、[[死の秘宝]] ([[蘇りの石]]) * 所有者 (Owners): [[カドマス・ペベレル]]、[[ゴーント家]]([[マールヴォロ・ゴーント]]、[[モーフィン・ゴーント]])、[[トム・マールヴォロ・リドル]] ([[ヴォルデモート卿]])、[[アルバス・ダンブルドア]]、[[ハリー・ポッター]] * 製造者 (Maker): 不明(指輪部分)、[[死]](伝説上、石部分)または [[カドマス・ペベレル]] ===== 記述と外観 ===== 金で作られた指輪で、重々しい黒い石がはめ込まれている。全体的に粗雑な作りのように見え、長年受け継がれてきた歴史を感じさせる。 黒い石には[[ペベレル家の紋章]]が刻まれており、これは後に[[死の秘宝]]のシンボルであることが判明する。[[アルバス・ダンブルドア]]が[[魂器]]として破壊した後、石には中央を貫くひび割れが生じたが、[[蘇りの石]]としての力は失われなかった。 ===== 魔法特性と用途 ===== この指輪は、二つの強力で対照的な魔法的性質を併せ持っている。 * **[[魂器]]として:** * [[ヴォルデモート卿]]の魂の欠片を内包しており、彼の不死性の一端を担っていた。 * [[ヴォルデモート卿]]によって、指輪をはめた者を即死させることを目的とした極めて強力な呪いがかけられていた。この呪いにより、[[アルバス・ダンブルドア]]の右手は枯れ果て、彼の死期を決定づける原因となった。 * **[[死の秘宝]] ([[蘇りの石]]) として:** * 黒い石は、三つの[[死の秘宝]]の一つである[[蘇りの石]]そのものである。 * 所有者が手の中で三度回すことにより、死者の「影」や「こだま」を現世に呼び戻すことができる。ただし、呼び戻された者は完全な生者ではなく、この世に属さない存在であるため、生者と死者の双方に苦しみをもたらす。 ===== 歴史 ===== この指輪の起源は、[[ペベレル三兄弟]]の伝説に遡る。次男であった[[カドマス・ペベレル]]が[[死]]から与えられた[[蘇りの石]]を指輪にはめ込み、それが彼の家系に受け継がれた。ペベレル家の血を引く[[サラザール・スリザリン]]の子孫、[[ゴーント家]]は、この指輪を純血の家柄を証明する家宝として代々継承してきた。 20世紀初頭、指輪は[[マールヴォロ・ゴーント]]が所有していたが、彼の息子[[モーフィン・ゴーント]]へと渡る。1943年、若き日の[[トム・マールヴォロ・リドル]]は自身の出自を探る中で[[ゴーント家]]を訪れ、叔父であるモーフィンを昏倒させて指輪を強奪した。その後、リドルは自身のマグルである父親一家を殺害し、その死を利用して指輪を自身の二つ目の[[魂器]]に変えた。 [[ヴォルデモート卿]]は、この[[魂器]]を[[ゴーントの小屋]]の廃墟に魔法で隠したが、1996年の夏に[[アルバス・ダンブルドア]]によって発見される。[[蘇りの石]]の力に魅了された[[ダンブルドア]]は、亡き家族に会いたいという長年の願望から衝動的に指輪をはめてしまい、かけられていた呪いによって致命的な傷を負った。[[セブルス・スネイプ]]の尽力で呪いの進行は抑えられたものの、余命は約一年と宣告された。その後、[[ダンブルドア]]は[[グリフィンドールの剣]]を用いて指輪の[[魂器]]としての性質を破壊した。 [[ダンブルドア]]は自身の死後、石を[[ハリー・ポッター]]が初めて捕らえた[[金のスニッチ]]に隠して遺した。ハリーは[[禁じられた森]]で[[ヴォルデモート卿]]と対峙する直前、スニッチを開けて石を使用。両親である[[ジェームズ・ポッター]]と[[リリー・ポッター]]、そして[[シリウス・ブラック]]、[[リーマス・ルーピン]]の霊的な姿を呼び出し、彼らから死に立ち向かう勇気を得た。対決後、ハリーは石を[[禁じられた森]]の中に落とし、その強大な力が二度と悪用されることのないようにした。 ===== 物語における役割 ===== ゴーントの指輪は、物語の二つの主要なプロットライン、すなわち「[[魂器]]探し」と「[[死の秘宝]]の伝説」とを結びつける、極めて重要な役割を果たす。 [[魂器]]としては、[[トム・リドルの日記]]に次いで二番目に破壊された[[魂器]]であり、その捜索と破壊の過程が[[ダンブルドア]]の死の直接的な原因となった。これにより、[[ハリー・ポッター]]たちは[[ダンブルドア]]の導きなしに[[魂器]]探しの旅を続けなければならなくなる。 同時に、[[蘇りの石]]としては、ハリーが死の運命を受け入れ、最終決戦に臨むための精神的な支えを与えた。この経験を通じて、ハリーは[[死の秘宝]]の真の主となるための資質を示した。また、この指輪は[[アルバス・ダンブルドア]]の人間的な弱さや過去の過ちを象徴するアイテムとしても機能しており、彼のキャラクターに深みを与えている。 ===== 舞台裏情報 ===== 映画『[[ハリー・ポッターと謎のプリンス]]』では、[[ダンブルドア]]が指輪を発見する場面や、呪いにかかる瞬間が回想シーンとして視覚的に描かれている。原作では[[ダンブルドア]]がハリーに語る形で説明されるが、映画ではより直接的な描写がなされている。(映画設定)