======バンシーとの別れ====== =====基本信息===== * タイプ (Type): 書籍、[[教科書]]、自伝 * 所有者 (Owners): [[ギルデロイ・ロックハート]] (著者)、[[ハリー・ポッター]]、1992年から1993年度の[[ホグワーツ]]魔法魔術学校の2年生など * 製作者 (Maker): 著者: [[ギルデロイ・ロックハート]] (出版社の詳細は不明) =====記述と外観===== 『バンシーとの別れ』は、著名な魔法使いであり作家でもある[[ギルデロイ・ロックハート]]によって執筆された数多くのベストセラーの一つです。 書籍の表紙には、著者であるロックハート自身の大きな動く写真が使われていることが示唆されています。作中では、[[ハリー・ポッター]]がロックハートの著作セットを眺めた際、「表紙でウィンクしてくるギルデロイ・ロックハートたち」に言及していることから、この本も同様のデザインであったと推測されます。写真は読者に向かって微笑みかけたり、ウィンクしたりといった魅力的な表情を見せていたことでしょう。 =====魔法的特性と用途===== この本自体に固有の魔法の力が備わっているわけではありません。しかし、その内容は魔法界における一つの重要な役割を果たしていました。 * **//闇の魔術に対する防衛術//の教科書**: 1992年から1993年の[[ホグワーツ]]魔法魔術学校の学年度において、著者の[[ギルデロイ・ロックハート]]が「[[闇の魔術に対する防衛術]]」の教授に就任した際、自身の全著作を教科書として指定しました。したがって、『バンシーとの別れ』も2年生の必須教科書となりました。 * **虚偽の内容**: この本の最も重要な「特性」は、その内容が**全くの作り話**であるという点です。ロックハートは、本に書かれている「バンシーを打ち負かした」という英雄的行為を自分自身で行ったわけではありません。実際には、その偉業を成し遂げた別の魔女や魔法使いから話を聞き出し、[[記憶呪文]]である「[[オブリビエイト]]」を使って彼らの記憶を消し、その手柄を盗んでいました。この事実は、物語の後半でロックハート自身によって[[秘密の部屋]]で告白されます。 * **プロパガンダとしての機能**: 本書は、ロックハートの虚像を維持し、彼の名声を高めるための強力なプロパガンダ・ツールとして機能しました。多くの読者は内容を真実だと信じ、彼を偉大な英雄として崇拝していました。 =====歴史===== 『バンシーとの別れ』は、[[ハリー・ポッター]]が[[ホグワーツ]]に入学する以前に出版され、魔法界でベストセラーとなりました。これにより、[[ギルデロイ・ロックハート]]は「週刊魔女」誌の「最も魅力的な笑顔賞」を5回連続で受賞するなど、絶大な人気を獲得しました。 1992年、ロックハートが[[ホグワーツ]]の教授に就任したことで、本書は教育の場に持ち込まれ、生徒たちに購入が義務付けられました。 =====物語における役割===== 『バンシーとの別れ』は、『[[ハリー・ポッターと秘密の部屋]]』において、[[ギルデロイ・ロックハート]]というキャラクターを象徴する重要な小道具として登場します。 * **キャラクターの導入**: 本書は、[[ダイアゴン横丁]]の[[フローリシュ・アンド・ブロッツ書店]]で行われたロックハートのサイン会で初めて具体的に言及されます。この出来事を通じて、読者はロックハートの自己顕示欲の強さと、彼が魔法界でいかに有名人であるかを知ることになります。 * **偽りの英雄像**: 物語が進むにつれて、ロックハートが授業で見せる無能さ(例:[[ピクシー妖精]]を制御できない)と、本書に描かれているであろう英雄的な行為との間には大きな隔たりがあることが明らかになります。この対比は、彼の正体が詐欺師であることを示唆する伏線として機能します。 * **真実の暴露**: 最終的に、ロックハートの著作すべてが盗まれた手柄に基づいているという事実が判明し、彼の名声と権威は完全に失墜します。本書は、その虚構のキャリアを構成する一片に過ぎませんでした。 =====舞台裏情報===== * **映画版のデザイン (映画版設定)**: 映画『[[ハリー・ポッターと秘密の部屋]]』では、小道具として『バンシーとの別れ』の具体的な表紙がデザインされました。表紙には、ポーズを決めた[[ギルデロイ・ロックハート]]の写真が大きくあしらわれています。 * **タイトルの意味**: 「Break with a Banshee」という原題は、直訳すると「バンシーとの決別」となります。これは、彼がバンシーを打ち負かしたという英雄譚を示唆すると同時に、恋愛関係のもつれを連想させるような、ロックハートらしい芝居がかったタイトルと言えます。