シリウス・ブラック (Sirius Black)

シリウス・ブラックは、ハリー・ポッターの名付け親であり、純血の魔法族である「高貴で最も古いブラック家の家系」の最後の男子相続人です。彼は家族の純血主義を嫌悪し、グリフィンドール寮に組分けされました。親友であるジェームズ・ポッターリーマス・ルーピンピーター・ペティグリューと共に「忍びの四人組 (The Marauders)」を結成し、未登録の動物もどき(大きな黒い犬)となりました。 第一次魔法戦争では不死鳥の騎士団のメンバーとして戦いましたが、ピーター・ペティグリューの裏切りにより、ポッター夫妻の殺害および12人のマグルの殺害という濡れ衣を着せられ、裁判なしでアズカバンに12年間投獄されました。脱獄後、ハリーの後見人としての役割を果たそうとしましたが、1996年の神秘部の戦いで、従姉のベラトリックス・レストレンジによって殺害されました。彼はハリーにとって、父親のような存在であり、その死はハリーの人生に大きな影響を与えました。

早年生活とホグワーツ時代 シリウスは、純血主義を掲げるブラック家の長男として生まれましたが、家族の価値観に強く反発していました。11歳でホグワーツ魔法魔術学校に入学すると、一族の伝統に反してグリフィンドール寮に組分けされ、家族との溝はさらに深まりました。学校ではジェームズ・ポッターと無二の親友となり、リーマス・ルーピンピーター・ペティグリューと共に悪戯を繰り返す人気者でした。 友人のルーピンが狼人間であることを知ると、シリウスはジェームズ、ピーターと共に動物もどきになるための困難な魔法を習得し、満月の夜に変身するルーピンを支えました。彼の動物もどきの姿は、その風貌から「パッドフット (Padfoot)」というあだ名で呼ばれました。彼ら四人は、学校の秘密を網羅した忍びの地図の作成者でもあります。16歳の時、家を飛び出してポッター家に身を寄せ、実家からは勘当されました。 第一次魔法戦争と投獄 ホグワーツ卒業後、シリウスは友人たちと共にヴォルデモート卿と戦うための組織、不死鳥の騎士団に加入しました。彼はジェームズ・ポッターリリー・ポッターの結婚式で花婿の付添人を務め、息子ハリー・ポッターが生まれた際には名付け親となりました。 ポッター夫妻がヴォルデモート卿から身を隠す際、当初はシリウスが「秘密の守人」でしたが、彼は自分がおとりになることを提案し、友人のピーター・ペティグリューを守人に推薦しました。しかし、ペティグリューはヴォルデモート卿側のスパイであり、ポッター夫妻の居場所を密告しました。夫妻の死後、シリウスは裏切りに気づきペティグリューを追跡しましたが、ペティグリューは通りを爆破して12人のマグルを殺害し、自身の指を切り落として死を偽装。すべての罪をシリウスに着せました。シリウスは裁判を受けることなく、終身刑としてアズカバンへ送られました。 脱獄と第二次魔法戦争 12年後、シリウスは魔法大臣コーネリウス・ファッジが読んでいた日刊予言者新聞の写真に、ロン・ウィーズリーのペットのネズミとして写るペティグリューを発見します。真実を明かし、ハリーを守るため、彼は犬の姿になることで吸魂鬼の監視を欺き、史上初となるアズカバンからの自力脱獄を果たしました。 ホグワーツでハリーたちと再会し、叫びの屋敷で真実を明かしますが、ペティグリューには逃亡されてしまいます。吸魂鬼のキスを受ける寸前、ハリーとハーマイオニー・グレンジャー逆転時計を使って彼を救出し、シリウスはヒッポグリフバックビークに乗って逃亡しました。 ヴォルデモート卿の復活後は、実家であるグリモールド・プレイス12番地不死鳥の騎士団の本部として提供しますが、お尋ね者であるため屋敷に閉じ込められる生活に強いストレスを感じていました。1996年、ハリーがヴォルデモート卿の罠にはまり神秘部へ向かった際、ハリーを救うために駆けつけ、死喰い人たちと戦いました。戦闘中、従姉のベラトリックス・レストレンジが放った呪文を受けて、死のアーチのヴェールの向こう側へと倒れ込み、死亡しました。

