グリンゴッツ魔法銀行
基本情報
記述と歴史
グリンゴッツ魔法銀行は、ダイアゴン横丁の他の店を見下ろすようにそびえ立つ、雪のように白い大理石の建物です。正面には磨き上げられた青銅の扉があり、緋色と金色の制服を着たゴブリンの守衛が立っています。その奥にある銀の扉には、「忍び込み、奪う者に告ぐ、見つかるのは宝にあらず、」で始まる、盗人への警告文が刻まれています。 内部は広大な大理石のホールになっており、高い天井からは巨大なシャンデリアが吊るされています。長いカウンターでは多くのゴブリンが帳簿をつけたり、金貨を天秤で測ったり、宝石を鑑定したりして働いています。 銀行の創設者は、グリンゴットという名のゴブリンです。歴史を通じて魔法省が管理しようとした時期もありましたが、基本的に常にゴブリンがその運営権を握ってきました。ゴブリンは、銀行内の宝はあくまで自分たちが保護している「ゴブリンのもの」と見なす文化を持っており、これが魔法使いとの間でしばしば緊張関係を生む原因となっています。
物語における役割
グリンゴッツは物語を通じて、魔法界の経済と安全の象徴として、また数々の重要な出来事の舞台として機能します。
- 『ハリー・ポッターと賢者の石』: ハリー・ポッターが初めて魔法界に足を踏み入れた際、ルビウス・ハグリッドと共に訪れます。彼は両親が遺した財産が保管されている687番金庫と、アルバス・ダンブルドアの依頼でハグリッドが引き出した713番金庫(賢者の石が隠されていた)を目の当たりにします。後に、クィリナス・クィレルが713番金庫に侵入を試みたことが明らかになり、グリンゴッツの安全神話が揺らぐ最初の事件となりました。
- 『ハリー・ポッターと死の秘宝』: 物語のクライマックスにおいて、グリンゴッツは決定的に重要な舞台となります。ハリー、ロン・ウィーズリー、ハーマイオニー・グレンジャーの三人は、ヴォルデモート卿の分霊箱 (ホークラックス) の一つであるヘルガ・ハッフルパフのカップを盗み出すため、グリップフックの協力を得てレストレンジ家の金庫への侵入を敢行します。彼らはポリジュース薬でベラトリックス・レストレンジに化け、「服従の呪い」を駆使しますが、「双子の呪い」や「灼熱の呪い」といった強力な防衛魔法に苦しめられます。最終的に、金庫の番をしていたウクライナ・アイアンベリー種のドラゴンに乗って脱出し、この前代未聞の銀行破りは魔法界に衝撃を与えました。この事件により、ヴォルデモート卿はハリーたちが分霊箱を探していることを確信します。