ウィザーディング・ワイヤレス・ネットワーク

ウィザーディング・ワイヤレス・ネットワーク (Wizarding Wireless Network, 略称: WWN) は、イギリスの魔法界における主要なラジオ放送網である。魔法使いや魔女は、無線機 (wireless) と呼ばれる魔法の道具を使ってその放送を聴取する。WWN はニュース、音楽、その他の娯楽番組を提供しており、平時においては魔法族の日常生活に根差した情報源であり、戦時下においてはプロパガンダと抵抗運動の両方のための重要なメディアとなった。一般には「ウィザーディング・ワイヤレス」として知られている。

WWN は物語を通じて、魔法界の社会情勢を反映する鏡として機能した。 第二次魔法戦争が激化する以前、WWN は主に娯楽メディアとして描かれていた。特にモリー・ウィーズリーが愛聴しており、彼女のお気に入りの歌手である「歌う魔女」セレスティナ・ウォルベックの特別番組が放送される場面がある。この時期の WWN は、魔法界の平和で日常的な側面を象徴していた。 ヴォルデモート卿魔法省を掌握した後、WWN は完全に闇の勢力の支配下に置かれた。放送内容はプロパガンダ一色となり、ハリー・ポッターを「好ましからざる者ナンバーワン」として非難し、マグル生まれの魔法使いに対する差別的な政策を正当化するための道具として利用された。これにより、WWN はかつての娯楽メディアから、恐怖と偽りを広めるための装置へと変貌した。 この状況に対抗するため、不死鳥の騎士団のメンバーが秘密裏に海賊ラジオ放送「ポッターウォッチ」を開始した。これは、魔法省のプロパガンダに対抗し、真実のニュースと希望を人々に届ける唯一の手段であった。

「ポッターウォッチ」 (Potterwatch) は、第二次魔法戦争中に不死鳥の騎士団によって運営された地下ラジオ番組である。この放送は、ヴォルデモート卿に支配された魔法省が流す偽情報に対抗し、抵抗者たちを鼓舞することを目的としていた。 放送は不定期に行われ、聴取するには毎回変わる合言葉が必要だった。作中で使用された合言葉には「アルバス」や「マッド-アイ」などがある。番組の司会者やゲストは、身元を隠すためにコードネームを使用した。

「ポッターウォッチ」は、ヴォルデモート陣営によって殺害された人々の名を読み上げ、マグルやマグル生まれを助ける方法を伝え、ハリー・ポッターへの支持を呼びかけるなど、抵抗運動の精神的な支柱となった。隠れ穴で逃亡生活を送っていたハリー・ポッターロン・ウィーズリーハーマイオニー・グレンジャーにとって、この放送は外部の状況を知り、孤独感を和らげるための貴重な情報源であった。

  • 魔女の時間 (Witching Hour):
  • ポッターウォッチ (Potterwatch):
    • 第二次魔法戦争中の海賊放送。詳細は上記の「ポッターウォッチ」の項を参照。
  • Pottermore によると、WWN はマグル界の BBC (英国放送協会) に相当する、より大きな組織「魔法放送協会 (Wizarding Broadcasting Corporation, W.B.C.)」の一部であるとされている (Pottermore)。
  • 同じく Pottermore で明かされた情報として、WWN には「妖精の耳 (Toots, Shoots 'n' Roots)」という園芸番組も存在し、ハーブ学者のチュリッパ・トゥーツが司会を務めている (Pottermore)。