グリフィンドールの剣

グリフィンドールの剣は、熟練した妖精の職人技によって作られた、見事な銀製の剣である。柄頭には、卵ほどの大きさのルビーがはめ込まれている。柄のすぐ下には、ゴドリック・グリフィンドールの名前が刻まれている。妖精製の金属の特性により、汚れをはじき、手入れを必要とせず、常に輝きを保っている。

グリフィンドールの剣は、中世期に妖精王ラグヌク一世によってホグワーツの創設者の一人、ゴドリック・グリフィンドールのために鍛えられた。妖精の伝承では、グリフィンドールがラグヌクから剣を「盗んだ」とされているが、魔法使い側の歴史では、ラグヌクが完成した剣に執着し、それを不正に手に入れようとしたため、グリフィンドールが正当な防衛として取り返したとされている。この所有権を巡る歴史的な対立は、後々まで魔法使いと妖精の関係に影を落とすことになる。 何世紀にもわたり、剣はホグワーツ城の校長室に保管されていた。1992年、ハリー・ポッター秘密の部屋トム・リドルの記憶と対峙した際、組分け帽子からこの剣を引き出し、バジリスクを打ち破った。 1997年、アルバス・ダンブルドアは遺言でこの剣をハリーに遺したが、魔法省は歴史的遺物であるとしてこれを差し止め、引き渡しを拒否した。しかし、これはセブルス・スネイプと協力したダンブルドアの計画の一部であった。スネイプはベラトリックス・レストレンジグリンゴッツ銀行の金庫に偽物の剣を置き、本物の剣をディーンの森にある凍った池に隠した。ハリーはロン・ウィーズリーの助けを借りてこの剣を回収し、スリザリンのロケットを破壊した。 その後、剣は一行に協力していた妖精グリップフックによって持ち去られるが、最終的にはホグワーツの戦いのクライマックスで再び組分け帽子から現れ、ネビル・ロングボトムの手に渡った。ネビルはこの剣でヴォルデモート卿の最後のホークラックスであるナギニを斬り殺し、闇の帝王の滅亡に大きく貢献した。

  • 真のグリフィンドール生の象徴: この剣は、単なる武器ではなく、勇気、決意、自己犠牲といったグリフィンドール寮の価値観を体現する象徴である。ハリーやネビルのような人物が剣を引き出す場面は、彼らが困難な状況下で真の勇気を示したことを証明している。
  • ヴォルデモート卿を倒すための鍵: ホークラックスを破壊する能力を得たことで、剣は物語の後半における中心的な役割を担うことになった。それはヴォルデモート卿の不死性を打ち破るための希望の光であり、ハリーたちの旅の重要な目標となった。
  • 魔法使いと妖精の対立の具現化: 剣の所有権を巡る争いは、魔法界に根深く存在する種族間の不信と偏見を浮き彫りにした。グリップフックの行動は、妖精たちが魔法使いから受けてきた長年の抑圧と、それに対する彼らの視点を表している。
  • J.K. ローリングは、グリフィンドールの剣がアーサー王伝説におけるエクスカリバーの伝説(正当な英雄が岩から剣を引き抜く)に類似していることを示唆している。(作者の発言)
  • 映画『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』では、若き日のアルバス・ダンブルドアがこの剣を手にしている場面が描かれている。(『ファンタスティック・ビースト』シリーズ)