======ヴェーラ====== =====概要===== ヴェーラ (Veela) は、東ヨーロッパ、特に[[ブルガリア]]に生息するとされる、[[人間]]の姿に似た半人的な[[魔法生物]]の一種である。彼女たちは息をのむほどの美しさを持つ女性の姿をしているが、怒ると恐ろしい鳥のような姿に変身することで知られている。その魅力と激しい気性から、魔法界では広く知られた存在である。 [[フラー・デラクール]]は祖母がヴェーラであったため、四分の一ヴェーラの血を引いている。 =====外見と性質===== ヴェーラの外見と性質は、その感情の状態によって劇的に変化する。 * **通常時:** ヴェーラは非常に美しい女性の姿をしている。その肌は月のように輝き、金色の髪は風がないのに宙に舞う。彼女たちの容姿と、後述する魔法的な魅力は、特に[[男性]]に対して抗いがたい影響を与える。 * **激昂時:** ヴェーラが怒ると、その美しい顔は長く鋭い嘴を持つ残酷な鳥の頭に変わり、肩からは鱗に覆われた翼が生える。この**恐ろしく鳥のような姿**に変身した際、彼女たちは非常に危険な存在となる。 * **性質:** ヴェーラは非常に気位が高く、激しい気性を持つことで知られている。侮辱されたと感じると、即座に怒りを爆発させ、攻撃的になる傾向がある。 =====生態と魔法的特徴===== ヴェーラは、その美しさだけでなく、強力な魔法的能力をいくつも備えている。 * **魅了:** ヴェーラは、踊りや音楽を通じて周囲の男性を魅了し、理性を失わせることができる。1994年の[[クィディッチ・ワールドカップ]]では、[[ブルガリア・ナショナル・クィディッチ・チーム]]のマスコットとして登場し、その踊りで観客や審判さえも虜にした。この効果は非常に強力で、[[ハリー・ポッター]]や[[ロン・ウィーズリー]]も一時的に我を忘れて愚かな行動をとりそうになった。 * **炎の生成:** 怒って変身した際、ヴェーラは手から火の玉を投げつけて攻撃することができる。[[クィディッチ・ワールドカップ]]では、アイルランドチームのマスコットである[[レプラコーン]]に挑発され、実際に火の玉を放った。 * **ヴェーラの髪:** ヴェーラの髪の毛は、[[杖]]の[[芯]]として使用できる強力な魔法物質である。しかし、[[ギャリック・オリバンダー]]によれば、ヴェーラの髪は非常に//「気まぐれ」//な性質を持つため、彼はその芯材を好んで使用しない。[[フラー・デラクール]]の杖の芯は、彼女の祖母であるヴェーラの髪の毛であった。 =====人間との関係===== ヴェーラは[[人間]]の男性と結婚し、子孫を残すことができる。その子供たちはヴェーラの血を引き継ぎ、常人離れした美しさや魅力を備えることが多い。 * **[[フラー・デラクール]]**とその妹**[[ガブリエル・デラクール]]**は、ヴェーラの血を引く者として知られている最も著名な例である。彼女たちの母、[[アポリーヌ・デラクール]]は半ヴェーラである。 * ヴェーラの血を引く者は、その魅力によって他者を惹きつけるが、同時に激しい気性も受け継ぐことがある。 =====物語における役割===== * **『[[ハリー・ポッターと炎のゴブレット]]』:** ヴェーラが初めて登場し、その存在が詳しく描写された巻である。[[クィディッチ・ワールドカップ]]でのマスコットとしての役割は、読者に強い印象を与えた。また、[[三大魔法学校対抗試合]]の[[ボーバトン魔法アカデミー]]代表である[[フラー・デラクール]]がヴェーラの血を引いていることが明かされ、物語の重要な要素となった。 * **『[[ハリー・ポッターと死の秘宝]]』:** [[ビル・ウィーズリー]]と[[フラー・デラクール]]の結婚式にフラーの親戚としてヴェーラたちが参列し、その美しさで再び注目を集めた。 =====名前の由来===== 「ヴェーラ (Veela)」という名前は、スラブ神話に登場する精霊「ヴィラ (Vila)」に由来すると考えられている。神話におけるヴィラは、山や森に住む美しい女性の姿をした精霊で、歌や踊りで人を魅了するが、怒らせると恐ろしい存在に変わるとされている。この特徴は、J.K. ローリングが描いたヴェーラの性質と酷似している。 =====幕後情報===== * 映画版『[[ハリー・ポッターと炎のゴブレット]]』では、ヴェーラが怒って変身する際、原作の「鳥のような姿」とは異なり、炎のようなエネルギー体に変化する描写となっている。(映画版の設定)