======三大学校対抗試合====== =====概要===== 三大学校対抗試合 (Triwizard Tournament) は、ヨーロッパで最も名高い三大魔法学校、すなわち[[ホグワーツ魔法魔術学校]]、[[ボーバトン魔法アカデミー]]、そして[[ダームストラング専門学校]]の間で開催される、伝説的な魔法競技会です。この試合は、各校から選ばれた一人の「勇者 (Champion)」が、魔法の技能、知力、そして勇気を試す三つの危険な課題に挑む形式で行われます。 試合の目的は、異なる国の若い魔法使いや魔女たちの間に国際的な友好関係と協力を育むことにありますが、その歴史は死傷者が絶えない過酷なものでした。優勝者には三大魔法学校対抗試合の優勝杯 (Triwizard Cup) と、多額の賞金(1994年度は1000[[ガリオン]])が贈られます。 =====歴史===== この対抗試合は約700年前に創設され、当初は5年ごとに開催されていました。しかし、課題の危険性が極めて高く、死者を出すことが頻繁にあったため、魔法界では常に物議を醸す存在でした。 1792年の大会で、一匹の[[コカトリス]]が逃げ出し、三校の校長全員を負傷させるという大惨事が発生しました。この事件をきっかけに、対抗試合は無期限に中止されることになりました。 その後、数世紀の中断を経て、1994年に[[魔法省]]の国際魔法協力部とスポーツ・ゲーム部の尽力により、より厳格な安全対策の下で復活し、[[ホグワーツ魔法魔術学校]]を舞台に開催されました。 =====ルールと進行 (1994-1995年度)===== 1994年に復活した対抗試合では、参加者の安全を確保するために新たなルールが導入されました。 * **参加資格** * 参加を希望する生徒は、成人と見なされる17歳以上でなければなりませんでした。この規則を徹底するため、[[アルバス・ダンブルドア]]は[[炎のゴブレット]]の周囲に強力な[[年齢線]]を引きました。 * **勇者の選出** * 勇者は、公平無私な選者である魔法の道具「[[炎のゴブレット]]」によって選ばれます。生徒は自分の名前と学校名を書いた羊皮紙をゴブレットに投じ、ゴブレットが各校に最もふさわしいと判断した代表者一人を選び出します。 * 1994年の大会では、[[セドリック・ディゴリー]]([[ホグワーツ魔法魔術学校]])、[[ビクトール・クラム]]([[ダームストラング専門学校]])、[[フラー・デラクール]]([[ボーバトン魔法アカデミー]])の三名に加え、謎の四人目の勇者として[[ハリー・ポッター]]が選ばれました。 * **審判** * 試合の採点は、開催校と参加校の校長、および[[魔法省]]の高官からなる審判団によって行われました。 * 1994年度の審判は以下の通りです。 * [[アルバス・ダンブルドア]] ([[ホグワーツ魔法魔術学校]]校長) * [[イゴール・カルカロフ]] ([[ダームストラング専門学校]]校長) * [[オリンペ・マクシーム]] ([[ボーバトン魔法アカデミー]]校長) * [[ルード・バグマン]] ([[魔法省]]、魔法ゲーム・スポーツ部長) * [[バーテミウス・クラウチ・シニア]] ([[魔法省]]、国際魔法協力部長) * **伝統行事** * **クリスマス・ダンスパーティ (Yule Ball):** クリスマスの夜に開催される伝統的な舞踏会です。勇者たちはダンスパートナーと共に、舞踏会の最初のダンスを踊る名誉を与えられます。 * **課題** * **第一の課題:** 卵を守る母親[[ドラゴン]]の巣から、金色の卵を奪い取ること。この卵には第二の課題への手がかりが隠されていました。勇者たちが対峙したドラゴンは、[[ウェールズ・グリーン普通種]]、[[中国火の玉種]]、[[スウェーデン・ショートスナウト種]]、そして最も危険な[[ハンガリー・ホーンテール種]]でした。 * **第二の課題:** [[ホグワーツの湖]]の底に住む[[水中人]]から、自分にとって「最も大切な人」を1時間以内に救出すること。人質となったのは、[[ロン・ウィーズリー]]、[[ハーマイオニー・グレンジャー]]、[[チョウ・チャン]]、そして[[フラー・デラクール]]の妹[[ガブリエル・デラクール]]でした。 * **第三の課題:** [[クィディッチ]]競技場に作られた巨大な生け垣の迷路を進み、中央に置かれた[[三大魔法学校対抗試合の優勝杯]]に到達すること。迷路には[[爆発しっぽスクリュート]]、[[ボガート]]、[[アクロマンチュラ]]、[[スフィンクス]]など、様々な魔法生物や障害が配置されていました。 =====物語における役割===== 『[[ハリー・ポッターと炎のゴブレット]]』において、三大学校対抗試合は物語の根幹をなすプロット装置として機能します。その復活自体が、死喰い人である[[バーテミウス・クラウチ・ジュニア]]が、[[ヴォルデモート卿]]を復活させるための壮大な計画の一部でした。 [[ポリジュース薬]]で[[アラスター・ムーディ]]になりすました[[バーテミウス・クラウチ・ジュニア]]は、強力な[[錯乱の呪文]]を使って[[炎のゴブレット]]を騙し、年齢制限に満たない[[ハリー・ポッター]]を四人目の勇者として選出させました。彼は一年を通じてハリーを陰から助け、すべての課題をクリアできるように導きました。その最終目的は、ハリーを優勝杯に触れさせることでした。 第三の課題のゴールに置かれた優勝杯は、[[リトル・ハングルトン]]の墓地へ移動する[[ポートキー]]に作り変えられていました。これにより、ハリーと[[セドリック・ディゴリー]]は[[ヴォルデモート卿]]の待つ罠の真っ只中に転送され、セドリックは殺害され、ハリーの血を使ってヴォルデモートは完全な肉体を取り戻しました。 この出来事は、魔法界における平和な時代の終わりと、[[第二次魔法戦争]]の本格的な始まりを告げる、物語全体の大きな転換点となりました。 =====幕後情報===== * **映画版との相違点:** 映画『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』では、いくつかの点で原作との違いが見られます。(映画版設定) * 第三の課題である迷路は、原作に登場した魔法生物や[[スフィンクス]]のなぞなぞは省略され、代わりに生け垣自体が動いて勇者を妨害する、よりダイナミックな脅威として描かれました。 * [[ルード・バグマン]]や[[バーテミウス・クラウチ・シニア]]の背景に関する詳細な描写の多くが省略されています。