======闇の魔術に対する防衛術====== =====概要===== 闇の魔術に対する防衛術 (Defence Against the Dark Arts) は、[[ホグワーツ魔法魔術学校]] の必修科目の一つである。この授業の目的は、生徒たちに[[闇の魔術]]、[[闇の生物]]、そして[[闇の魔術師]]から身を守るための実践的および理論的な魔法知識を教えることである。この科目は、[[ヴォルデモート卿]]の台頭と彼の復活に伴い、物語全体を通じて極めて重要な役割を果たした。 特に、[[トム・マールヴォロ・リドル]]が[[アルバス・ダンブルドア]]にこの科目の教授職を二度断られて以来、このポジションには**強力な呪い**がかけられ、どの教師も一年以上務めることができなかったことで知られている。 =====授業内容===== 闇の魔術に対する防衛術のカリキュラムは、担当教授の専門分野や、その時々の魔法界の情勢によって大きく変動する。 * **一年生:** 主に比較的害の少ない[[呪い]]や[[妖精]]のような生物への対処法を学ぶ。[[クィリナス・クィレル]]教授の授業では、吸血鬼や狼人間に関する理論も含まれていたが、彼の授業は実践的ではなかった。 * **二年生:** [[ギルデロイ・ロックハート]]教授の授業は、彼自身の著書に基づいた自画自賛の内容に終始し、実践的な防衛術はほとんど教えられなかった。[[コーニッシュ・ピクシー]]の騒動がその一例である。 * **三年生:** [[リーマス・ルーピン]]教授の指導の下、生徒たちは初めて実践的で質の高い防衛術を学んだ。[[ボガート]]、[[赤い帽子]]、[[ヒンキーパンク]]、[[グリンデロー]]など、様々な闇の生物への対処法を実践的に習得し、[[ハリー・ポッター]]は個人的に[[吸魂鬼]] (ディメンター) を撃退するための高度な魔法、[[守護霊の呪文]]を学んだ。 * **四年生:** [[アラスター・ムーディ]] (正体は[[バーテミウス・クラウチ・ジュニア]]) の下で、生徒たちは[[許されざる呪文]]([[服従の呪文]]、[[磔の呪文]]、[[死の呪文]])について学び、それらを見抜き、抵抗する方法を教わった。 * **五年生:** [[魔法省]]から派遣された[[ドローレス・アンブリッジ]]教授は、実践的な魔法の使用を一切禁じ、//闇の魔術の防衛術・基礎// という教科書を読むだけの理論中心の授業を行った。これに対抗するため、ハリーたちは秘密裏に[[ダンブルドア軍団]]を結成し、自主的に防衛術を学んだ。 * **六年生:** [[セブルス・スネイプ]]教授は、[[無言呪文]]や[[闇の魔術]]の深層心理について教えた。彼の授業は実践的で高度な内容が多く、[[インフェリウス]]のような危険な存在への対処法も含まれていた。 * **七年生:** ヴォルデモート卿が魔法省を掌握すると、この科目は「**闇の魔術**」そのものを教える授業へと変貌した。[[アミカス・カロー]]教授は、生徒たちに[[磔の呪文]]を実践させるなど、残忍な指導を行った。 =====教授職の呪い===== [[トム・マールヴォロ・リドル]]が教授職を拒否されて以来、闇の魔術に対する防衛術の教師は誰一人として一年以上その職に留まることができなかった。この呪いは[[ヴォルデモート卿]]の死によって解かれたとされる (J.K. Rowling interview)。 ハリー・ポッター在学中の教授とその末路は以下の通りである。 - **1991-1992年:** [[クィリナス・クィレル]] - ヴォルデモート卿を後頭部に宿していたが、ハリーを守る[[リリー・ポッター]]の愛の魔法によって死亡した。 - **1992-1993年:** [[ギルデロイ・ロックハート]] - 自身の記憶呪文が[[ロン・ウィーズリー]]の壊れた[[杖]]によって逆噴射し、[[聖マンゴ魔法疾患傷害病院]]に永久入院となった。 - **1993-1994年:** [[リーマス・ルーピン]] - 自身が[[狼人間]] (ウェアウルフ) であることを[[セブルス・スネイプ]]に暴露され、保護者たちの抗議を予期して辞任した。 - **1994-1995年:** [[アラスター・ムーディ]] (正体は[[ポリジュース薬]]で変身した[[バーテミウス・クラウチ・ジュニア]]) - 正体を暴かれ、[[吸魂鬼の接吻]]を受けた。 - **1995-1996年:** [[ドローレス・アンブリッジ]] - [[禁じられた森]]で[[ケンタウルス]]の群れに連れ去られ、後にダンブルドアによって救出されたが職を解かれた。 - **1996-1997年:** [[セブルス・スネイプ]] - 念願の職に就いたが、学年末にダンブルドアを殺害し、ホグワーツから逃亡した。 - **1997-1998年:** [[アミカス・カロー]] - [[ホグワーツの戦い]]で敗北し、捕縛された。 =====物語における重要性===== この科目は、物語の進行と密接に関わっている。毎年代わる新しい教授は、その年の中心的な謎や対立のきっかけとなる。また、ハリーたちが直面する脅威に対抗するための実践的なスキルを学ぶ場であり、彼らの成長に不可欠な要素である。特に、アンブリッジへの反発から生まれた[[ダンブルドア軍団]]は、生徒たちの自主性と友情を育み、来るべき戦いへの重要な布石となった。 =====幕後情報===== * [[ヴォルデモート卿]]が呪いをかける以前、この科目は安定した科目であった。例えば、[[アルバス・ダンブルドア]]が[[変身術]]の教授になる前、この科目を教えていた時期がある。 * また、トム・リドルが就任を希望した際の前任者であるガラテア・メリーソートは、50年間この職を務めていた。 * J.K. ローリングはインタビューで、ヴォルデモート卿の死後、この呪いは解け、恒久的な教授(名前は明かされていない)が就任したと語っている (J.K. Rowling interview)。