ロナルド・ビリウス・ウィーズリー

ロナルド・ビリウス・ウィーズリー、通称ロンは、純血魔法使いであり、ハリー・ポッターハーマイオニー・グレンジャーの親友。三人組、通称「黄金の三人組 (Golden Trio)」の一角を占める。ウィーズリー家の六男であり、ホグワーツ魔法魔術学校ではグリフィンドール寮に所属した。物語を通して、その忠誠心とユーモアでハリー・ポッターを支え続け、ヴォルデモート卿との戦いにおいて不可欠な役割を果たした。自身の劣等感や恐怖心と戦いながらも、友人や家族のためには類稀なる勇気を示す、シリーズの中心人物の一人である。

ロンは魔法使いアーサー・ウィーズリーモリー・ウィーズリーの間に、七人兄弟の六番目の息子として生まれた。家族はデヴォン州オッタリー・セント・キャッチポール村の近くにある「隠れ穴」と呼ばれる家で暮らしていた。兄たちが皆優秀であったことや、一家が裕福でなかったことから、ロンは常に劣等感を抱えて育った。彼の持ち物はほとんどが兄たちからのお下がりであり、初めてホグワーツへ向かう際に手にした杖やペットのネズミも例外ではなかった。

ヴォルデモート卿が魔法省を掌握した後、ロンはハリー、ハーマイオニーと共にホグワーツへは戻らず、分霊箱を探す旅に出る。旅の途中、スリザリンのロケットが持つ負の力の影響と、旅の過酷さから一時的に仲間のもとを離脱する。しかし、ダンブルドアが遺した灯消しライターに導かれて帰還し、グリフィンドールの剣でロケットを破壊するという大役を果たした。最終決戦であるホグワーツの戦いでは、家族と共に勇敢に戦い、兄のフレッド・ウィーズリーを失うという悲劇に見舞われた。

第二次魔法戦争終結後、ロンはハリー・ポッターと共に魔法省に入り、闇祓いとして活躍した。(Pottermore)その後、兄のジョージ・ウィーズリーと共に、大成功を収めた悪戯専門店「ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ」の共同経営者となった。(作者インタビュー)彼はハーマイオニー・グレンジャーと結婚し、ローズ・グレンジャー・ウィーズリーヒューゴ・グレンジャー・ウィーズリーという二人の子供をもうけた。

ウィーズリー家の典型的な特徴を受け継いでおり、燃えるような赤毛、そばかすだらけの顔、ひょろりとした長身、そして長い鼻を持つ。

  • 忠誠心と勇気: 彼の最も優れた資質。友人や家族が危機に瀕した際には、自身の恐怖(特にクモ)を乗り越えてでも立ち向かう真のグリフィンドール生である。
  • ユーモアのセンス: 皮肉や気さくな物言いで、物語におけるムードメーカー的な役割を担うことが多い。彼の現実的な視点は、しばしばハリーやハーマイオニーを現実に引き戻す。
  • 劣等感: 優秀な兄たちや「選ばれし者」である親友ハリーの陰にいると感じており、これが彼の嫉妬心や自信のなさにつながることがある。また、家族の貧しさに対しても敏感である。
  • 戦略的思考: 魔法使いのチェスで証明されたように、優れた戦略家としての一面を持つ。学問よりも実践的な戦術を得意とする。
  • 全般的な能力: ハリーやハーマイオニーと比較すると突出した才能を持つわけではないが、有能な魔法使いである。彼の魔法能力は、自信の有無に大きく左右される傾向があった。
  • 魔法使いのチェス: 驚異的な才能を持つ。その戦略的思考は、1年次に賢者の石を守る上で決定的な役割を果たした。
  • クィディッチ: グリフィンドール・チームのキーパーとしてプレイした。精神的なプレッシャーに弱い面があったが、実力を発揮した際にはチームの勝利に貢献した。
  • 守護霊の呪文: 彼の守護霊 (Patronus) はジャック・ラッセル・テリアである。この犬種は、カワウソ(ハーマイオニーの守護霊)を追いかけることで知られている。
  • 杖 (Wands):
  • Ronald: 古ノルド語の Rögnvaldr に由来し、「助言する力を持つ者」または「支配者の助言者」を意味する。これは、ハリーの親友、そしてチェスの名手としての彼の役割を示唆している可能性がある。
  • Bilius: 伝えられるところによれば、グリムを見て24時間後に亡くなったという叔父の名前に由来する。英語の “bilious” は「不機嫌な」「胆汁質」を意味し、ウィーズリー家の風変わりな命名センスを反映している。
  • Weasley: 作者J.K.ローリングによると、イタチ (weasel) という動物に対する彼女の好みが反映されている。英国の伝承ではイタチは不吉な動物とされることがあるが、作者はこの評判を不当だと感じており、これは「血を裏切る者」として不当な偏見に苦しむウィーズリー家の境遇と重なる。
  • J.K.ローリングは、ロンは彼女が最初に創造したキャラクターの一人であったと語っている。(作者インタビュー)
  • 彼がクモを極度に恐れるクモ恐怖症であるのは、3歳の時に兄のフレッドが彼のテディベアを巨大なクモに変えたことが原因である。
  • 映画版では俳優のルパート・グリントが演じた。映画では、原作でロンが担っていた重要な説明役や英雄的な行動の一部が、ハーマイオニーの役割に変更されている場面がある。(映画設定)
  • 作者はシリーズ執筆の途中で、ロンを死なせることも検討したと明かしているが、最終的には彼を生かすことに決めた。(作者インタビュー)