======ポッター夫妻====== =====简介===== **ポッター夫妻**とは、[[ジェームズ・ポッター]]と[[リリー・ポッター]] (旧姓エバンズ) の二人を指す呼称である。夫妻は[[不死鳥の騎士団]]のメンバーであり、[[ヴォルデモート卿]]に勇敢に立ち向かった。息子[[ハリー・ポッター]]を[[ヴォルデモート卿]]から守るための自己犠牲、特にリリーの愛に基づく犠牲は、物語全体の基盤となる極めて強力な[[魔法]]を生み出し、ハリーの運命を決定づけた。彼らの死は[[第一次魔法戦争]]の終結を象徴する出来事であり、その生涯と遺産はシリーズを通じて息子ハリーの行動と精神に大きな影響を与え続ける。 =====生平===== =====ホグワーツ時代===== ジェームズとリリーは1971年から1978年まで[[ホグワーツ魔法魔術学校]]に在学し、二人とも[[グリフィンドール]]寮に所属していた。 [[ジェームズ・ポッター]]は純血の家系に生まれ、才能豊かなクィディッチ選手(チェイサー)であり、友人の[[シリウス・ブラック]]、[[リーマス・ルーピン]]、[[ピーター・ペティグリュー]]と共に「//いたずら仕掛け人// (The Marauders)」として知られていた。彼は非常に聡明であったが、特に[[セブルス・スネイプ]]に対しては傲慢でいじめを行う一面もあった。在学中に非合法で[[アニマガス]](牡鹿)に変身する能力を習得した。7年生の時には監督生 (Head Boy) に選ばれている。 [[リリー・ポッター]] (旧姓エバンズ) はマグル生まれの魔女であり、その才能は[[ホラス・スラグホーン]]教授から特に高く評価されていた。彼女は心優しく、正義感が強かったため、当初はジェームズの傲慢な態度を嫌っていた。幼馴染であった[[スリザリン]]寮の[[セブルス・スネイプ]]とは親友だったが、彼が闇の魔術に傾倒し、彼女を「//穢れた血// (Mudblood)」と呼んだことで友情は決裂した。リリーもまた7年生で監督生 (Head Girl) に選ばれた。 当初リリーはジェームズを避けていたが、彼が成熟するにつれて徐々に惹かれ合い、卒業後まもなく結婚した。 =====第一次魔法戦争===== ホグワーツ卒業後、ポッター夫妻は[[アルバス・ダンブルドア]]が率いる[[不死鳥の騎士団]]に加入し、[[ヴォルデモート卿]]とその信奉者である[[死喰い人]]と積極的に戦った。夫妻は三度にわたり[[ヴォルデモート卿]]の魔の手を逃れたことが記録されている。 [[シビル・トレローニー]]によって予言された「7月の終わりに生まれる、闇の帝王を打ち破る力を持つ男の子」が自分たちの息子[[ハリー・ポッター]]を指している可能性を知った夫妻は、[[ゴドリックの谷]]にある自宅で[[忠誠の呪文]]を用いて身を隠すことを決意した。 =====裏切りと死===== 当初、夫妻は[[秘密の守人]] (Secret-Keeper) として親友の[[シリウス・ブラック]]を指名するつもりだった。しかし、シリウスは[[ヴォルデモート卿]]が自分を狙うと考え、より目立たない[[ピーター・ペティグリュー]]を守人にすることを提案した。夫妻はこの提案を受け入れたが、ペティグリューは既に[[ヴォルデモート卿]]に寝返っており、夫妻の居場所を密告した。 1981年10月31日のハロウィーンの夜、[[ヴォルデモート卿]]は[[ゴドリックの谷]]のポッター家を襲撃した。ジェームズは杖を持たないまま[[ヴォルデモート卿]]に立ち向かい、ハリーとリリーが逃げる時間を稼ごうとしたが、[[死の呪い]]を受けて殺害された。リリーは息子のハリーを守るために命乞いを拒否し、自ら盾となって[[ヴォルデモート卿]]の前に立ちはだかった。彼女の愛に基づく自己犠牲は、古代の強力な[[守護の魔法]]となり、ハリーの体に宿った。その結果、[[ヴォルデモート卿]]がハリーに対して放った[[死の呪い]]は跳ね返り、彼自身の肉体を破壊することになった。 =====死後===== ポッター夫妻の姿は、物語の中で何度か霊的な形で現れる。 * 1995年、リトル・ハングルトンの墓地で、[[ヴォルデモート卿]]の杖とハリーの杖が[[プライオア・インカンタート]] (逆呪文効果) を起こした際に、杖から現れた「残像」として登場し、ハリーの脱出を助けた。 * 1998年、ハリーが禁じられた森で[[蘇りの石]]を使った際、ジェームズとリリーは[[シリウス・ブラック]]や[[リーマス・ルーピン]]と共に現れ、[[ヴォルデモート卿]]と対峙する息子に最後の勇気を与えた。 =====外貌と性格===== =====ジェームズ・ポッター===== * **外見**: 身長が高く痩せ型。父から息子ハリーに遺伝した、後頭部が逆立つ癖のある黒髪と、ヘーゼル色の瞳が特徴。丸い眼鏡をかけていた。 * **性格**: 非常に勇敢で友人に忠実な一方で、学生時代は傲慢で目立ちたがり屋な一面があった。しかし、彼は正義のためには命を懸けることを厭わない強い意志を持っており、リリーへの愛を通じて大きく成長した。 =====リリー・ポッター===== * **外見**: 非常に美しい女性で、濃い赤毛と、息子ハリーに受け継がれた輝くようなアーモンド形の緑色の瞳が特徴的だった。 * **性格**: 非常に勇敢で心優しい人物。強い道徳観を持ち、不正に対してはっきりと意見する強さを持っていた。彼女の愛の深さと自己犠牲の精神は、物語における最も強力な[[魔法]]の源となった。 =====魔法能力と技巧===== =====ジェームズ・ポッター===== * **[[アニマガス]]**: 友人の[[リーマス・ルーピン]](人狼)を支えるため、非合法に牡鹿の[[アニマガス]]になる能力を習得した。彼のあだ名「プロングズ」はこれに由来する。 * **決闘能力**: 非常に優れた決闘者であり、[[不死鳥の騎士団]]の一員として[[死喰い人]]と渡り合った。 * **呪文創造**: [[忍びの地図]]の共同制作者の一人であり、高度な[[呪文学]]の知識を持っていた。 * **魔杖**: 11インチ、マホガニー材、しなやか。変身術に適しているとされる。 =====リリー・ポッター===== * **魔法薬学**: [[ホラス・スラグホーン]]教授が「教え子の中でも特に才能豊かだった」と語るほど、[[魔法薬学]]に並外れた才能を持っていた。 * **呪文学**: 非常に高度な[[呪文学]]の使い手であった。 * **古代魔術**: 彼女の自己犠牲は、[[ヴォルデモート卿]]が決して理解できなかった愛に基づく古代の[[守護の魔法]]を生み出した。これは、特定の呪文によるものではなく、愛という感情そのものが魔法となった稀有な例である。 * **魔杖**: 10と4分の1インチ、柳材、よくしなる。[[呪文学]]に適しているとされる。 =====重要物品===== * [[透明マント]]: [[ペベレル家]]から受け継がれた[[死の秘宝]]の一つ。ジェームズが所有していたが、彼の死の直前に[[ダンブルドア]]に預けられ、後に息子ハリーの手に渡った。 * [[忍びの地図]]: ジェームズが友人たちと共同で作成した、[[ホグワーツ]]の秘密を網羅した魔法の地図。 =====人際関係===== * **[[ハリー・ポッター]]**: 夫妻の一人息子。彼らの愛と犠牲は、ハリーの人生と物語の全てを形作る中心的な要素である。 * **[[セブルス・スネイプ]]**: リリーの幼馴染であり、生涯彼女を愛し続けた。ジェームズとは学生時代から敵対関係にあった。リリーの死後、スネイプは彼女への愛ゆえに[[ダンブルドア]]側の二重スパイとなり、陰からハリーを守り続けた。 * **[[シリウス・ブラック]]**: ジェームズの無二の親友で、ハリーの名付け親。 * **[[リーマス・ルーピン]]**: ジェームズの親友であり、リリーとも親しい間柄だった。 * **[[ピーター・ペティグリュー]]**: かつての友人だったが、夫妻を裏切って[[ヴォルデモート卿]]に売り渡した。 * **[[アルバス・ダンブルドア]]**: 夫妻が深く信頼した[[不死鳥の騎士団]]のリーダーであり、彼らの死後はハリーの後見人となった。 * **[[ヴォルデモート卿]]**: 夫妻を殺害した宿敵。 =====名前詞源===== * **James (ジェームズ)**: ヘブライ語に由来する伝統的な英語名で、「取って代わる者」を意味する。 * **Potter (ポッター)**: 英語の職業姓で「陶芸家」を意味する。作者は幼少期からこの名前を気に入っていたと語っている。 * **Lily (リリー)**: 「ユリ」の花を意味し、西洋文化では純潔、無垢、再生の象徴とされる。彼女の自己犠牲の性質を強く反映している。 * **Evans (エバンズ)**: ウェールズ起源の一般的な姓。 =====幕後情報===== * ジェームズの両親であるフリーモント・ポッターとユーフェミア・ポッターは、ジェームズを高齢で授かった後、彼がホグワーツを卒業する前に[[ドラゴン痘]]で亡くなったとされる。(Pottermore) * 映画版では、写真や回想シーンで登場する若い頃の夫妻と、[[蘇りの石]]によって現れる霊体の夫妻は、異なる年齢の俳優によって演じられている。(映画設定)