======ハリーの杖====== =====基本情報===== * タイプ (Type): [[杖]] * 所有者 (Owners): [[ハリー・ポッター]] * 製作者 (Maker): [[ギャリック・オリバンダー]] =====記述と外観===== 長さ11インチ、素材は[[ヒイラギ]] (Holly)、芯は[[不死鳥の羽根]] (Phoenix feather)。この羽根は、[[アルバス・ダンブルドア]]が飼っていた不死鳥、[[フォークス]]が与えた二本の尾羽根のうちの一本である。[[オリバンダー]]氏によれば、「しなやかで気持ちよく手に馴染む」杖とされる。 映画版では、持ち手部分が樹皮のような質感で覆われた、より自然で素朴なデザインで描かれているが、これは原作にはない視覚的表現である。(映画版設定) =====魔法特性と用途===== この杖の最も顕著な特徴は、その芯が[[ヴォルデモート卿]]の杖(イチイの木、不死鳥の羽根)と同じ不死鳥、[[フォークス]]の羽根から作られていることである。これにより、二本の杖は**「兄弟杖」**という極めて稀な関係にある。 * **[[プライオア・インカンターテム]] (Priori Incantatem):** 兄弟杖同士が戦うことを強制されると、[[逆転呪文]]として知られる魔法現象が発生する。一方の杖がもう一方の杖に、これまで使用した呪文を逆順に吐き出させる。この現象は、所有者たちの深い繋がりと対立を象徴する。 * **所有者への忠誠心と自己防衛:** この杖は、所有者であるハリーに対して並外れた忠誠心と保護能力を示した。『[[ハリー・ポッターと死の秘宝]]』において、七人のポッター作戦の最中、ハリーが意識を失っている間に杖が自らの意志でヴォルデモートに対して黄金の炎の呪文を放ち、ハリーの命を救った。これは、杖がハリーからヴォルデモートに関する知識を吸収し、彼を致命的な敵として認識したために起こった特異な現象である。 * **修復:** 一度は真っ二つに折れ、通常の[[レパロ]] (修復呪文) では修復不可能な状態となった。しかし、[[ニワトコの杖]]の比類なき力によって、完全に元の機能を取り戻すことができた。 =====歴史===== この杖は、1991年に[[ダイアゴン横丁]]にある[[オリバンダーの店]]で、[[ハリー・ポッター]]によって購入された。正確には、数多くの杖を試した末、この杖がハリーを「選んだ」のである。その際、オリバンダーは、この杖の兄弟杖がハリーの両親を殺害し、彼に傷跡を残したことを告げ、その奇妙な運命に言及した。 ハリーの[[ホグワーツ]]在学中、この杖は彼の魔法の腕と共に成長し、数々の重要な場面で活躍した。 - 1995年、[[リトル・ハングルトン]]の墓地でヴォルデモートと対峙した際、[[逆転呪文]]を引き起こし、ヴォルデモートが最近殺害した人々の「反響」を出現させ、ハリーの脱出を助けた。 - 1997年、[[ゴドリックの谷]]で[[バチルダ・バグショット]]に化けた[[ナギニ]]に襲われた際、[[ハーマイオニー・グレンジャー]]が放った[[爆発呪文]]が跳ね返り、杖は真っ二つに折れてしまった。 杖を失ったハリーは一時的にハーマイオニーの杖を借りたり、後に[[マルフォイの館]]で奪った[[ドラコ・マルフォイ]]の杖を使用したりしたが、自身の杖への愛着を失うことはなかった。[[ホグワーツの戦い]]の後、[[ニワトコの杖]]の真の所有者となったハリーは、その絶大な力を使って、修復不可能と思われていたこのヒイラギの杖を完全に修復した。 =====物語における役割===== ハリーの杖は、単なる魔法の道具ではなく、彼の魔法使いとしてのアイデンティティそのものである。ヴォルデモートとの「兄弟杖」という関係は、二人の運命的な繋がりを最初期から象徴しており、物語全体の根幹をなすテーマの一つである。 杖が自らの意志でハリーを守るという出来事は、杖と持ち主の間に生まれる深い絆と、愛のような魔法の力を示唆している。最終的に、ハリーが[[ニワトコの杖]]の誘惑を退け、自身の古くて壊れた杖を修復し、使い続けることを選んだ決断は、彼が権力よりも謙虚さと忠誠心を重んじる人物であることを示す、極めて重要な象徴的行為である。 =====舞台裏情報===== * **木材の象徴性:** 原作者J.K.ローリングによると、杖の木材はケルトの樹木暦に由来することがある。ハリーの誕生月(7月)に対応するヒイラギは、保護、特に邪悪なものからの保護を象徴する木であり、ハリーの役割と完全に一致している。(Pottermore)