======組分けの儀式====== =====儀式の基本情報===== * タイプ (Type): [[ホグワーツ魔法魔術学校]]の伝統儀式 * 場所 (Location): [[大広間]] * 参加者 (Participants): 新一年生 * 執行者 (Executor): 副校長 (例: [[ミネルバ・マクゴナガル]]) * 主要な道具 (Key Tool): [[組分け帽子]] * 目的 (Purpose): 新入生を[[グリフィンドール]]、[[ハッフルパフ]]、[[レイブンクロー]]、[[スリザリン]]の4つの寮に振り分けること =====儀式の流れ===== 組分けの儀式は、毎年9月1日の学期始めの晩餐会で、新一年生に対して行われます。儀式の流れは以下の通りです。 - 1. 副校長が一年生を率いて[[大広間]]に入場する。 - 2. 一年生は、全校生徒が見守る中、教職員テーブルの前に整列する。 - 3. 古びた[[組分け帽子]]が四本脚の椅子の上に置かれ、突然つぎはぎの口を開けて、その年のために書き下ろした新しい「組分けの歌」を歌う。歌の内容は毎年変わり、時には学校の団結を促す警告を含むこともある。 - 4. 副校長が羊皮紙の巻物を広げ、新入生の名前をアルファベット順に一人ずつ読み上げる。 - 5. 名前を呼ばれた生徒は椅子に座り、[[組分け帽子]]をかぶる。 - 6. [[組分け帽子]]は生徒の頭の中で直接対話し、その資質、才能、そして本人の選択を考慮して、最もふさわしい寮を決定する。 - 7. 寮が決定すると、[[組分け帽子]]はその寮の名前を[[大広間]]中に響き渡る声で叫ぶ。 - 8. 指名された寮のテーブルから歓声が上がり、新入生は自分の寮のテーブルに着席する。 全員の組分けが完了すると、校長が挨拶をし、晩餐会が始まります。 =====魔法的性質と重要性===== この儀式は、単なる寮分け以上の深い意味を持っています。 * **魔法の性質**: [[組分け帽子]]は、極めて高度な[[開心術]]の使い手であり、かぶった者の精神を読み取り、その者の能力、価値観、隠された資質を見抜きます。これは、ホグワーツの創設者4人の知性を集約した魔法によるものです。 * **選択の尊重**: [[組分け帽子]]は生徒の資質を評価しますが、最終的には**本人の選択**を何よりも重視します。[[ハリー・ポッター]]の組分けはその最も有名な例です。彼は[[スリザリン]]に必要な資質をすべて備えていましたが、「スリザリンは嫌だ」という彼の強い意志を汲み取り、[[グリフィンドール]]に彼を組み分けました。後に[[アルバス・ダンブルドア]]は、//「その人の能力以上に、何を選択するかが本当の姿を示す」//とハリーに語っています。 * **学校生活への影響**: 組分けは、生徒の[[ホグワーツ]]での7年間の学校生活を決定づける極めて重要な出来事です。寝食を共にする仲間、[[クィディッチ]]のチーム、そして学年を超えた寮内の絆がここで形成され、寮対抗杯をめぐる健全な競争心の基礎となります。 =====歴史===== 組分けの儀式の起源は、[[ホグワーツ]]の創立時代に遡ります。 学校の創設者である[[ゴドリック・グリフィンドール]]、[[ヘルガ・ハッフルパフ]]、[[ロウェナ・レイブンクロー]]、そして[[サラザール・スリザリン]]は、当初は自分たちで直接生徒を選んでいました。しかし、自分たちの死後も、それぞれの寮にふさわしい生徒が選ばれ続ける仕組みを必要としていました。 この問題を解決するため、[[ゴドリック・グリフィンドール]]が自身の帽子を脱ぎ、4人の創設者全員がその帽子に自分たちの知性と魔法を注ぎ込みました。こうして、[[組分け帽子]]は創設者たちの代理として、彼らが重んじた資質(勇気、忠誠心、知性、野心)に基づいて未来の生徒たちを組み分けるという重要な役割を担うことになったのです。 =====物語における役割===== * **ハリー・ポッターと賢者の石**: 物語の序盤で儀式が詳細に描かれ、魔法界の伝統と[[ホグワーツ]]の寮制度を読者に紹介します。特に[[ハリー・ポッター]]の組分けは、彼の内なる葛藤と「選択」というシリーズ全体の重要なテーマを提示する最初の山場となります。 * **ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団**: [[組分け帽子]]が歌った歌は、[[ヴォルデモート卿]]の復活という脅威に直面する中で、寮同士が対立する危険性を説き、学校全体の団結を強く訴えるという異例の警告となりました。 * **ハリー・ポッターと死の秘宝**: [[ホグワーツの戦い]]の最中、[[ヴォルデモート卿]]は寮制度を廃止するために[[組分け帽子]]を燃やそうとします。しかし、[[ネビル・ロングボトム]]が燃える帽子の中から[[グリフィンドールの剣]]を引き抜き、[[ナギニ]]を討ち取ります。これは、[[組分け帽子]]が真の[[グリフィンドール]]生に対して、必要な時に助けを与えるという伝説を証明する象徴的な場面です。 =====舞台裏情報===== * **組分け困難者 (Hatstall)**: [[組分け帽子]]が生徒の寮を決めるのに5分以上かかった場合、その生徒は「組分け困難者 (Hatstall)」と呼ばれます。これは極めて稀な現象です。著名な例として、[[グリフィンドール]]と[[レイブンクロー]]の間で悩まれた[[ミネルバ・マクゴナガル]]や、[[グリフィンドール]]と[[スリザリン]]の間で悩まれた[[ピーター・ペティグリュー]]がいます。(Pottermore) * **映画版**: 映画では、第一作を除き、[[組分け帽子]]の歌はほとんど省略されています。しかし、帽子が自ら動き、生徒と対話する視覚的表現は、儀式の神秘的な雰囲気を効果的に描き出しています。(映画設定)