======ペンシーブ====== =====基本情報===== * タイプ (Type): [[魔法道具]] * 所有者 (Owners): [[ホグワーツ魔法魔術学校]] (主に校長室に保管され、[[アルバス・ダンブルドア]]や[[セブルス・スネイプ]]が使用) * 製造者 (Maker): 不明 =====記述と外観===== ペンシーブ (Pensieve、日本語版での訳:**憂いの篩** (うれいのふるい)) は、記憶を保管し、追体験するための魔法の道具です。[[ホグワーツ魔法魔術学校]]の校長室にあるものは、ルーン文字やシンボルが刻まれた縁を持つ、浅く幅の広い石製の[[水盤]]です。 中に注がれた[[記憶]]は、液体とも気体ともつかない銀白色の物質として現れます。この物質は、時に溶けた銀や、渦を巻く雲のように見え、全体が明るく輝いています。[[セブルス・スネイプ]]も個人でほぼ同じ形状のペンシーブを所有していました。 =====魔法の特性と用途===== ペンシーブの主な魔法の特性と用途は以下の通りです。 * **記憶の保管**: 魔法使いは[[杖]]をこめかみに当て、思考や記憶を銀色の糸のような形で引き出し、ペンシーブの中に注ぐことができます。[[アルバス・ダンブルドア]]によれば、頭の中が考えや記憶でいっぱいになりすぎた際に、余分なものを吸い出し、後でゆっくりと吟味するために使用します。 * **記憶の閲覧**: 使用者はペンシーブの中に頭を入れる(または全身で飛び込む)ことで、保管された記憶の中に入り込み、出来事を追体験できます。閲覧者は、記憶の持ち主が見ていなかった細部も含め、あらゆる角度から出来事を観察できる三人称視点の透明な傍観者となります。記憶の中にいる人物たちが閲覧者に気づくことはありません。これにより、記憶の持ち主の主観や偏見から切り離された、客観的な事実を確認することができます。 * **記憶の共有**: 複数の人物が同時に一つの記憶を閲覧することが可能です。作中では、[[ダンブルドア]]が[[ハリー・ポッター]]に[[ヴォルデモート]]卿の過去を見せるために頻繁にこの機能を使用しました。 =====歴史===== [[ホグワーツ]]の校長室にあるペンシーブは非常に古くから存在します。その正確な製造者や製造年代は不明です。 [[ホグワーツ]]創設以前、4人の創設者たちが校舎を建てる予定の土地で、地面に半ば埋まった状態でこのペンシーブを発見したとされています (Pottermore)。彼らはこれが非常に強力な魔法の道具であることを見抜き、学校の重要な備品として保管することを決めました。 =====物語における役割===== ペンシーブは物語全体を通して、過去の出来事を明らかにし、重要な謎を解き明かすための鍵となる装置として機能します。 * //[[ハリー・ポッターと炎のゴブレット]]//: [[ハリー]]が初めてペンシーブと遭遇する巻です。彼は偶然これに落ち、[[ダンブルドア]]の記憶を通して、[[イゴール・カルカロフ]]や[[バーテミウス・クラウチ・ジュニア]]といった[[死喰い人]]たちの裁判を目撃します。 * //[[ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団]]//: [[閉心術]]の訓練中、[[ハリー]]は[[スネイプ]]のペンシーブに入り込み、彼の「最悪の記憶」を目にします。そこで、父[[ジェームズ・ポッター]]が[[スネイプ]]をいじめる場面や、[[スネイプ]]が[[リリー・エバンズ]]を「[[穢れた血]]」と呼んでしまう決定的な瞬間を知り、父や[[スネイプ]]に対する見方を複雑化させます。 * //[[ハリー・ポッターと謎のプリンス]]//: ペンシーブは物語の中心的な役割を担います。[[ダンブルドア]]と[[ハリー]]は一年をかけて、[[トム・マールヴォロ・リドル]]が孤児院で過ごした時代から、[[ホラス・スラグホーン]]から[[分霊箱]]について聞き出す場面まで、[[ヴォルデモート]]卿の過去に関する数々の記憶を旅します。これは、[[ヴォルデモート]]の不死の秘密を解明するための重要な過程でした。 * //[[ハリー・ポッターと死の秘宝]]//: [[スネイプ]]の死後、[[ハリー]]は彼から託された記憶をペンシーブで確認します。これにより、[[スネイプ]]が[[リリー]]を生涯愛し続け、[[ダンブルドア]]側の二重スパイとして動いていたこと、そして[[ハリー]]自身が[[ヴォルデモート]]の意図せぬ[[分霊箱]]であり、死ななければならないという衝撃の真実が明らかになります。 =====幕後情報===== 「ペンシーブ」(Pensieve) という名前は、深く物思いに沈む、思案するという意味の形容詞「pensive」と、不要なものを取り除くための「ふるい」を意味する名詞「sieve」を組み合わせた、J.K. ローリングによる造語です。これは、乱雑な思考や記憶を整理し、重要なものだけをふるいにかけて吟味するという、この道具の機能を的確に表現しています。