若い頃のシリウスは、黒髪で灰色の瞳を持つ、際立ってハンサムな青年として描かれています。しかし、アズカバンでの過酷な生活により、脱獄直後は骸骨のように痩せこけ、髪はもつれ、生気のない姿でした。逃亡生活中に多少回復したものの、かつての苦難の跡は残っていました。 性格は、非常に勇敢で友達への忠誠心が厚い一方、衝動的で無鉄diethylアミンな一面も持っていました。特に、学生時代は傲慢で、セブルス・スネイプを執拗にいじめていました。長年の投獄生活は彼の精神に影響を与え、時に未熟で軽率な行動をとることがありました。しかし、ハリーに対しては深い愛情を注ぎ、父親代わりになろうと努めました。

  • 動物もどき (Animagus): 彼は非常に高度な魔法である動物もどきを学生時代に独学で習得しました。大きな黒い犬に変身する能力は、アズカバン吸魂鬼から正気を保つため、また脱獄するために不可欠でした。
  • 決闘 (Duelling): 非常に熟練した決闘者であり、ルシウス・マルフォイのような強力な死喰い人と互角に渡り合いました。
  • 無言呪文 (Non-verbal Magic): 神秘部の戦いでは、呪文を唱えることなく魔法を行使しており、高度な魔法技術を持っていることが示されています。
  • 魔杖 (Wand): 彼の魔杖の芯や材質に関する詳細は、原作では言及されていません。
  • 守護霊 (Patronus): 原作では彼の守護霊の呪文の形状は明記されていませんが、彼の動物もどきの姿が犬であることから、守護霊も犬であると推測されます。(作者J.K.ローリングがインタビューでこれを認めている(Pottermore))
  • 空飛ぶオートバイ (Flying Motorbike): ハグリッドが赤ん坊のハリーをダーズリー家へ運ぶ際に使用した、シリウス所有の魔法のオートバイ。後にハリーがダーズリー家から脱出する際にも重要な役割を果たしました。
  • 対の鏡 (Two-way Mirror): ジェームズ・ポッターと連絡を取り合うために使っていた鏡の片割れ。シリウスはハリーにこれを渡しましたが、ハリーはその存在に気づくのが遅すぎました。
  • 忍びの地図 (Marauder's Map): 学生時代に友人たちと共同で作成した、ホグワーツ城内のすべての人間の動きをリアルタイムで示す魔法の地図。
  • ハリー・ポッター (Harry Potter): シリウスはハリーの名付け親であり、彼を実の息子のように深く愛していました。ハリーにとって、シリウスは唯一の家族であり、父親のような存在でした。
  • ジェームズ・ポッター (James Potter): 兄弟以上に親しい無二の親友でした。二人の間の信頼と忠誠は絶対的なものでした。
  • リーマス・ルーピン (Remus Lupin): 親友の一人。裏切り者をルーピンだと疑った時期もありましたが、真実が明らかになった後は友情を取り戻しました。
  • ピーター・ペティグリュー (Peter Pettigrew): かつての友人でしたが、彼の裏切りによってシリウスはすべてを失いました。シリウスはペティグリューに対して激しい憎悪を抱いていました。
  • セブルス・スネイプ (Severus Snape): 学生時代からの宿敵。互いに憎み合っており、スネイプはシリウスが吸魂鬼のキスを受けることを望んでいました。
  • ブラック家 (The Black Family): 家族の純血思想を憎み、家出しました。特に、死喰い人である従姉のベラトリックス・レストレンジとは敵対関係にあり、最終的に彼女に殺されました。弟のレギュラス・ブラックとは疎遠でしたが、レギュラスが後にヴォルデモート卿に反旗を翻したことは知りませんでした。
  • シリウス (Sirius): 全天で最も明るい恒星であるおおいぬ座のα星「シリウス」に由来します。この星は「犬の星 (Dog Star)」としても知られており、彼の動物もどきの姿が犬であることと直接的に関連しています。
  • ブラック (Black): 彼の姓であると同時に、動物もどきの姿である黒い犬の色を表しています。ブラック家の多くのメンバーは、シリウスと同様に星や星座にちなんだ名前を持っています(例:アンドロメダ、ベラトリックス、レギュラス)。
  • 映画での描写: 映画版では俳優のゲイリー・オールドマンがシリウス・ブラックを演じました。
  • 作者のコメント: J.K.ローリングは、シリウスの死は、ハリーが保護者に頼ることなく自立して戦うために必要なステップだったと語っています。また、彼のキャラクターは、若くして投獄されたことで精神的な成長が止まってしまった人物として描かれていると述べています。(J.K. Rowling Official Site)