======賢者の石====== =====基本信息===== * タイプ (Type): [[錬金術]]の物質、魔法道具 * 所有者 (Owners): [[ニコラス・フラメル]]、[[アルバス・ダンブルドア]] (一時的な保管者) * 製造者 (Maker): [[ニコラス・フラメル]] =====記述と外観===== 賢者の石は、//ハリー・ポッターと賢者の石// の中で「血のように赤い石」と描写されています。その形状は完璧ではなく、不規則でざらざらした表面を持ち、大きさは鶏の卵ほどであったとされています。 =====魔法の特性と用途===== 賢者の石は、既知の限り二つの伝説的な魔法の特性を持っています。これらは、歴史上多くの魔法使いや魔女が追い求めた究極の目標と関連しています。 * **[[生命の水]]の生成:** 賢者の石を使い、[[生命の水]] (Elixir of Life) と呼ばれる霊薬を精製することができます。この水を飲み続けることで、飲んだ者は不死に近い長寿を得ることができます。製造者である[[ニコラス・フラメル]]と妻のペレネレは、この水によって600年以上にわたり生き続けました。しかし、その効果は永続的ではなく、定期的に飲み続けなければ命を維持することはできません。 * **卑金属の純金への変換:** 賢者の石は、あらゆる卑金属(鉛など)を純粋な黄金に変える能力を持っています。これは[[錬金術]]における最も有名な目標の一つです。 =====歴史===== 賢者の石は、著名な[[錬金術]]師である[[ニコラス・フラメル]]によって製造されました。彼は[[アルバス・ダンブルドア]]の旧友であり、石の力によって妻と共に6世紀以上もの間、平穏に暮らしていました。 1991年、[[ヴォルデモート]]が自身の肉体を取り戻し、完全な不死を達成するために賢者の石を狙っていることが判明します。この脅威を受け、[[ダンブルドア]]は[[グリンゴッツ魔法銀行]]の厳重な金庫から石を[[ホグワーツ魔法魔術学校]]へ移し、さらなる防衛魔法を施すことを決定しました。 石は[[ホグワーツ]]の地下深くにある一連の部屋に隠され、以下の教授たちによって守られました。 - [[ポモーナ・スプラウト]]教授による[[悪魔の罠]] - [[フィリウス・フリットウィック]]教授による翼のついた鍵 - [[ミネルバ・マクゴナガル]]教授による実物大の魔法使いのチェス - [[クィリナス・クィレル]]教授によるトロール(皮肉にも彼自身が[[ヴォルデモート]]の手先でした) - [[セブルス・スネイプ]]教授による魔法薬の論理パズル - [[アルバス・ダンブルドア]]による[[みぞの鏡]] 最終的に石は、それを使おうとせず、ただ「見つける」ことだけを望んだ[[ハリー・ポッター]]によって[[みぞの鏡]]から取り出されました。[[ヴォルデモート]]の企みが阻止された後、[[ダンブルドア]]と[[フラメル]]は、石が悪用される危険性を考慮し、それを破壊することに合意しました。石の破壊により、[[フラメル]]夫妻は自分たちが蓄えた[[生命の水]]を使い切った後、穏やかに死を迎えることとなりました。 =====物語における役割===== 賢者の石は、シリーズ第一作**[[ハリー・ポッターと賢者の石]]**における中心的なプロット・デバイス(マクガフィン)です。物語全体が、石を狙う[[ヴォルデモート]]と、それを守ろうとする[[ハリー・ポッター]]、[[ロン・ウィーズリー]]、[[ハーマイオニー・グレンジャー]]の冒険を軸に展開します。 この石は、[[ヴォルデモート]]の不死への執着を象徴する一方で、[[ハリー・ポッター]]の無欲で純粋な心(石を私利私欲のために使おうとしなかったこと)を証明する重要な試練となりました。最終的に石が破壊されるという結末は、シリーズ全体を貫く「死は受け入れるべき自然な摂理である」という重要なテーマを読者に提示しています。 =====幕後情報===== * 賢者の石はJ.K.ローリングの創作ではなく、現実世界の歴史的な[[錬金術]]において中心的な役割を果たす伝説の物質です。 * 書籍のイギリス初版のタイトルは //Harry Potter and the Philosopher's Stone// ですが、アメリカでの出版に際して、より読者に馴染みやすいようにという理由で //Harry Potter and the Sorcerer's Stone// に変更されました。これは非常に有名な事実です。