エメラルドグリーンのインク

• タイプ: 魔法のインク
• 所有者: リータ・スキーター
• 製造者: 不明

その名の通り、鮮やかなエメラルドグリーン色をしたインク。この特徴的な色は、主にジャーナリストのリータ・スキーターが使用する速記羽ペンと関連付けられており、彼女の記事の視覚的な署名となっている。

このインク自体に固有の魔法の特性があるかは不明である。しかし、リータ・スキーターが使用する際には、速記羽ペンと組み合わせてその効果を発揮する。速記羽ペンは、話された言葉を自動で羊皮紙に書き記すが、その過程で内容を劇的に、かつ悪意を持って歪曲・捏造する性質を持つ。エメラルドグリーンのインクは、このペンによって生み出された虚偽あるいは誇張された物語を記録するための媒体として機能する。 このインクで書かれた記事は、魔法界の新聞である日刊予言者新聞や、雑誌の魔女週刊に掲載された。

このインクは、1994年から1995年にかけて開催された三校対抗試合の際に、リータ・スキーターによる一連の扇情的な記事を通じて魔法界で広く知られるようになった。

• 日刊預言者新聞の記事: ハリー・ポッターに関する最初のインタビュー記事をはじめ、ルビウス・ハグリッドの半巨人の出自や、ハーマイオニー・グレンジャーに関する恋愛スキャンダルなど、多くの誤解を招く記事がこのインクで書かれた。これらの記事は、ハリー・ポッターやその友人たちの評判に深刻な悪影響を与えた。
• ザ・クィブラーの記事: 1996年、ハーマイオニー・グレンジャーの脅迫により、リータ・スキーターはハリー・ポッターが語るヴォルデモート卿の復活に関する真実の物語を記事にした。この際にも彼女の速記羽ペンとエメラルドグリーンのインクが使われたが、ハーマイオニーの監視下にあったため、内容は正確に記録された。この記事はザ・クィブラーに掲載され、魔法省の公式見解に疑問を投げかける重要な役割を果たした。

エメラルドグリーンのインクは、単なる筆記用具の色以上に、魔法界における情報の不正確さ、ゴシップ、そして偏向報道の象徴として機能している。読者や登場人物がこの色のインクを目にするとき、それは即座にリータ・スキーターの信頼性の低いジャーナリズムを連想させる。 物語の中で、このインクは真実がいかに容易に歪められ、大衆に広まるかというテーマを視覚的に表現している。一方で、ザ・クィブラーの件では、同じ道具（ペンとインク）が真実を伝えるためにも使用されうることが示され、道具そのものではなく使い手の意図が重要であることを示唆している。

• 象徴的な色: 緑色は、ハリー・ポッターの世界においてしばしば否定的な意味合いを持つ。スリザリン寮の色であり、また死の呪いであるアバダ・ケダブラが放つ光の色でもある。エメラルドグリーンという色は、リータ・スキーターの野心的で、時に悪意に満ちた性格や、彼女の記事がもたらす害を象徴している可能性がある。