======ペベレル家の紋章====== =====基本情報===== * タイプ: シンボル、[[死の秘宝]] * 所有者: [[ペベレル家]]、[[ゲラート・グリンデルバルド]]とその支持者、[[ゼノフィリウス・ラブグッド]] * 由来: [[吟遊詩人ビードルの物語]]に収録されている「[[三人兄弟の物語]]」 =====描写と外観===== ペベレル家の紋章は、極めてシンプルな幾何学図形を組み合わせたデザインである。その構成は以下の通り。 * **三角形**: 正三角形が全体の輪郭を形成する。これは三つの[[死の秘宝]]のうち、[[隠れみのマント]]を象徴している。 * **円**: 三角形の内部にぴったりと収まる円。これは[[よみがえりの石]]を象徴している。 * **垂直線**: 三角形の頂点から底辺まで、円を二分するように引かれた一本の直線。これは[[ニワトコの杖]]を象徴している。 これら三つの要素が合わさることで、[[死の秘宝]]の存在そのものを表すシンボルとなっている。 =====象徴的意味と用途===== この紋章は、それ自体に魔法の力が宿っているわけではないが、魔法界の歴史において複数の重要な意味を持つ。 * **死の秘宝の探求者の証**: [[ゼノフィリウス・ラブグッド]]によれば、この印を身につけることは、自らが「死の秘宝」の伝説を信じ、その探求者(//Quester//)であることを示すための静かな合図であった。これにより、同じ信念を持つ者同士が互いを認識することができた。 * **グリンデルバルドの印**: 若き日の[[アルバス・ダンブルドア]]と共に[[死の秘宝]]を探し求めていた[[ゲラート・グリンデルバルド]]は、このシンボルを自らの印として採用した。彼は「より大きな善のために」というスローガンの下で魔法界に恐怖を広めたため、特にヨーロッパ大陸の魔法使いの間では、この紋章は[[黒い魔法]]やグリンデルバルドの恐怖政治と結びつけて記憶されることとなった。[[ビクトール・クラム]]は、この紋章を[[ダームストラング専門学校]]の壁にグリンデルバルドが刻んだものとして覚えており、強い嫌悪感を示した。 =====歴史===== この紋章の起源は、中世の魔法使いである[[ペベレル三兄弟]]([[アンチオク・ペベレル]]、[[カドマス・ペベレル]]、[[イグノタス・ペベレル]])の伝説にまで遡る。彼らが[[死]]から授かったとされる三つの強力な魔法の品物、すなわち[[死の秘宝]]を象徴するものとして生まれた。 * [[イグノタス・ペベレル]]の墓石にはこの紋章が刻まれており、[[ハリー・ポッター]]と[[ハーマイオニー・グレンジャー]]が[[ゴドリックの谷]]を訪れた際にそれを発見した。これは、紋章とペベレル家の直接的な繋がりを示す重要な物証である。 * [[カドマス・ペベレル]]の子孫である[[ゴーント家]]は、[[よみがえりの石]]がはめ込まれた指輪を家宝として代々受け継いできた。この[[マールヴォロ・ゴーントの指輪]]の石には、ペベレル家の紋章が彫られていた。この指輪は後に[[ヴォルデモート卿]]によって[[分霊箱]]の一つにされた。 =====物語における役割===== 『[[ハリー・ポッターと死の秘宝]]』において、この謎めいたシンボルは物語の核心を解き明かす鍵として機能する。 当初、[[ハリー・ポッター]]は[[ビル・ウィーズリー]]と[[フラー・デラクール]]の結婚式で[[ゼノフィリウス・ラブグッド]]が着けていたネックレスでこのシンボルに気づく。その後、[[アルバス・ダンブルドア]]の遺品である[[吟遊詩人ビードルの物語]]の「[[三人兄弟の物語]]」のページに、ハリー自身が書き写したものと酷似した印を[[ハーマイオニー・グレンジャー]]が見つける。 [[ゴドリックの谷]]での墓石の発見を経て、三人は最終的にラブグッド氏の家を訪ね、そこで初めてこのシンボルが「[[死の秘宝]]」――[[ニワトコの杖]]、[[よみがえりの石]]、[[隠れみのマント]]――を統合的に表すものであることを知る。この啓示は、[[分霊箱]]を破壊するという彼らの使命と並行して存在する、もう一つの伝説の探求へと物語を導き、[[ダンブルドア]]と[[グリンデルバルド]]の過去、そしてハリーと[[ヴォルデモート]]の血縁的な繋がり(共にペベレル家の子孫であること)を明らかにする重要な役割を果たした。 =====幕後情報===== * このシンボルはJ.K.ローリングによって創作されたものであり、そのシンプルかつミステリアスなデザインは、シリーズ完結編の謎を象徴するものとして非常に効果的であった。 * 物語完結後、ペベレル家の紋章はハリー・ポッターのファンダムにおいて極めて人気の高いアイコンとなった。多くのファンがアクセサリーやタトゥーのデザインとして用いており、作品のより深い伝承やテーマへの繋がりを示すシンボルとして愛されている。