======ダーズリー一家====== =====概要===== ダーズリー一家は、[[ハリー・ポッター]]の唯一存命の親戚である[[マグル]]の家族です。一家は、サリー州リトル・ウィンジングの[[プリベット通り四番地]]に住んでいます。彼らは魔法やその他一切の「普通でない」事柄を極度に嫌悪し、自分たちの「完璧に普通」な生活を維持することに固執しています。一家は、[[バーノン・ダーズリー]]、その妻[[ペチュニア・ダーズリー]]、そして息子[[ダドリー・ダーズリー]]の三人で構成されています。 両親を亡くしたハリーは、叔母であるペチュニアの家で育てられますが、彼らはハリーを厄介者として扱い、階段下の物置で生活させるなど、長年にわたり精神的・肉体的な虐待を加えました。物語において、ダーズリー一家は[[魔法ワールド]]の魅力や寛容さとは対照的な、偏狭で非魔法的な世界を象徴する存在として描かれています。 =====家族の歴史===== ハリーがダーズリー家に預けられる前、[[ペチュニア・ダーズリー]]は魔法の才能を持つ妹[[リリー・ポッター|リリー]]に嫉妬心を抱いていました。彼女は[[アルバス・ダンブルドア]]に手紙を書き、自分も[[ホグワーツ魔法魔術学校]]へ入学させてほしいと懇願しましたが、断られています。その後、ペチュニアはドリル製造会社[[グランニングズ]]に勤める[[バーノン・ダーズリー]]と出会い結婚し、「普通」の生活を築き上げました。 1981年11月1日、[[ヴォルデモート]]によって孤児となった赤ん坊のハリーが、ダンブルドアによってダーズリー家の玄関先に置かれました。彼らは不本意ながらハリーを引き取りますが、彼から魔法の要素を一切排除しようと試み、ハリーの出自について嘘をつき通しました。 ハリーが11歳になるまで、ダーズリー家はハリー宛に届く[[ホグワーツ]]からの入学許可証を執拗に妨害し続けましたが、最終的には[[ルビウス・ハグリッド]]の介入により失敗に終わります。その後も、ハリーは夏休みの間だけプリベット通りに戻ることになりますが、そのたびに[[ドビー]]の来訪や[[マージョリー・ダーズリー]]の膨張事件など、魔法絡みの騒動が絶えませんでした。 第二次魔法戦争が激化すると、一家は[[不死鳥の騎士団]]の保護下に入り、[[プリベット通り四番地]]を離れることになります。この別れの際、[[ダドリー・ダーズリー]]は吸魂鬼の襲撃から自分を救ってくれたハリーに初めて感謝の念を示し、和解の一歩を踏み出しました。 =====主要構成員===== * **[[バーノン・ダーズリー]]** //(Vernon Dursley)// ダーズリー家の家長。大柄で首がほとんどなく、大きな口ひげを生やしています。彼は極めて偏屈で、自分の意見と異なるものを一切認めない性格です。魔法を「常軌を逸した異常なもの」として心底軽蔑しており、ハリーに対して最も辛辣な態度を取ります。 * **[[ペチュニア・ダーズリー]] (旧姓エバンズ)** //(Petunia Dursley, née Evans)// バーノンの妻で、ハリーの母[[リリー・ポッター|リリー]]の姉。痩せていて馬のような顔立ちと、近所の様子を覗き見するために不自然に長い首を持っています。彼女の魔法への嫌悪は、かつて魔法の才能に恵まれた妹への嫉妬と、その世界から拒絶されたという感情に根差しています。 * **[[ダドリー・ダーズリー]]** //(Dudley Dursley)// バーノンとペチュニアの一人息子。両親に甘やかされて育ち、幼少期は太っていて意地悪な少年でした。ハリーをいじめることを楽しみとしていましたが、15歳の夏に[[吸魂鬼]]に襲われた経験をきっかけに、内面に大きな変化が訪れ、最終的にはハリーと和解します。 =====魔法との関わり===== ダーズリー一家は、[[マグル]]の中でも特に魔法に対する拒絶反応が強い家族です。彼らは魔法の存在を理解しようとせず、恐怖と嫌悪の対象として扱います。彼らの家である[[プリベット通り四番地]]は、皮肉にもハリーの母リリーが残した[[血の守り]]の魔法によって、ハリーが17歳になるまで[[ヴォルデモート]]から身を守るための最も安全な場所となっていました。この古代魔法は、ハリーが母の血縁者であるペチュニアのいる場所を「家」と呼べる限り、その効力を発揮し続けました。 =====名前の由来===== * **ダーズリー (Dursley)**: イギリスのグロスターシャーに実在する町の名前。作者のJ.K.ローリングは、この名前が持つ「鈍くて近寄りがたい響き」から選んだと述べています。(Pottermore) * **バーノン (Vernon)**: ありふれたイギリスの男性名であり、彼の「普通」への執着を象徴しています。 * **ペチュニア (Petunia)**: 花の名前。妹の[[リリー・ポッター|リリー]] (Lily) と対になっています。花言葉において、ペチュニアは「憤り」や「恨み」を意味することがあり、彼女の性格を暗示しています。 * **ダドリー (Dudley)**: イギリスの貴族的な姓ですが、ここでは皮肉を込めて使われています。 =====舞台裏情報===== * J.K.ローリングによれば、バーノンが[[ジェームズ・ポッター]]を特に嫌った理由は、初対面の際にジェームズが彼の[[マグル]]的な価値観をからかうような態度をとったためです。バーノンは、遺産で暮らし定職についていないように見えたジェームズを理解できませんでした。(Pottermore) * プリベット通りを去る際のペチュニアについて、作者は彼女がハリーに幸運を祈る言葉をかけ、妹の死に対する本当の気持ちを伝えようとした寸前で、長年の習慣に阻まれてしまったと語っています。(J.K. Rowling Interview) * 物語の完結後、ハリーとダドリーはクリスマスカードを交換し合う程度の関係を続け、ハリーは時々自分の子供たちを連れてダドリーの家族を訪ねることがあったとされています。(J.K. Rowling Interview)