======スリザリンのロケット====== =====基本情報===== * タイプ (Type): [[分霊箱]]、[[サラザール・スリザリン]]の遺品 * 所有者 (Owners): [[サラザール・スリザリン]]、[[ゴーント家]] ([[マールヴォロ・ゴーント]]、[[メローピー・ゴーント]])、[[カラクタカス・バーク]]、[[ヘプジバ・スミス]]、[[トム・マールヴォロ・リドル]] ([[ヴォルデモート卿]])、[[レギュラス・アークタルス・ブラック]]、[[クリーチャー]]、[[マンダンガス・フレッチャー]]、[[ドローレス・アンブリッジ]]、[[ハリー・ポッター]]、[[ロン・ウィーズリー]]、[[ハーマイオニー・グレンジャー]] * 製造者 (Maker): 不明([[サラザール・スリザリン]]自身、あるいは彼のために作られたと推測される) =====描写と外観===== 重い黄金製の楕円形の[[ロケット]]。表面には、緑色の石([[エメラルド]]と推測される)で蛇のように形作られた、華麗な「S」の文字が刻まれている。通常の方法では開けることができず、開くには[[パーセルタング]]が必要である。[[分霊箱]]となった後は、邪悪な魔力を帯び、着用者に精神的な苦痛を与えるようになった。 =====魔法的な特性と用途===== * **[[分霊箱]]としての特性:** [[ヴォルデモート卿]]の魂の断片を内包しており、所有者に強力な負の影響を与える。着用者は極度のいらだち、猜疑心、怒りを感じるようになる。破壊されそうになると自己防衛機能が働き、幻覚を見せたり、囁きかけたりして、攻撃者の精神的な弱点を突く。[[バジリスク]]の牙や[[悪霊の火]]など、極めて強力な[[闇の魔術]]あるいはそれに匹敵する力でなければ破壊できない。 * **[[パーセルタング]]による開閉:** [[ロケット]]は、[[パーセルマウス]]が[[パーセルタング]]で「開け」と命令することで開く。[[ハリー・ポッター]]がこの能力を使って開け、[[ロン・ウィーズリー]]が破壊する機会を作った。 =====歴史===== - [[サラザール・スリザリン]]が所有し、その死後、子孫である[[ゴーント家]]に代々受け継がれた。 - [[メローピー・ゴーント]]は、父[[マールヴォロ・ゴーント]]と兄[[モーフィン・ゴーント]]が[[アズカバン]]に収監された後、貧困からわずか10[[ガリオン]]で[[ボージン・アンド・バークス]]の店主[[カラクタカス・バーク]]に売却した。 - その後、裕福な魔女[[ヘプジバ・スミス]]が購入した。彼女は[[ボージン・アンド・バークス]]で働いていた若き日の[[トム・マールヴォロ・リドル]]に、この[[ロケット]]と[[ヘルガ・ハッフルパフのカップ]]を見せびらかした。 - [[トム・リドル]]は[[ヘプジバ]]を殺害して[[ロケット]]を盗み、後にマグルを一人殺害することでこれを自身の二つ目の[[分霊箱]]に変えた。 - [[ヴォルデモート卿]]は、かつて孤児院時代に訪れた海岸の洞窟に[[ロケット]]を隠した。彼は[[魔法薬]]、[[インフェリウス]]の軍団、一人しか通れないボートなど、数々の強力な[[防衛魔法]]を施した。 - [[死喰い人]]であった[[レギュラス・アークタルス・ブラック]]が[[分霊箱]]の存在を知り、[[ヴォルデモート]]を裏切ることを決意。屋敷しもべ妖精の[[クリーチャー]]を伴って洞窟に侵入し、本物の[[ロケット]]を偽物とすり替えた。[[レギュラス]]はこの試みで[[インフェリウス]]に殺された。 - [[クリーチャー]]は[[レギュラス]]の命令で[[ロケット]]を持ち帰るが、破壊することはできず、以来[[ブラック家の屋敷]]である[[グリモールド・プレイス十二番地]]で保管していた。 - [[不死鳥の騎士団]]が[[本部]]として[[グリモールド・プレイス十二番地]]を使用した際、掃除中に一度は発見されるが、その価値に気づかれず処分されかけた。しかし、[[マンダンガス・フレッチャー]]がこれを盗み出した。 - [[マンダンガス]]は、無許可で魔法道具を売っていたところを[[魔法省]]の役人[[ドローレス・アンブリッジ]]に捕まり、[[ロケット]]を賄賂として彼女に渡した。[[アンブリッジ]]はこれを純血の[[魔法使い]]の家系である証として身につけていた。 - 1997年、[[ハリー・ポッター]]、[[ロン・ウィーズリー]]、[[ハーマイオニー・グレンジャー]]は[[魔法省]]に侵入し、[[アンブリッジ]]から[[ロケット]]を奪取した。 - [[ロケット]]の負の力に影響された[[ロン]]が一時的に一行を離れるが、後に復帰。[[ディーンの森]]で、[[ロン]]が[[ゴドリック・グリフィンドールの剣]]を使って[[ロケット]]を破壊することに成功した。 =====物語における役割===== [[スリザリンのロケット]]は、[[ヴォルデモート卿]]の不死性の秘密を解き明かす鍵である[[分霊箱]]の一つとして、物語の後半における中心的な役割を担う。特に『[[ハリー・ポッターと死の秘宝]]』では、[[ハリー]]、[[ロン]]、[[ハーマイオニー]]の三人がこれを探し、持ち運び、破壊する過程が詳細に描かれる。 [[ロケット]]が放つ負のオーラは、三人の友情に深刻な亀裂を生じさせ、特に[[ロン]]の離脱の直接的な引き金となった。最終的に[[ロン]]が[[ロケット]]を破壊する場面は、彼の恐怖と劣等感の克服を象徴する、彼の成長における重要な瞬間である。また、[[レギュラス・アークタルス・ブラック]]が残した偽の[[ロケット]]と手紙は、彼の知られざる英雄的な物語を明らかにし、[[クリーチャー]]が[[ハリー]]たちに協力するきっかけとなった。 =====幕後情報===== * 映画『[[ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1]]』では、[[ロン]]が[[ロケット]]を破壊しようとする際、[[ロケット]]の中から[[ヴォルデモート]]の魂の断片が[[ハリー]]と[[ハーマイオニー]]の姿をした幻影として現れ、[[ロン]]の劣等感を煽るという視覚的な演出が加えられた。(映画設定)