======バジリスクの毒====== =====基本情報===== * タイプ: [[魔法物質]]、[[魔法薬]]の材料、[[魂器]]を破壊する物質 * 所有者: [[秘密の部屋]]の[[バジリスク]]、[[ハリー・ポッター]]、[[ロン・ウィーズリー]]、[[ハーマイオニー・グレンジャー]](牙を所有)、[[アルバス・ダンブルドア]](毒が染み込んだ[[ゴドリック・グリフィンドールの剣]]を所有) * 製造者: [[バジリスク]] =====記述と外観===== [[バジリスクの毒]]は、魔法生物である[[バジリスク]]の牙から分泌される、極めて強力で致死性の高い魔法の液体である。その外見に関する具体的な描写は少ないが、[[バジリスク]]の長く鋭い牙から滴り落ちる形で登場する。この毒は、生物を数分以内に死に至らしめるだけでなく、最も強力な[[闇の魔術]]の産物である[[魂器]] (ホークラックス) を破壊できる数少ない物質の一つとして知られている。 =====魔法特性と用途===== * **極めて強力な致死性:** 生物がこの毒に冒された場合、ごく短時間で死に至る。物語中で知られている唯一の解毒剤は[[不死鳥の涙]]のみである。[[ハリー・ポッター]]は[[秘密の部屋]]で[[バジリスク]]に牙で刺されたが、[[アルバス・ダンブルドア]]の[[不死鳥]]である[[フォークス]]の涙によって一命を取り留めた。 * **[[魂器]]の破壊:** [[バジリスクの毒]]が持つ最も重要な特性は、[[魂器]]を破壊する能力である。[[魂器]]を完全に破壊するには、その器を魔法的に修復不可能な状態まで破壊する必要がある。この毒は、その条件を満たすほどの強力な破壊力を持っている。 * **物体への浸透と特性の付与:** この毒は、特定の物質に吸収・浸透する特性を持つ。特に、ゴブリン製の銀製品は、自身を強化する物質を吸収する性質がある。[[ハリー・ポッター]]が[[ゴドリック・グリフィンドールの剣]]で[[バジリスク]]を倒した際、剣の刀身が毒を吸収した。これにより、剣自体が[[魂器]]を破壊する能力を持つようになった。 =====歴史===== [[サラザール・スリザリン]]が[[ホグワーツ魔法魔術学校]]の[[秘密の部屋]]に隠した[[バジリスク]]が、この毒の源であった。 1993年、[[ハリー・ポッター]]は[[秘密の部屋]]で[[トム・マールヴォロ・リドルの日記]](最初の[[魂器]])を[[バジリスク]]の牙で突き刺して破壊した。これが、[[バジリスクの毒]]が[[魂器]]を破壊できることが判明した最初の事例である。この戦いで[[ハリー]]が使用した[[ゴドリック・グリフィンドールの剣]]は毒を吸収し、同様の能力を得た。 その後、[[第二次魔法戦争]]において、[[バジリスクの毒]](牙そのもの、または毒が染み込んだ剣)は[[ヴォルデモート卿]]の[[魂器]]を破壊するための重要な手段となった。 - **[[マールヴォロ・ゴーントの指輪]]**: [[アルバス・ダンブルドア]]が毒の染み込んだ[[ゴドリック・グリフィンドールの剣]]で破壊した。 - **[[サラザール・スリザリンのロケット]]**: [[ロン・ウィーズリー]]が[[ゴドリック・グリフィンドールの剣]]で破壊した。 - **[[ヘルガ・ハッフルパフのカップ]]**: [[ハーマイオニー・グレンジャー]]が、[[秘密の部屋]]に残されていた[[バジリスク]]の骸から抜き取った牙で破壊した。 - **[[ナギニ]]**: [[ネビル・ロングボトム]]が[[ゴドリック・グリフィンドールの剣]]で殺害し、最後の[[魂器]]を破壊した。 =====物語における役割===== [[バジリスクの毒]]は、物語全体を通じて極めて重要な役割を果たす。初登場時は[[ハリー]]の命を脅かす絶望的な脅威として描かれるが、後に[[ヴォルデモート卿]]を倒すための最も有効な「希望の武器」へとその役割を変化させる。 この毒の存在は、[[ハリー]]たちが[[魂器]]を破壊する方法を見つけ出すきっかけとなり、[[第二次魔法戦争]]の勝利に不可欠な要素となった。悪の象徴が生み出したものが、結果的に悪そのものを滅ぼす力となるという、物語の重要なテーマを象徴している。 =====幕後情報===== [[バジリスクの毒]]が[[魂器]]を破壊できるという設定は、J.K. ローリングが物語の初期段階から構想していた重要なプロットポイントである。その特性に関する情報は、すべて7冊の原作小説の中で明かされており、読者が[[ハリー]]たちと共に[[魂器]]破壊の謎を解き明かしていく過程で徐々に明らかにされる。