====== 七人のポッター (The Seven Potters) ====== ===== 概要 ===== 「七人のポッター」とは、第二次魔法戦争の最中である1997年7月27日に、[[ハリー・ポッター]]をダーズリー家のある[[プリベット通り]]4番地から[[不死鳥の騎士団]]の隠れ家である[[隠れ穴]]へ安全に移動させるために実行された作戦の通称である。[[ヴォルデモート卿]]とその[[死喰い人]]たちの目を欺くため、6人の仲間が[[ポリジュース薬]]を飲んでハリーの姿に変身し、合計7人のハリー・ポッターが存在するように見せかけた。 ===== 背景 ===== ハリーが17歳になる誕生日を目前に控え、彼の母親[[リリー・ポッター]]が命を賭してかけた古代の守りの魔法が失効する状況にあった。この魔法は、ハリーが血縁者であるダーズリー家と共にいる限り、彼を[[ヴォルデモート卿]]から守るものであった。保護が解ける瞬間を狙い、[[死喰い人]]たちがハリーを襲撃することは確実視されていたため、[[不死鳥の騎士団]]は彼をより安全な場所へ移送する必要があった。 ===== 計画の詳細 ===== この作戦は、[[アラスター・ムーディ]]が立案・指揮した(ただし、後に[[セブルス・スネイプ]]が発案者であることが明かされる)。計画の核心は、[[ポリジュース薬]]を用いて6人の身代わりを作り出し、敵の戦力を分散させることにあった。7人の「ハリー」はそれぞれ騎士団の屈強なメンバーと二人一組になり、異なるルートで別々の隠れ家へ向かい、そこから[[ポートキー]]で最終目的地である[[隠れ穴]]を目指す手筈だった。 * **身代わりと護衛のペア** - **[[ハリー・ポッター]] (本人)** と **[[ルビウス・ハグリッド]]**:[[シリウス・ブラック]]の改造バイクで移動。目的地は[[テッド・トンクス]]の家。 - **[[ハーマイオニー・グレンジャー]]** (ハリーに変身) と **[[キングズリー・シャックルボルト]]**:[[セストラル]]で移動。 - **[[ロン・ウィーズリー]]** (ハリーに変身) と **[[ニンファドーラ・トンクス]]**:箒で移動。目的地はミュリエルおばさんの家。 - **[[フラー・デラクール]]** (ハリーに変身) と **[[ビル・ウィーズリー]]**:[[セストラル]]で移動。 - **[[フレッド・ウィーズリー]]** (ハリーに変身) と **[[アーサー・ウィーズリー]]**:箒で移動。 - **[[ジョージ・ウィーズリー]]** (ハリーに変身) と **[[リーマス・ルーピン]]**:箒で移動。 - **[[マンダンガス・フレッチャー]]** (ハリーに変身) と **[[アラスター・ムーディ]]** (マッド-アイ):箒で移動。 ===== 実行と結果 ===== 作戦は開始直後、待ち伏せしていた約30人の[[死喰い人]]による急襲を受けた。これにより、空中での激しい戦闘が勃発した。 * **主な犠牲と被害** - **[[ヘドウィグ]]**: ハリーを守ろうとして、[[死の呪い]]に当たり死亡した。 - **[[アラスター・ムーディ]]**: [[マンダンガス・フレッチャー]]が恐怖のあまり[[姿くらまし]]で逃亡したため、一人になったところを[[ヴォルデмоート卿]]本人に殺害された。遺体は回収されなかった。 - **[[ジョージ・ウィーズリー]]**: [[セブルス・スネイプ]]が放った[[セクタムセンプラ]]の呪文により、片耳を失う重傷を負った。 * **ハリーの正体の露見** 本物のハリーは、[[服従の呪文]]下に置かれていた[[スタン・シャンパイク]]に対して、彼の得意呪文である[[武装解除呪文]] ([[エクスペリアームス]]) を使ってしまった。この行動が、[[死喰い人]]たちに彼が本物であると特定させる決定的な手がかりとなった。その後、ハリーは[[ヴォルデモート卿]]自身の追跡を受けるが、ハリーの杖が自己防衛的に放った黄金の炎の呪文により、[[ルシウス・マルフォイ]]から借りたヴォルデモートの杖を破壊し、辛くも逃げ延びた。 ===== 幕後情報 ===== 作戦の情報が[[死喰い人]]に漏洩していた原因は、[[セブルス・スネイプ]]にあった。しかし、彼の行動は二重スパイとしての複雑な役割の一環であった。 - **計画の発案**: 「七人のポッター」作戦自体、元はスネイプが発案したものである。彼は[[アルバス・ダンブルドア]]の指示の下、[[マンダンガス・フレッチャー]]に[[錯乱呪文]]をかけ、この作戦を彼自身のアイデアだと思い込ませて[[不死鳥の騎士団]]に提案させた。これは、ハリーを確実に守るための最善策であった。 - **情報の漏洩**: スネイプは[[ヴォルデモート卿]]の信頼を維持するため、ハリーの移動日という**正しい情報**を意図的に漏らした。しかし、彼は本物のハリーが誰であるか、また移動手段の詳細については伝えなかった。彼がジョージの耳を切り落としてしまったのは、闇の魔術師を追うふりをして放った呪文が、偶発的に当たってしまった事故であった。この事実は、後にハリーがスネイプの記憶を[[憂いの篩]]で見ることで明らかになる。