======チャーム (呪文学)====== =====概要===== 魔呪(チャーム)は、魔法の主要な分野の一つであり、[[ホグワーツ魔法魔術学校]]では「呪文学」として教えられる基礎科目である。この分野の呪文は、対象の物体や生物の本質を変えるのではなく、それに新たな特性や能力を//付与する//ことを目的とする。 日常生活で用いられる多くの便利な呪文が魔呪に分類され、決闘においても防御や妨害に不可欠な役割を果たすなど、その応用範囲は極めて広い。 =====定義と性質===== 魔呪と[[変身術]]の最も重要な違いは、その作用の本質にある。呪文学の権威である[[フィリウス・フリットウィック]]教授によれば、魔呪は対象が//何をするか//を変える魔法であるのに対し、変身術は対象が//何であるか//を根本的に変える魔法である。 * **例:** パイナップルにタップダンスをさせる呪文は、パイナップルという物体の本質を変えずに「ダンスする」という能力を付与するため、**魔呪**に分類される。一方、ネズミをゴブレットに変える呪文は、生物を無生物へと完全に変化させるため、**[[変身術]]**に分類される。 この定義に基づき、浮遊、召喚、発光、防御、記憶の改変など、対象に特定の性質や振る舞いを加える呪文の多くが魔呪に含まれる。 =====呪文学の授業===== 呪文学は、[[ホグワーツ魔法魔術学校]]の1年生から履修する必須科目であり、[[O.W.L.]]試験の科目の一つである。さらに高度な内容を学ぶため、[[N.E.W.T.]]レベルのクラスも存在する。 * **担当教授:** [[フィリウス・フリットウィック]] * **教室:** [[ホグワーツ城]]の3階に位置する。 * **授業内容:** 授業では、正確な杖の動き、正しい呪文の唱え方、そして強い集中力が要求される。生徒たちは、[[ウィンガーディアム・レビオーサ]]のような基本的な呪文から、[[エクスペクト・パトローナム]]のような高度で複雑な呪文まで、段階的に学んでいく。 =====代表的な魔呪===== 物語で頻繁に登場し、重要な役割を果たした魔呪には以下のようなものがある。 * [[ウィンガーディアム・レビオーサ]] (浮遊術): 対象を空中に浮遊させる。 * [[アクシオ]] (呼び寄せ呪文): 術者の手元に特定の物体を呼び寄せる。 * [[ルーモス]]: 杖の先に光源を作り出す。 * [[アロホモラ]] (開け): 鍵のかかったドアや窓を開ける。 * [[プロテゴ]] (盾の呪文): 術者の前に魔法の盾を作り出し、多くの呪文や呪いを弾き返す。 * [[エクスペクト・パトローナム]] (守護霊の呪文): [[吸魂鬼]] (ディメンター) を撃退する[[守護霊]]を呼び出す、非常に高度な魔呪。 * [[コンファンド]] (錯乱呪文): 対象を混乱させ、判断を誤らせる。 * [[オブリビエイト]] (忘れよ): 対象者の記憶を修正または消去する。 * [[マフリアート]] (耳塞ぎ呪文): 周囲の人々の耳にブンブンという雑音を流し、会話の盗み聞きを防ぐ。 =====語源===== 英語の "Charm" は、ラテン語で「歌」や「詩」、「呪文」を意味する //carmen// に由来する。これは、古代の魔法がしばしば歌や詠唱の形で実践されていたことと関連していると考えられる。 =====幕後情報===== * J.K. ローリングは、魔法体系の論理的な基盤として、魔呪と[[変身術]]の間に明確な一線を引いた。この区別は、作中の魔法のルールを理解する上で重要な概念となっている。 * 映画版では、特に1作目の『ハリー・ポッターと賢者の石』における呪文学の授業が、[[ロン・ウィーズリー]]と[[ハーマイオニー・グレンジャー]]のやり取りを含めてコミカルかつ印象的に描かれ、魔法世界の楽しさを象徴するシーンとなった。(映画設定)