====== リドル家 ====== ===== 概要 ===== リドル家は、[[リトル・ハングルトン]]の村に住んでいた裕福で著名な[[マグル]]の旧家である。一家は地元の名士であったが、傲慢で人望がなかったとされている。この一家は、[[トム・マールヴォロ・リドル]]、後の[[ヴォルデモート卿]]の父方の血縁であり、彼の魔法界への憎悪と[[マグル]]への軽蔑を形成する上で重要な役割を果たした。最終的に、リドル家は若き日の[[トム・マールヴォロ・リドル]]自身の手によって惨殺され、その悲劇は[[ヴォルデモート]]の闇の道への第一歩となった。 ===== 構成員 ===== * **[[トーマス・リドル]]**: ヴォルデモートの父方の祖父。妻のメアリーと共に息子トム・シニアを溺愛していた。 * **[[メアリー・リドル]]**: ヴォルデモートの父方の祖母。トーマスと共に殺害された。 * **[[トム・リドル・シニア]]**: ヴォルデモートの父親。ハンサムで裕福な青年だったが、[[メローピー・ゴーント]]に[[惚れ薬]]で誘惑され結婚。薬の効果が切れると、妊娠中の彼女を捨てて実家に戻った。 ===== 歴史 ===== ==== ゴーント家との関係 ==== リドル家は[[リトル・ハングルトン]]で最も立派な邸宅「リドルの館」に住み、地主 (squire) として知られていた。村の反対側には、貧困にあえぐ純血の魔法族の末裔、[[ゴーント家]]が住んでいた。[[サラザール・スリザリン]]の子孫である[[メローピー・ゴーント]]は、リドル家の息子[[トム・リドル・シニア]]に密かに恋をしていた。 父親の[[マールヴォロ・ゴーント]]と兄の[[モーフィン・ゴーント]]が[[アズカバン]]に収監された後、[[メローピー]]は[[惚れ薬]]を使って[[トム・リドル・シニア]]を魅了し、彼と駆け落ちした。しかし、彼女は夫が自分自身を愛してくれることを期待して薬の使用をやめた。正気に戻った[[トム・リドル・シニア]]は、魔法族の妻に嫌悪感を抱き、妊娠中の彼女を捨てて[[リトル・ハングルトン]]の実家へ帰ってしまった。彼は村人たちに「騙された」「たぶらかされた」と語っていた。 ==== 惨殺事件 ==== 1943年の夏、ロンドンの孤児院で育った16歳の[[トム・マールヴォロ・リドル]]は、自身の出自を探るために[[リトル・ハングルトン]]を訪れた。彼は叔父の[[モーフィン・ゴーント]]から、母親が魔女であり、父親が自分たちを捨てた[[マグル]]であることを知る。この事実に激怒した[[トム]]は、[[ゴーント家]]の家宝である[[マールヴォロ・ゴーントの指輪]]を奪い、父親への復讐を決意した。 彼はリドルの館へ向かい、[[アバダ・ケダブラ]]の呪文で父親の[[トム・リドル・シニア]]、祖父の[[トーマス・リドル]]、祖母の[[メアリー・リドル]]の三人を殺害した。その後、[[モーフィン]]の元へ戻り、偽の記憶を植え付けて彼に殺人の罪を着せた。[[マグル]]の警察は、外傷が一切ない三人の遺体を見て困惑したが、[[モーフィン]]が犯行を「自白」したため事件は解決したと見なされた。リドル家の庭師であった[[フランク・ブライス]]も一時期容疑者とされたが、証拠不十分で釈放された。 ===== 物語における役割 ===== リドル家の存在と死は、[[ハリー・ポッター]]の物語全体において極めて重要な意味を持つ。 * **[[分霊箱]]の作成**: [[ヴォルデモート]]は父親である[[トム・リドル・シニア]]の殺害をもって、[[マールヴォロ・ゴーントの指輪]]を自身の最初の[[分霊箱]]に変えた。 * **[[ヴォルデモート]]の隠れ家と復活**: 第一次魔法戦争後、力を失った[[ヴォルデモート]]は、1994年夏に荒れ果てたリドルの館を[[ピーター・ペティグリュー]]([[ワームテール]])との隠れ家として利用した。庭師の[[フランク・ブライス]]は彼らの計画を盗み聞きしたために殺害された。その後、[[リトル・ハングルトン]]の墓地で執り行われた復活の儀式では、「父親の骨」として[[トム・リドル・シニア]]の墓から骨が使われた。 * **[[プライオア・インカンタテム]]**: 墓地での[[ハリー・ポッター]]との決闘の際、[[ヴォルデモート]]の[[杖]]から[[プライオア・インカンタテム]](逆呪文の効果)によって、[[トム・リドル・シニア]]、[[トーマス・リドル]]、[[メアリー・リドル]]の霊姿が出現した。彼らは[[ハリー]]を励まし、彼がその場から脱出するためのわずかな時間を稼いだ。 ===== 幕後情報 ===== * 映画『[[ハリー・ポッターと炎のゴブレット]]』では、物語の冒頭で[[フランク・ブライス]]がリドルの館で殺害される場面が詳細に描かれており、リドル一家三人が殺害される様子も回想として視覚的に表現されている。