ヘルガ・ハッフルパフのカップ
基本情報
記述と外観
ヘルガ・ハッフルパフのカップは、小さな金製の杯で、精巧な作りの取っ手が二つ付いています。側面にはハッフルパフ寮の象徴であるアナグマが彫刻されています。ヘプジバ・スミスが所有していた際には、彼女はこの遺品を非常に価値のあるものとして、絹の布に包んで小箱に大切に保管していました。
魔法的特性と用途
本来の魔法特性 このカップが元々持っていた魔法の特性について、原作では具体的に詳述されていません。所有者であったヘプジバ・スミスは、この杯が「あらゆる種類の力」を持つと語っていましたが、それがどのような能力なのかは不明です。ホグワーツ創設者の遺品であることから、強力な魔法が込められていたと推測されます。 魂器としての特性 ヴォルデモート卿はヘプジバ・スミスを殺害することで、このカップを自身の三番目の魂器に変えました。これにより、カップはヴォルデモート卿の魂の欠片を内包する器となり、破壊されない限り彼の不死性を保証するものとなりました。 魂器として、カップは極めて強力な闇の魔法によって守られていました。ベラトリックス・レストレンジがグリンゴッツ魔法銀行の金庫に保管していた際には、以下の防御呪文がかけられていました。
歴史
このカップは元々、ホグワーツ魔法魔術学校の四人の創設者の一人、ヘルガ・ハッフルパフが所有していたものです。彼女の死後、カップは子孫に代々受け継がれ、20世紀半ばには裕福な魔女であるヘプジバ・スミスの手に渡りました。 当時、ボージン・アンド・バークスで働いていた若きトム・マールヴォロ・リドルは、スミス家を訪れた際にこのカップとスリザリンのロケットに目をつけました。彼はスミスを殺害してカップを盗み出し、その殺害を利用してカップを魂器へと作り変えました。 その後、ヴォルデモート卿は最も信頼する部下の一人であるベラトリックス・レストレンジにカップを預け、彼女はそれをグリンゴッツのレストレンジ家の金庫に厳重に保管しました。 第二次魔法戦争のさなか、ハリー・ポッターたちはマルフォイの館での出来事から、カップがレストレンジ家の金庫にあると推測しました。ゴブリンのグリップフックの協力を得て、彼らはグリンゴッツ魔法銀行への侵入という極めて危険な計画を実行し、数々の防御魔法を乗り越えてカップを盗み出すことに成功します。 最終的にホグワーツの戦いの最中、ハーマイオニー・グレンジャーがロン・ウィーズリーと共に秘密の部屋へ向かい、そこに残されていたバジリスクの牙を使ってカップを突き刺し、完全に破壊しました。バジリスクの毒は魂器を破壊できる数少ない物質の一つでした。
物語における役割
ヘルガ・ハッフルパフのカップは、ヴォルデモート卿を倒すための鍵となる魂器の一つとして、物語の最終盤で極めて重要な役割を果たします。カップの探索と破壊の過程は、『ハリー・ポッターと死の秘宝』における中心的なプロットの一つです。 特に、厳重に警備されたグリンゴッツ魔法銀行への侵入は、ハリー、ロン、ハーマイオニーの三人がこれまでに行った中で最も大胆かつ困難な任務であり、彼らの勇気、知恵、そして結束力の成長を象徴する出来事となりました。このカップの破壊は、ヴォルデモート卿を滅びる存在へと近づけるための大きな一歩であり、第二次魔法戦争の勝利に不可欠な要素でした。
幕後情報
- 映画版では、カップは原作のシンプルな記述よりもさらに華やかで、複雑な装飾が施されたデザインで描かれています。(映画設定)