======ハリー・ポッターと半純血のプリンス====== =====基本情報===== * シリーズ (Series): [[ハリー・ポッター]]シリーズ第6巻 * 著者 (Author): [[J・K・ローリング]] * 英国版初版発行日 (UK Publication Date): 2005年7月16日 * 日本語版初版発行日 (Japanese Publication Date): 2006年5月17日 * 視点人物 (Point of View): 主に[[ハリー・ポッター]] =====あらすじ===== [[ヴォルデモート卿]]の復活が公のものとなり、魔法界は第二次魔法戦争の暗い影に覆われ始める。[[アルバス・ダンブルドア]]校長は、[[ダーズリー家]]の元から[[ハリー・ポッター]]を迎えに来ると、旧知の[[ホラス・スラグホーン]]を[[ホグワーツ]]の新しい[[魔法薬学]]の教授として復職させるためにハリーを同行させる。その結果、長年この職を望んでいた[[セブルス・スネイプ]]が、ついに念願の「[[闇の魔術に対する防衛術]]」の教授に就任することとなった。 ハリーはスラグホーンの授業で、//「半純血のプリンス」//と署名された古い[[魔法薬学]]の教科書を手に入れる。その教科書には、元の所有者による優れた手書きの注釈がびっしりと書き込まれており、ハリーは一夜にして[[魔法薬学]]の天才と見なされるようになる。 時を同じくして、[[ダンブルドア]]はハリーに個人授業を始める。校長室の[[憂いの篩]]を使い、[[トム・マールヴォロ・リドル]](後の[[ヴォルデモート卿]])の過去に関する記憶を二人で旅することで、彼の不死の秘密と弱点を探ろうとする。しかし、最も重要な記憶の一つである、スラグホーンがトム・リドルに「[[分霊箱]]」について語った記憶が改竄されていた。ハリーに課された最大の使命は、スラグホーンを説得し、この完全な記憶を引き出すことだった。 物語は、ハリーが[[ドラコ・マルフォイ]]の不審な行動を執拗に追い、彼が[[死喰い人]]として何らかの任務を遂行していると確信する様子や、[[ロン・ウィーズリー]]、[[ハーマイオニー・グレンジャー]]、そして[[ジニー・ウィーズリー]]との間で繰り広げられる恋愛模様を交えながら進行する。 クライマックスでは、ハリーは「[[幸運の液体]]」の助けを借りてスラグホーンから本物の記憶を入手し、[[ヴォルデモート卿]]が自らの魂を7つに分割する「[[分霊箱]]」を複数作成したことを知る。[[ダンブルドア]]は[[分霊箱]]の一つを発見したと信じ、ハリーを伴って危険な洞窟へ向かう。多大な犠牲を払って[[スリザリンのロケット]]を手に入れるが、[[ホグワーツ]]へ戻ると城は[[死喰い人]]の侵入を受け、[[天文台の塔]]で[[ドラコ・マルフォイ]]と対峙する。ドラコは[[ダンブルドア]]を殺害する任務を遂行できずにいたが、そこに現れた[[セブルス・スネイプ]]が「[[アバダ・ケダブラ]]」の呪文で[[ダンブルドア]]の命を奪った。 逃亡するスネイプを追うハリーに対し、スネイプは自らが//「半純血のプリンス」//であることを明かす。物語は、洞窟で手に入れたロケットが偽物であり、「R.A.B.」と署名された謎の人物によって本物は持ち去られていたことが判明するという衝撃の事実と共に幕を閉じる。[[ダンブルドア]]の葬儀の後、ハリーは[[ホグワーツ]]には戻らず、残りの[[分霊箱]]を探し出し破壊する旅に出ることを決意する。 =====明かされた重要な事実と物語の核心===== * **[[ヴォルデモート卿]]の不死の秘密**: 魂を分割して器に収める究極の[[闇の魔術]]、「[[分霊箱]] (Horcrux)」の概念が初めて詳細に明かされる。これにより、彼の不死性の本質と、彼を倒すための具体的な方法が示された。 * **[[トム・リドル]]の過去**: [[ダンブルドア]]の個人授業を通じて、[[ヴォルデモート卿]]の母方の家系である[[ゴーント家]]の歴史や、孤児院での生活、そして[[ホグワーツ]]在学中の様子が描かれ、彼の人間性と邪悪さの起源が深く掘り下げられた。 * **[[セブルス・スネイプ]]の忠誠**: 物語の最後で[[ダンブルドア]]を殺害し、[[死喰い人]]への忠誠を決定的に見せつけた。これはシリーズ全体を通しても最大級の転換点であり、彼の真意を巡る最大の謎を読者に投げかけた。 * **「半純血のプリンス」の正体**: ハリーがその才能に心酔していた教科書の前の持ち主が、他ならぬ[[セブルス・スネイプ]]であったことが判明する。 =====タイトルの意味===== 物語のタイトル**「半純血のプリンス」** (The Half-Blood Prince) は、[[セブルス・スネイプ]]の自称である。 * **半純血 (Half-Blood)**: 彼の母親が魔女の[[アイリーン・プリンス]]であり、父親が[[マグル]]の[[トビアス・スネイプ]]であることに由来する。 * **プリンス (Prince)**: 母親の旧姓「プリンス (Prince)」から取られている。 この名前は、スネイプが[[ホグワーツ]]在学中に、自身の出自と優れた魔法の才能を組み合わせ、誇りと皮肉を込めて自らを呼んだものである。彼が教科書に書き記した独自の呪文([[セクタムセンプラ]]など)や[[魔法薬学]]の改良法は、彼の類稀なる才能を証明している。 =====舞台裏情報===== * J.K. ローリングは、シリーズ全7作の中で、この第6巻と第7巻の執筆が最も楽しかったと語っている。(作者インタビュー) * 映画版『ハリー・ポッターと謎のプリンス』では、原作にはない「[[隠れ穴]]」が[[死喰い人]]に襲撃されるシーンが追加されている。また、終盤の[[ホグワーツ]]城内での戦闘は、原作に比べて大幅に規模が縮小されている。(映画設定)