サラザール・スリザリンのロケット
基本情報
- 所有者 (Owners): サラザール・スリザリン → ゴーント家 (メローピー・ゴーント) → カラクタカス・バーク → ヘプジバ・スミス → トム・マールヴォロ・リドル (ヴォルデモート卿) → レギュラス・アークタルス・ブラック → クリーチャー → マンダンガス・フレッチャー → ドローレス・アンブリッジ → ハリー・ポッター → ロン・ウィーズリー (破壊者)
- 製作者 (Maker): サラザール・スリザリン
記述と外観
このロケットは、ずっしりと重い黄金製で、その表面には緑色の輝く石で精巧な蛇のような「S」の字が飾り付けられている。これはホグワーツ魔法魔術学校の創設者の一人であるサラザール・スリザリンのイニシャルを示している。分霊箱となる前は、中に何も入っていなかったが、パーセルタングでなければ開けることのできない仕組みになっていた。
魔法的特性と用途
このロケットの最も重要な魔法的特性は、ヴォルデモート卿の魂の一部を納めた分霊箱であるという点である。これにより、ロケットは極めて高い耐久性を持ち、バジリスクの牙の毒やフィーンデファイアのような強力な闇の魔術でしか破壊できない。
- 精神汚染: 身に着けている者の精神に強い悪影響を及ぼす。着用者は疑心暗鬼になり、絶望感や怒りといった否定的な感情が増幅される。この影響により、ハリー・ポッター、ロン・ウィーズリー、ハーマイオニー・グレンジャーの三人の間には深刻な不和が生じた。
- 自己防衛: 破壊されそうになると、内部の魂の断片が自己防衛機能を発動させる。ロン・ウィーズリーがグリフィンドールの剣で破壊しようとした際には、彼の最も深い恐怖心(ハリー・ポッターとハーマイオニー・グレンジャーが自分を嘲笑し、二人が恋仲になる幻覚)を見せ、彼を精神的に攻撃した。
- 開閉: ロケットはパーセルタング、すなわち蛇語を話すことによってのみ開くことができる。
歴史
このロケットはサラザール・スリザリンによって作られ、彼の子孫であるゴーント家に代々受け継がれてきた。しかし、ヴォルデモートの母であるメローピー・ゴーントが、夫に捨てられ困窮した際に、わずか10ガリオンでボージン・アンド・バークスの店主カラクタカス・バークに売却してしまった。 その後、ロケットは裕福な魔女ヘプジバ・スミスの手に渡る。若き日のトム・マールヴォロ・リドルは彼女を魅了して信頼を得た後、彼女を殺害し、このロケットとヘルガ・ハッフルパフのカップを盗み出した。リドルはその後、マグルの浮浪者を殺害することで、このロケットを自身の三番目の分霊箱へと変えた。 ヴォルデモート卿は、この分霊箱を厳重な魔法で守られた海辺の洞窟に隠した。しかし、彼の計画を知った元死喰い人のレギュラス・アークタルス・ブラックが、自身の命と引き換えにロケットを偽物 (レギュラス・アークタルス・ブラックのロケット) とすり替え、屋敷しもべ妖精のクリーチャーに破壊を命じた。しかし、クリーチャーはロケットを破壊することができず、長年グリモールド・プレイス十二番地で保管していた。 その後、ロケットは不死鳥の騎士団のメンバーであるマンダンガス・フレッチャーによって盗まれ、最終的に魔法省の役人ドローレス・アンブリッジの手に渡った。彼女は、これが純血の家系の証であると偽って身に着けていた。
物語における役割
『ハリー・ポッターと死の秘宝』において、このロケットは物語の中心的な役割を担う。ハリー・ポッターたちは、分霊箱を破壊する旅の過程で魔法省に潜入し、ドローレス・アンブリッジからこのロケットを奪取した。 ロケットを所持している間、三人はその邪悪な力によって精神的に苦しめられ、特にロン・ウィーズリーは深刻な影響を受け、一時的に仲間のもとを去る原因となった。最終的に、ロンはディーンの森で、アルバス・ダンブルドアが遺した灯消しライターに導かれてハリーのもとへ帰還し、池の底から引き上げたグリフィンドールの剣を使ってロケットを破壊した。この行為は、ロンが自身の劣等感と恐怖に打ち克ったことを象徴する重要な場面となった。
幕後情報
このロケットに関する主要な情報はすべて J.K. ローリングによる原作小説の中で完結しており、Pottermore や作者のインタビューで追加された重要な設定は特に知られていない。その歴史と破壊の過程は、物語の核心部分として詳細に描かれている。