グリモールド・プレイス12番地
基本情報
- 場所 (Location): ロンドン、イズリントン区
記述と歴史
グリモールド・プレイス12番地は、純血を重んじる旧家のひとつであるブラック家が何世代にもわたって住んでいた邸宅です。その名は「grim old place」(気味の悪い古びた場所)のもじりであり、その名の通り、建物全体が暗く、埃っぽく、長年の放置による荒廃と闇の魔術の気配に満ちています。 この建物は忠誠の呪文 (Fidelius Charm) によって、その秘密を知らない者からは見えないように隠されています。麻瓜には11番地と13番地が直接隣り合っているように見え、魔法使いであっても、秘密の守人から場所を教えてもらわない限り、その存在に気づくことはできません。 内装はブラック家の純血主義と闇の魔術への傾倒を色濃く反映しており、蛇をモチーフにした装飾品(ドアノッカーや燭台など)が随所に見られます。玄関ホールには、トロールの足でできた傘立てや、壁に飾られた多くの屋敷しもべ妖精の首の剥製があります。また、シリウス・ブラックの母、ワルブルガ・ブラックの肖像画がカーテンの後ろに掛かっており、大きな音を立てるとヒステリックに叫びだします。客間には、一族の歴史を綴った巨大なブラック家の家系図のタペストリーが飾られています。 1995年、シリウス・ブラックがアズカバンから脱獄した後、彼はこの家を不死鳥の騎士団の新しい本部として提供しました。当時、秘密の守人はアルバス・ダンブルドアでした。騎士団のメンバーは、長年放置されていたこの屋敷を清掃し、多くの危険な闇の魔術の品々を処分しようと試みました。この清掃作業中、彼らはサラザール・スリザリンのロケット(後の分霊箱)を発見しますが、当時はその重要性に気づきませんでした。 シリウスの死後、屋敷は遺言によりハリー・ポッターへと相続されました。1997年、ダンブルドアの死に伴って忠誠の呪文が解け、秘密を知る者すべてが秘密の守人となりました。しかし、アラスター・ムーディがかけていた追加の防御呪文により、セブルス・スネイプは屋敷の場所を他人に伝えることができなくなっていました。その後、ハリー・ポッター、ロン・ウィーズリー、ハーマイオニー・グレンジャーが分霊箱を探す旅の途中で一時的な隠れ家として使用しましたが、魔法省の役人であるヤックスリーが侵入したため、放棄せざるを得なくなりました。
物語における役割
グリモールド・プレイス12番地は、物語後半において極めて重要な役割を果たします。
- ブラック家の過去を明らかにする場所として: この家はシリウス・ブラックと彼の家族の複雑な過去を物語る場所です。彼の部屋に残されたグリフィンドールの装飾は、家族への反抗の証でした。また、彼の弟であるレギュラス・アークタルス・ブラックがヴォルデモート卿に反旗を翻した英雄であったことが、この家で明らかになります。
- 分霊箱の捜索における鍵として: クリーチャーからレギュラス・アークタルス・ブラックと本物のロケットの物語を聞いたことで、ハリーたちは分霊箱の捜索に大きな進展を得ました。この家は、彼らが「R.A.B.」の正体を知るための決定的な舞台となりました。
既知の部屋や場所
- 玄関ホール (Entrance Hall): ワルブルガ・ブラックの肖像画、トロールの足の傘立て、屋敷しもべ妖精の首の剥製がある。
- 地下キッチン (Basement Kitchen): 広くて薄暗い、洞窟のような部屋。不死鳥の騎士団が会合を開く主な場所。
- 客間 (Drawing Room): ブラック家の家系図のタペストリーがある。多くの闇の魔術の品々が保管されており、中にはまね妖怪ボガートが潜む書き物机や、サラザール・スリザリンのロケットが隠されていたガラス棚があった。
- シリウスの部屋 (Sirius's Room): 家族の趣味とは対照的に、グリフィンドールの旗やポスター(オートバイ、水着の麻瓜の女の子など)で飾られている。
舞台裏情報
- 映画版では、ブラック家の家系図が魔法によって壁に自動的に描かれていく様子が視覚的に表現されているが、これは原作にはない描写である。(映画設定)
- 映画の撮影地として、ロンドンのクレアモント・スクエアが使用されたことから、ファンの間ではこの場所がグリモールド・プレイスのモデルになったと考えられている。(映画設定)