====== 杖の検査 ====== =====基本情報===== * タイプ (Type): 魔法儀式 * 主催者 (Organizers): [[魔法省]]、[[三大魔法学校対抗試合]] 審判団 * 専門家 (Expert): [[ギャリック・オリバンダー]] (1994年大会) * 参加者 (Participants): [[三大魔法学校対抗試合]]の[[勇者]] (Champions) =====記述と様相===== 杖の検査は、[[三大魔法学校対抗試合]]の伝統的な開始儀式の一つです。1994年に行われた儀式は、[[ホグワーツ城]]内の比較的小さな教室で行われました。部屋の中央には審判団([[アルバス・ダンブルドア]]、[[イゴール・カルカロフ]]、[[オリンペ・マクシーム]]、[[ルード・バグマン]]、[[バーテミウス・クラウチ・シニア]])が座るためにベルベットで覆われた長いテーブルが置かれ、その傍らには四人の[[勇者]]が待機します。 この儀式は、報道陣にも公開される公式行事としての側面を持ちます。//[[日刊予言者新聞]]//の記者[[リータ・スキーター]]と写真家が参加したことで、儀式はやや緊張感と扇情的な雰囲気に包まれました。全体として、古くからの伝統に従う厳粛な手続きですが、同時にメディア向けのパフォーマンスという性質も帯びています。 =====魔法的特性と用途===== 杖の検査の主目的は、[[勇者]]たちが試合で用いる[[魔杖]]が、危険な課題に挑む上で**完璧に機能し、安全であること**を確認することにあります。これは、競技の公正性を保ち、参加者の安全を確保するための重要な手続きです。 手続きは、国際的に認められた[[魔杖]]製作の権威によって執り行われます。1994年の大会では、イギリスで最も著名な杖作りである[[ギャリック・オリバンダー]]がその役目を担いました。彼は一人ひとりの[[勇者]]から[[魔杖]]を受け取り、その材質、芯、長さ、柔軟性などを詳細に鑑定し、機能に問題がないかを確認するために簡単な魔法をかけてみせます。 1994年の検査で確認された[[魔杖]]の仕様は以下の通りです。 * **[[フラー・デラクール]]の杖**: * **材質**: ローズウッド * **長さ**: 9.5インチ (約24cm) * **柔軟性**: しならない * **芯**: [[ヴィーラ]]の髪の毛(フラーの祖母のもの) * **特徴**: [[オリバンダー]]によれば「気性が激しい」杖。検査では花束を出現させた。 * **[[セドリック・ディゴリー]]の杖**: * **材質**: トネリコ * **長さ**: 12.25インチ (約31cm) * **柔軟性**: 心地よくしなる * **芯**: [[ユニコーン]]の雄の尾の毛一本 * **特徴**: 非常に優れた[[ユニコーン]]から採取された毛が使われている。検査では銀色の煙の輪を噴出させた。 * **[[ビクトール・クラム]]の杖**: * **材質**: シデ * **長さ**: 10.25インチ (約26cm) * **柔軟性**: かなり硬い * **芯**: [[ドラゴン]]の心臓の琴線 * **製造者**: [[グレゴロビッチ]] * **特徴**: 通常より分厚く、がっしりとした作り。検査では鳥の群れを出現させた。 * **[[ハリー・ポッター]]の杖**: * **材質**: ヒイラギ * **長さ**: 11インチ (約28cm) * **柔軟性**: しなやか * **芯**: [[不死鳥の羽根]] ([[フォークス]]の尾羽根) * **特徴**: [[ヴォルデモート]]卿の杖と「兄弟杖」であることが[[オリバンダー]]によって改めて確認された。検査では金の火花を噴出させた。 =====歴史===== 杖の検査は、[[三大魔法学校対抗試合]]が創設された当初からの古い伝統です。何世紀にもわたり、大会の安全規定の一環として、また最初の公式行事として行われてきました。その歴史は、魔法界における競技の公正さと伝統の尊重を象徴しています。 =====物語における役割===== この儀式は、//[[ハリー・ポッターと炎のゴブレット]]//において極めて重要な役割を果たします。 * **メディアによる歪曲**: [[リータ・スキーター]]はこの機会を利用して[[ハリー・ポッター]]に独占インタビューを行い、彼の言葉を歪めた扇情的な記事を//[[日刊予言者新聞]]//に掲載しました。これは、ハリーが大会期間中にメディアから不当な扱いを受けることの始まりとなります。 * **兄弟杖の伏線**: [[オリバンダー]]がハリーと[[ヴォルデモート]]の杖が同じ[[不死鳥の羽根]]を芯に持つ「兄弟杖」であることに言及し、懸念を示します。この事実は、物語のクライマックスで発生する[[プリオリ・インカンタテム]](逆転呪文の効果)現象の決定的な伏線となります。[[オリバンダー]]が「このような組み合わせの杖が対戦した場合、何が起こるか常に予測がつかない」と述べたことは、リトル・ハングルトンの墓場での決闘の結果を予示していました。 =====幕後情報===== * **映画での変更**: 映画版『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』では、杖の検査のシーンは大幅に短縮・簡略化されています。[[ギャリック・オリバンダー]]は登場せず、[[バーテミウス・クラウチ・シニア]]が形式的に杖を確認するのみです。杖の詳しい仕様や、ハリーとヴォルデモートの杖の繋がりに関する重要な会話は、この場面では描かれていません。(映画設定)