ヒッポグリフ

ヒッポグリフ (Hippogriff) は、魔法生物の一種であり、その体は巨大な鷲と馬を組み合わせた特徴を持つ。非常に誇り高い性質で知られ、敬意をもって接することが求められる。魔法省による分類は「XXX(腕の立つ魔法使いなら対処可能)」となっている。

ヒッポグリフは、巨大な鷲の頭、翼、そして前脚を持ち、胴体、後脚、尾は馬のものである。その羽毛の色は様々で、作中では嵐のような灰色、ブロンズ色、赤みがかった栗色、そして輝くような栗色などが描写されている。目はオレンジ色で、鷲の頭にはかぎ型で鋼色のくちばしと、長さが30センチにもなるカミソリのように鋭いかぎ爪がある。

ヒッポグリフの最も顕著な特徴は、その誇り高い性質である。ヒッポグリフに近づく際は、まず距離を保ち、お辞儀をして敬意を示さなければならない。相手が敬意を認め、お辞儀を返してきた場合にのみ、安全に近づくことが許される。瞬きをせず、相手から目をそらさないことが信頼を得る鍵とされる。侮辱されたと感じると、極めて危険で攻撃的になる。 食性は肉食で、地面を掘って昆虫を探すこともあるが、主に鳥や小型の哺乳類を捕食する。

ヒッポグリフの飼育には専門的な知識が必要であり、魔法生物飼育学の授業で取り扱われる。ルビウス・ハグリッドホグワーツ魔法魔術学校の敷地内でヒッポグリフの群れを飼育していた。法律上、ヒッポグリフが人間を傷つけた場合、危険生物処理委員会の裁定によっては死刑が宣告されることもある。これはバックビークの事例で明確に示された。

ヒッポグリフは、特に『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』の物語において中心的な役割を果たす。

  1. ハグリッドの授業: ハリー・ポッター魔法生物飼育学の最初の授業で、ヒッポグリフのバックビークと信頼関係を築き、その背に乗って空を飛ぶことに成功した最初の生徒となる。
  2. マルフォイの事件: 一方、ドラコ・マルフォイはハグリッドの警告を無視してバックビークを侮辱したため、腕を切りつけられる。この事件がきっかけで、ルシウス・マルフォイ魔法省に圧力をかけ、バックビークは死刑を宣告される。
  3. シリウス・ブラックの脱出: ハリー・ポッターハーマイオニー・グレンジャータイムターナーを使い、処刑直前のバックビークを救出する。その後、バックビークは無実の罪で捕らえられていたシリウス・ブラックを乗せ、ホグワーツから共に逃亡した。
  4. ウィザウィングズとして: シリウス・ブラックと共にグリモールド・プレイス十二番地で隠れ住んだ後、シリウスの死後、バックビークは「ウィザウィングズ (Witherwings)」と改名され、再びハグリッドの元へ戻された。
  5. ホグワーツの戦い: 最終決戦であるホグワーツの戦いでは、バックビークは他のヒッポグリフやセストラルを率いて、ヴォルデモート軍の巨人を攻撃し、ホグワーツ防衛に貢献した。
  • バックビーク (Buckbeak): 物語で最も有名なヒッポグリフ。後にウィザウィングズ (Witherwings)と改名された。
  • ハグリッドの群れ: バックビークの他に、ハグリッドが飼育していた少なくとも11頭のヒッポグリフの群れが存在する。

「ヒッポグリフ (Hippogriff)」という名前は、ギリシャ語の「hippos」(馬)と、伝説の生物「グリフィン (griffin)」を組み合わせたものである。グリフィンは鷲の上半身とライオンの下半身を持つ生物であり、ヒッポグリフはその馬との混血という設定で、古くからの神話に由来している。

  • 映画『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』では、ヒッポグリフのバックビークが精巧なCGIとアニマトロニクスを駆使して描かれ、その優雅で威厳のある姿が観客に強い印象を与えた。(映画設定)