======パイアス・シックネス====== =====简介===== **パイアス・シックネス** (Pius Thicknesse) は、第二次ウィザーディング戦争中に[[ヴォルデモート]]卿の支配下に置かれた[[魔法省]]の役人である。元々は[[魔法法執行部]]の部長であったが、[[死喰い人]]の[[ヤックスリー]]によって[[奪魂咒]]にかけられ、[[ルーファス・スクリムジョール]]の死後、傀儡の[[魔法大臣]]に据えられた。彼の存在は、[[魔法省]]が内部から完全に[[死喰い人]]に乗っ取られたことを象徴している。物語を通して、彼は自身の意志を持たない人形として行動し、[[ヴォルデモート]]の恐怖政治を公式に正当化する役割を担った。 =====生平===== ====第二次ウィザーディング戦争==== シックネスの物語における役割は、第二次ウィザーディング戦争の最終局面に集中している。 * **魔法省の陥落** 1997年の夏、[[ヴォルデモート]]は[[魔法省]]を掌握する計画の一環として、省のトップレベルに影響力を持つ人物を支配下に置くことを画策した。[[魔法法執行部]]部長という要職にあったシックネスは、[[死喰い人]]の[[ヤックスリー]]の標的となった。[[ヤックスリー]]はシックネスにまんまと[[奪魂咒]]をかけることに成功し、この成果を[[マルフォイの館]]で行われた[[死喰い人]]の会合で[[ヴォルデモート]]に報告した。これにより、[[死喰い人]]は[[魔法省]]の他の部署長たちを脅迫し、支配下に置くための足掛かりを得た。 * **傀儡大臣として** 1997年8月1日、[[魔法省]]が陥落し[[ルーファス・スクリムジョール]]大臣が殺害されると、シックネスは[[ヴォルデモート]]によって後任の[[魔法大臣]]に任命された。彼の権威は名目上のものであり、実際には[[ヴォルデモート]]と[[死喰い人]]の政策を実行するための公的な顔に過ぎなかった。大臣として、彼は以下のような法令を次々と布告した。 * [[ホグワーツ魔法魔術学校]]への出席を義務化し、純血主義の教育を徹底させた。 * [[ドローレス・アンブリッジ]]が主導する[[マグル生まれ登録委員会]]を設立し、[[マグル]]生まれの魔女や魔法使いを迫害した。 * [[闇祓い]]に対し、[[ヴォルデモート]]の敵に対して[[許されざる呪文]]を使用することを許可した。 * [[ハリー・ポッター]]を「//好ましからざる者 第1号//」 (Undesirable No. 1) に指定し、彼の捕獲に多額の懸賞金をかけた。 * **ホグワーツの戦い** 1998年5月2日、シックネスは[[ヴォルデモート]]軍の一員として[[ホグワーツの戦い]]に参戦した。彼は城の防壁を破ろうとする[[死喰い人]]や巨人たちと共に最前線で戦った。戦闘中、彼は[[パーシー・ウィーズリー]]と対峙し、パーシーが放った呪文によってウニのようなトゲだらけの姿に変身させられ、無力化された。その後、[[アーサー・ウィーズリー]]にも気絶させられている。 * **戦後** [[ヴォルデモート]]の死後、彼にかけられていた[[奪魂咒]]は解けたと考えられる。彼が自らの意志で[[死喰い人]]に与したわけではないため、[[アズカバン]]へ送られることはなかったと推測される。大臣の座は臨時に[[キングズリー・シャックルボルト]]が引き継ぎ、シックネスは歴史の表舞台から姿を消した。 =====外貌と性格===== * **外貌** シックネスは、灰色交じりの長い黒髪とあごひげを持ち、大きく張り出した額とキラリと光る目が特徴的だと描写されている。[[奪魂咒]]にかけられている間、彼の表情は常にうつろで、まるで他人が書いたセリフを読んでいるかのような話し方をした。 * **性格** 作中では常に[[奪魂咒]]の下にあるため、彼の本来の性格はほとんど不明である。しかし、[[魔法法執行部]]の部長という高い地位に就いていたことから、呪いをかけられる前は有能で強力な魔法使いであったことは間違いない。 =====魔法能力と技巧===== [[魔法法執行部]]部長を務めていたことから、シックネスは決闘や魔法法に関する知識を含め、非常に高い魔法能力を持っていたはずである。[[ホグワーツの戦い]]では、[[奪魂咒]]下でありながらも戦闘に参加しており、その基礎的な魔力の高さがうかがえる。しかし、作中で彼が独自の判断で特定の高度な魔法を使用した場面はない。 =====人際関係===== * **[[ヴォルデモート]]と[[死喰い人]]** シックネスは[[ヴォルデモート]]と[[死喰い人]]にとって、[[魔法省]]を合法的に支配するための便利な道具でしかなかった。特に[[ヤックスリー]]は彼の直接の支配者であった。彼らの間に真の関係はなく、一方的な支配と服従の関係にあった。 * **[[不死鳥の騎士団]]** [[ヴォルデモート]]の傀儡として、彼は[[不死鳥の騎士団]]の敵対者であった。[[ホグワーツの戦い]]では、[[アーサー・ウィーズリー]]や[[パーシー・ウィーズリー]]といった騎士団のメンバーと直接戦った。 =====名前の語源===== * **Pius (パイアス)** ラテン語で「敬虔な」「信心深い」「義務を重んじる」といった意味を持つ。魔法界の法と秩序を破壊する闇の帝王に仕えるという、彼の役割とは全く逆の意味を持つ皮肉な名前である。 * **Thicknesse (シックネス)** 英語の "thickness" (厚さ、鈍さ) に由来する。これは彼の濃い髪やひげを指している可能性もあるが、より比喩的に、[[奪魂咒]]によって彼の思考や意志が「鈍く」なっている状態を示唆しているのかもしれない。 =====幕後情報===== * **映画での描写** 映画版『[[ハリー・ポッターと死の秘宝]]』では、俳優のガイ・ヘンリーがシックネスを演じた。映画では原作よりも早い段階で、[[マルフォイの館]]での会合に[[ヴォルデモート]]の隣に座る姿で登場する。(映画設定) また、彼の最期は原作と大きく異なり、[[ホグワーツの戦い]]の最中、[[分霊箱]]である[[レイブンクローの髪飾り]]が破壊されたことを知って激怒した[[ヴォルデモート]]によって、他の[[死喰い人]]と共に殺害されている。(映画設定)