ウルフスベーン薬

完成した薬からは、かすかに青い煙が立ち上る。味は非常に不味いとされている。リーマス・ルーピンは味を良くするために砂糖を加えようとしたが、セブルス・スネイプはそれによって薬の効果が損なわれると警告した。

ウルフスベーン薬は、人狼(ライカンスロープ)の治療薬ではない。その主な効果は、満月の夜に変身した人狼が、人間の理性を保ったまま、穏やかで無害な狼の姿でいられるようにすることである。

  • 薬を服用した人狼は、誰かを襲うことなく、静かな場所で変身の時をやり過ごすことができる。
  • 満月の一週間前から毎日一杯ずつ服用する必要がある。
  • 一度でも服用を忘れると、薬の効果は完全に失われ、服用者は危険な人狼へと変身してしまう。
  • 材料が非常に高価で、調合も極めて難しいため、多くの人狼にとって入手は困難である。

ウルフスベーン薬は、魔法界の歴史においては比較的新しい発明品である。発明者は、高名な魔法薬師であるダモクレス・ベルビー。彼はホラス・スラグホーンのかつての教え子であった。この薬の発明は、人狼による被害を抑制し、彼らの社会生活を改善する上で画期的な進歩と見なされている。

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』において、この薬は物語の重要な鍵となる。アルバス・ダンブルドアの計らいにより、セブルス・スネイプが毎月リーマス・ルーピンのためにこの薬を調合し、彼がホグワーツで教鞭を執ることを可能にした。しかし、物語のクライマックスでルーピンが服用を忘れたため、彼は人狼へと変身し、結果的にピーター・ペティグリューの逃亡を許してしまった。 シリーズ全体を通して、ウルフスベーン薬の入手の難しさは、リーマス・ルーピンが直面する社会的偏見と経済的困窮を象徴している。

  • 主成分であるウルフスベーン(和名:トリカブト)は、現実世界でも非常に強力な毒性を持つ植物であり、その危険な性質が薬の複雑さと人狼という存在の性質を反映している。
  • 公式サイト「Pottermore」では、この薬の調合の難しさや、魔法社会におけるその影響について、さらに詳しい情報が提供されている。(Pottermore)