====== ハリー・ポッターシリーズ ====== ===== 概要 ===== 『ハリー・ポッター』シリーズは、イギリスの作家 [[J.K. Rowling|J・K・ローリング]] によって執筆された全7巻からなるファンタジー小説シリーズです。物語は、孤児として育った若い魔法使い、[[Harry Potter|ハリー・ポッター]] が主人公です。彼は11歳の誕生日に自分が魔法使いであることを知り、[[Hogwarts School of Witchcraft and Wizardry|ホグワーツ魔法魔術学校]] に入学します。 物語の主軸は、ハリーが親友の [[Ron Weasley|ロン・ウィーズリー]] や [[Hermione Granger|ハーマイオニー・グレンジャー]] と共に送る学校生活と、両親を殺害し魔法界の支配を企む闇の魔法使い、[[Lord Voldemort|ヴォルデモート卿]] との宿命的な対決です。各巻は、ハリーの学年が1つずつ進む形式で構成されており、彼の成長と戦いを描いています。 ===== 物語 ===== 物語は7つの主要な巻で構成されており、それぞれがハリーの [[Hogwarts|ホグワーツ]] での1年間を追っています。 ==== 第1巻:ハリー・ポッターと賢者の石 ==== 11歳の [[Harry Potter|ハリー・ポッター]] は、自分が魔法使いであることを知り、[[Dursley family|ダーズリー家]] のもとを離れて [[Hogwarts School of Witchcraft and Wizardry|ホグワーツ魔法魔術学校]] に入学します。そこで彼は生涯の友となる [[Ron Weasley|ロン・ウィーズリー]] と [[Hermione Granger|ハーマイオニー・グレンジャー]] に出会います。3人は、命を永遠にする力を持つ [[Philosopher's Stone|賢者の石]] が盗まれるのを阻止するため、[[Lord Voldemort|ヴォルデモート卿]] に憑依された [[Professor Quirrell|クィレル先生]] と対決します。 ==== 第2巻:ハリー・ポッターと秘密の部屋 ==== ハリーの2年目、[[Hogwarts|ホグワーツ]] で伝説の [[Chamber of Secrets|秘密の部屋]] が開かれ、マグル生まれの生徒たちが次々と石にされる事件が発生します。ハリーは [[Tom Riddle's Diary|トム・リドルの日記]] を通じて [[Lord Voldemort|ヴォルデモート]] の過去を知り、巨大な [[Basilisk|バジリスク]] と対決して、友人たちと学校を救います。 ==== 第3巻:ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 ==== ハリーの両親を裏切ったとされる凶悪犯、[[Sirius Black|シリウス・ブラック]] が魔法使いの牢獄 [[Azkaban|アズカバン]] から脱獄します。ハリーは、[[Azkaban|アズカバン]] の看守である恐ろしい [[Dementor|吸魂鬼]] から身を守るため、高度な [[Patronus Charm|守護霊の呪文]] を学びます。物語の終盤で、ハリーは [[Sirius Black|シリウス]] が無実であり、自身の後見人であることを知ります。 ==== 第4-巻:ハリー・ポッターと炎のゴブレット ==== [[Hogwarts|ホグワーツ]] で伝説的な [[Triwizard Tournament|三大魔法学校対抗試合]] が開催され、ハリーは年齢制限にもかかわらず、謎の力によって4人目の代表選手に選ばれてしまいます。トーナメントの最終課題で、彼は [[Lord Voldemort|ヴォルデモート卿]] の復活を目の当たりにし、[[Second Wizarding War|第二次魔法戦争]] の始まりを告げる悲劇に直面します。 ==== 第5巻:ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 ==== [[Ministry of Magic|魔法省]] は [[Lord Voldemort|ヴォルデモート]] の復活を認めず、[[Hogwarts|ホグワーツ]] に圧制的な [[Dolores Umbridge|ドローレス・アンブリッジ]] を送り込みます。これに対抗するため、ハリーは友人たちと秘密の防衛術組織 [[Dumbledore's Army|ダンブルドア軍団]] を結成します。物語は [[Department of Mysteries|神秘部]] での [[Death Eater|死喰い人]] たちとの激しい戦いでクライマックスを迎え、ハリーは重大な喪失を経験します。 ==== 第6巻:ハリー・ポッターと謎のプリンス ==== [[Albus Dumbledore|アルバス・ダンブルドア]] 校長は、[[Lord Voldemort|ヴォルデモート]] の不死の秘密である [[Horcrux|分霊箱]] についてハリーに教え始めます。ハリーは [[Pensieve|ペンシーブ]] を通じて [[Voldemort|ヴォルデモート]] の過去を探りながら、[[Half-Blood Prince|謎のプリンス]] と名乗る人物が書き込みをした古い教科書に助けられます。学年末、[[Hogwarts|ホグワーツ]] は [[Death Eater|死喰い人]] の侵入を受け、衝撃的な結末を迎えます。 ==== 第7巻:ハリー・ポッターと死の秘宝 ==== [[Hogwarts|ホグワーツ]] に戻らず、[[Ron Weasley|ロン]] と [[Hermione Granger|ハーマイオニー]] と共に [[Lord Voldemort|ヴォルデモート]] の [[Horcrux|分霊箱]] を探す旅に出るハリー。同時に、彼は死を制するとされる3つの強力な魔法の道具、[[Deathly Hallows|死の秘宝]] の伝説についても知ります。物語は、魔法界の未来を懸けた [[Battle of Hogwarts|ホグワーツの戦い]] で壮大なクライマックスを迎えます。 ===== 主要なテーマ ===== シリーズ全体を通して、いくつかの重要なテーマが探求されています。 * **愛**: [[Lily Potter|リリー・ポッター]] の自己犠牲の愛がハリーを守るなど、愛は最も強力な魔法として描かれています。 * **死**: 死は物語の中心的なテーマであり、登場人物たちが死とどう向き合うかが繰り返し問われます。 * **偏見と純血主義**: 魔法使い社会における「純血」、「半純血」、「マグル生まれ」といった血筋による差別は、現実世界の偏見や人種差別の寓話として機能しています。 * **選択**: 予言や運命が物語に影響を与える一方で、個人の「選択」こそがその人間を定義するものである、という考えが強調されます。 * **権力と腐敗**: [[Lord Voldemort|ヴォルデモート]] のような個人だけでなく、[[Ministry of Magic|魔法省]] のような組織も権力によっていかに腐敗し得るかが描かれています。 ===== 出版の歴史 ===== 本シリーズは以下の7冊から構成されています。 * [[ハリー・ポッターと賢者の石]] (1997年) * [[ハリー・ポッターと秘密の部屋]] (1998年) * [[ハリー・ポッターとアズカバンの囚人]] (1999年) * [[ハリー・ポッターと炎のゴブレット]] (2000年) * [[ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団]] (2003年) * [[ハリー・ポッターと謎のプリンス]] (2005年) * [[ハリー・ポッターと死の秘宝]] (2007年) ===== 関連作品 ===== 原作小説の成功を受けて、多くの関連作品が制作されています。 * **映画**: ワーナー・ブラザースによって製作された8本の映画シリーズ。 * **舞台**: 『[[Harry Potter and the Cursed Child|ハリー・ポッターと呪いの子]]』。原作の19年後を描いた舞台劇で、J・K・ローリングが原案を担当。 * **関連書籍**: [[Hogwarts|ホグワーツ]] の教科書という設定の『[[Fantastic Beasts and Where to Find Them|幻の動物とその生息地]]』と『[[Quidditch Through the Ages|クィディッチ今昔]]』、そして魔法界の童話集である『[[The Tales of Beedle the Bard|吟遊詩人ビードルの物語]]』。 * **ウェブサイト**: [[Pottermore]] (現在は Wizarding World として運営)。作者による追加情報や背景設定が公開されている。(Pottermore) * **神奇動物シリーズ**: 原作以前の時代を舞台にしたスピンオフ映画シリーズ。(映画設定) ===== 舞台裏情報 ===== * 原作者の [[J.K. Rowling|J・K・ローリング]] は、シリーズの第1作『ハリー・ポッターと賢者の石』が出版されるまでに、多くの出版社から出版を拒否されたことで知られています。(作者の経歴) * ローリングはシリーズを執筆し始めた当初から、全7巻のプロットの概要と最終章をすでに構想していたと語っています。(作者のインタビュー)