ハグリッド

ルビウス・ハグリッド

ルビウス・ハグリッドは、ホグワーツ魔法魔術学校の鍵と領地の管理人であり、後に「魔法生物飼育学」の教授を務める半巨人です。アルバス・ダンブルドアへの揺るぎない忠誠心を持つ、不死鳥の騎士団の重要なメンバーでもあります。物語においては、ハリー・ポッターを魔法界へ導く案内役であり、彼にとって最初の友人、そして父親のような存在として、シリーズを通して重要な役割を果たします。彼の危険な魔法生物への愛情は、しばしば物語の重要なサブプロットを生み出します。

ハグリッドは魔法使いの父親と巨人の母親フリドウルファの間に生まれました。彼が3歳の時に母親は家族のもとを去り、その後は父親によって育てられました。父親はハグリッドがホグワーツ魔法魔術学校の2年生の時に亡くなりました。ホグワーツではグリフィンドール寮に組分けされました。

3年生の時、ハグリッドは秘密の部屋を開いた犯人だという濡れ衣をトム・マールヴォロ・リドルによって着せられます。彼がペットとして飼っていたアクロマンチュラアラゴグが、部屋の怪物だと誤解されたためです。結果としてハグリッドはホグワーツを退学処分となり、彼の杖は折られました。しかし、当時「変身術」の教授であったアルバス・ダンブルドアの介入により、彼は森の番人見習いとしてホグワーツに残ることを許されました。

ハグリッドは、ヴォルデモート卿と戦うために結成された最初の不死鳥の騎士団に加わりました。ポッター夫妻が殺害された後、ダンブルドアの指示でゴドリックの谷から赤ん坊のハリー・ポッターを救出し、シリウス・ブラックから借りた飛行バイクでダーズリー家まで送り届けました。

ハリーが11歳になると、ハグリッドは彼にホグワーツからの入学許可証を届け、魔法界へと案内しました。ハリーの在学中、ハグリッドは彼とロン・ウィーズリーハーマイオニー・グレンジャーにとって最も信頼できる友人の一人となります。

戦争後も、ハグリッドはホグワーツで働き続けました。(作者インタビューによると、彼は生涯結婚しませんでした。)

ハグリッドは「普通の人間のおよそ二倍の身長で、少なくとも五倍は横幅がある」と描写される巨漢です。もじゃもじゃの長い黒髪と髭が顔のほとんどを覆っており、その手は「ゴミ箱の蓋ほどの大きさ」と表現されます。服装は、たくさんのポケットがついたモグラの皮のオーバーコートを好んで着ています。 性格は非常に心優しく、涙もろく、友人に対して深い愛情と忠誠心を持っています。特にハリー、ロン、ハーマイオニーを我が子のように大切に思っています。一方で、危険な魔法生物を「誤解されているだけ」と見なして溺愛する無邪気さや、思ったことをすぐに口にしてしまう不用意な一面もあります。

  • 魔法: 3年生で退学処分になったため、正式な魔法教育は修了していません。彼の名誉が回復されるまで、公に魔法を使うことは禁じられていました。折られた杖の破片をピンクの傘に隠し、簡単な魔法を行使している描写があります。
  • 杖: 樫の木、16インチ、「かなりしなやか」。退学時に折られました。
  • 身体能力: 巨人の血を引いているため、超人的な腕力と、多くの呪文に対する強い抵抗力を持ちます。
  • 守護霊: ハグリッドは守護霊の呪文を唱えることができません。これは非常に高度な魔法であり、彼の魔法教育が不完全なためです。(J.K.ローリングによる言及)
  • ピンクの傘 (Pink Umbrella): 折られた杖の破片が仕込まれていると考えられており、魔法を使用する際の道具として使われます。
  • 飛行バイク (Flying Motorcycle): 元々はシリウス・ブラックの所有物。ハグリッドが赤ん坊のハリーを運ぶ際や、「7人のポッター作戦」で使用しました。
  • モグラの皮のコート (Moleskin Overcoat): 彼のトレードマーク。無数のポケットには、ケーキや奇妙な道具など、様々なものが入っています。
  • ハリー・ポッター: ハグリッドはハリーにとって魔法界への扉を開いた最初の人物であり、最も信頼できる友人の一人です。その関係は、保護者と被保護者のようでもあり、強い絆で結ばれています。
  • アルバス・ダンブルドア: ハグリッドが最も尊敬し、絶対的な信頼を寄せる人物。ダンブルドアもまたハグリッドを深く信頼しており、彼が追放された後もホグワーツに留まれるよう取り計らいました。
  • ロン・ウィーズリーハーマイオニー・グレンジャー: ハリーと共にハグリッドの小屋を頻繁に訪れる親友です。彼らはハグリッドが困難に陥るたびに、彼を支え続けました。
  • オリンペ・マクシーム: 三大魔法学校対抗試合で出会った、同じ半巨人の血を引く女性。二人の間には恋愛感情が芽生えました。
  • グロウプ: ハグリッドが禁じられた森に連れてきた異父弟の巨人。彼はグロウプを「文明化」しようと努力しました。
  • ルビウス (Rubeus): ラテン語で「赤」を意味する “rubeo” に由来する可能性があります。これは、彼が感情的になった時に顔を赤らめる様子や、彼の温かい性格を反映していると考えられます。
  • ハグリッド (Hagrid): J.K.ローリングによると、これは古いイギリスの方言で「ひどい夜を過ごした」という意味を持つ “hag-ridden” から取られています。大酒飲みであるハグリッドが、しばしば二日酔いのようなひどい夜を過ごすことを示唆しているとのことです。(作者インタビュー)
  • J.K.ローリングは、ハグリッドがシリーズで最初に生み出したキャラクターの一人であったと語っています。彼が飛行バイクに乗って現れるイメージは、物語の最も初期の構想の一つでした。(作者インタビュー)
  • 著者は、シリーズ当初から、最終巻でハグリッドがハリーの亡骸を抱えて森から運び出す場面を構想していました。これは、第1巻で彼が赤ん坊のハリーをゴドリックの谷から運び出した場面と対をなす、物語の円環構造を象徴しています。(作者インタビュー)
  • 映画シリーズでは、俳優のロビー・コルトレーンがハグリッド役を演じました。