マダム・パディフットのティーショップは、ホグワーツ魔法魔術学校の生徒たちが週末に訪れる魔法族の村、ホグズミード村にある小さな店である。その店内は意図的に狭く作られており、蒸気で窓が曇っていることが多い。内装はフリルやリボンで過剰に飾り付けられており、二人掛けの小さな円テーブルがいくつも置かれている。この店は、特にホグワーツの生徒たちの間で、甘ったるい雰囲気のデートスポットとして有名である。 店の所有者は、ずんぐりした体つきで、つやつやした黒いお団子髪が特徴の魔女、マダム・パディフット本人である。彼女は店を訪れるカップルたちを甲斐甲斐しく世話する。 特にバレンタインデーには、店は特別な装飾が施される。この日には、金色のケルビム（智天使）が天井近くを飛び回り、来店したカップルの上にピンク色の紙吹雪を撒き散らす。
このティーショップは、『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』で重要な舞台として登場する。ハリー・ポッターとチョウ・チャンが、バレンタインデーに初めてのデートでこの店を訪れた。 しかし、ハリーはこの店の息が詰まるような甘ったるい雰囲気に居心地の悪さを感じていた。デートの最中、チョウ・チャンは前年に亡くなったセドリック・ディゴリーのことや、ハリーとハーマイオニー・グレンジャーの友情について話し、次第に感情的になって涙を流してしまう。ハリーがぎこちない対応しかできず、さらにハーマイオニーと会う約束があると口にしたことで、二人の間の溝は決定的となった。この気まずいデートの後、ハリーとチョウの関係は事実上終わりを迎える。 この場面は、ハリーの思春期の不器用な恋愛と、彼が背負う過酷な運命との対比を浮き彫りにする役割を果たしている。また、同じ店内にはレイブンクローのクィディッチ・キャプテンであるロジャー・デイビースもデート相手と共にいた。