======トロイ====== =====概要===== トロイ (Troll) は、巨大で強大な力を持つ魔法生物であり、その極端な知能の低さで知られている。非常に暴力的で予測不可能な性質を持つが、単純な命令であれば理解できるため、[[警備員]]として訓練されることもある。 物語の中で最も象徴的なのは、[[ハリー・ポッターと賢者の石]]で[[クィリナス・クィレル]]によって[[ホグワーツ城]]に侵入させられた事件である。この出来事をきっかけに、[[ハリー・ポッター]]、[[ロン・ウィーズリー]]、そして[[ハーマイオニー・グレンジャー]]の三人の間に固い友情が生まれた。 =====身体的特徴===== * **体高**: 成体では最大で12フィート(約3.6メートル)に達する。 * **体格**: 岩のようにゴツゴツとした、鈍い花崗岩のような灰色の皮膚を持つ。ずんぐりとした体と、木の幹のように太い短い脚が特徴。 * **頭部**: 体に不釣り合いなほど小さな、毛のない禿げ頭をしている。 * **匂い**: 「古い靴下と、誰も掃除しない公衆便所を混ぜたような」と形容される、強烈で不快な悪臭を放つ。 * **武器**: 巨大な木製のこん棒を携行していることが多い。 =====知能と行動===== トロイは魔法生物の中でも特に知能が低いことで知られており、ほとんどの思考は暴力に直結する。目的もなく物を破壊することを好み、コミュニケーションはうなり声や身振りが中心である。 しかし、その単純さゆえに、特定の場所や物を守る「警備トロイ」として訓練・使役することが可能である。[[三大魔法学校対抗試合]]の際には、[[ホグワーツ城]]の警備のために配置された。 =====種類===== [[ニュート・スキャマンダー]]の著書『[[幻の動物とその生息地]]』によると、トロイには主に三つの種類が存在する。 * **[[マウンテン・トロル]] (Mountain Troll)**: 最も大きく、最もどう猛な種類。[[ハリー・ポッターと賢者の石]]で登場したのはこの種である。 * **[[フォレスト・トロル]] (Forest Troll)**: 薄緑色の皮膚を持ち、緑色または茶色の毛が生えていることがある。 * **[[リバー・トロル]] (River Troll)**: 紫がかった皮膚を持ち、しばしば橋の下に潜んでいる。短い角と毛深い体が特徴。 =====物語における役割===== * **[[ハリー・ポッターと賢者の石]]** * [[ハロウィーン]]の夜、[[クィリナス・クィレル]]が自身の目的を果たすための陽動として、一体の[[マウンテン・トロル]]を[[ホグワーツ城]]の地下牢に侵入させた。 * トロイは城内を徘徊し、女子トイレで[[ハーマイオニー・グレンジャー]]を襲撃した。 * 駆けつけた[[ハリー・ポッター]]と[[ロン・ウィーズリー]]は、[[ロン]]が放った[[浮遊術|ウィンガーディアム・レヴィオーサ]]の呪文でトロイ自身のこん棒を頭上に落とし、これを撃退した。この共同作業が三人の友情の礎となった。 * **[[ハリー・ポッターと炎のゴブレット]]** * [[三大魔法学校対抗試合]]の開催期間中、城の警備を強化するために数体の警備トロイが雇われた。 * **[[ハリー・ポッターと死の秘宝]]** * [[ヴォルデモート卿]]が支配する[[魔法省]]では、[[ドローレス・アンブリッジ]]のオフィスのドアの横に、傘立てとしてトロイの脚の剥製が置かれていた。 * [[ホグワーツの戦い]]の直前、[[死喰い人]]によって2体のトロイが[[必要の部屋]]の入り口を守るために配置されていたが、[[フレッド・ウィーズリー]]と[[リー・ジョーダン]]によって対処された。 =====幕後情報===== * 映画版では、原作の描写を基にしつつも、より怪物的な外見のデザインが採用されている。特に鼻の形状が特徴的である。(映画設定) * トロイはヨーロッパの民間伝承に古くから登場する生物であり、J.K.ローリングはその伝統的なイメージ(巨大、愚か、暴力的)を魔法界の世界観に取り入れている。