カラクタカス・バーク

カラクタカス・バーク (Caractacus Burke) は、ノクターン横丁に店を構える、闇の魔術に関連する商品を専門に扱う店「ボーギン・アンド・バークス」の共同設立者の一人です。彼は、ヴォルデモート卿の過去、特にサラザール・スリザリンのロケット分霊箱となるまでの経緯において、間接的ながら極めて重要な役割を果たしました。彼の商才と道徳観念の欠如は、魔法界の歴史における重要な遺物の流れに大きな影響を与えました。

カラクタカス・バークの詳しい生涯についてはほとんど知られていませんが、彼の最も重要な行動はボーギン氏と共に「ボーギン・アンド・バークス」を設立し、経営したことです。この店は、価値のある、あるいは危険な闇の魔術の品々を売買することで悪名高い場所でした。 彼の名が物語の中で決定的な意味を持つのは、1926年頃、困窮しきった魔女メローピー・ゴーントが店を訪れた時のことです。妊娠中であったメローピーは、夫に捨てられ、生きるために必死でした。彼女は先祖であるサラザール・スリザリンから受け継いだ貴重な家宝サラザール・スリザリンのロケットをバークに売却しようとしました。バークはロケットの計り知れない価値を即座に見抜きましたが、メローピーの絶望的な状況に付け込み、わずか10ガリオンという不当に安い価格で買い叩きました。 その後、バークはこのロケットを裕福な魔女コレクターであるヘプジバ・スミスに売却しました。数十年後、「ボーギン・アンド・バークス」で働くことになった若きトム・マールヴォロ・リドルは、この取引の記録を通じてロケットの行方を突き止めます。彼はヘプジバ・スミスからロケットとヘルガ・ハッフルパフのカップを奪い、彼女を殺害した後、ロケットを自身の分霊箱の一つに変えました。このように、バークの貪欲な取引がなければ、トム・リドルがロケットを手に入れることははるかに困難だったでしょう。

  • 外貌: 原作小説において、カラクタカス・バークの身体的な外見に関する記述はありません。
  • 性格: 彼の行動から、極めて抜け目がなく、貪欲で、商売のためなら弱者を利用することも厭わない冷酷な人物であったことがうかがえます。彼は魔法具の価値を見抜く鋭い鑑定眼を持っていましたが、その知識を倫理的にではなく、もっぱら自らの利益のために用いました。メローピー・ゴーントに対する彼の扱いは、その非情な性格を明確に示しています。

特定の魔法を使った場面は描かれていませんが、「ボーギン・アンド・バークス」の共同経営者として、闇の魔術の品々や古代の魔法具に関する深い知識を持っていたことは間違いありません。呪われた品物を安全に取り扱い、その価値を正確に査定する能力は、彼の商売に不可欠な専門技術でした。

  • Caractacus: 1世紀に実在した古代ブリトン人の族長の名前です。彼はローマ帝国のブリタニア侵攻に抵抗したことで知られています。この名前は、古風で力強い響きを持っています。
  • Burke: 一般的なアイルランド系の姓ですが、動詞としての “to burke” は「(議論などを)闇に葬る」「静かに抑圧する」または歴史的には「解剖用の死体を得るために窒息死させる」という非常に不吉な意味を持ちます。これは、ノクターン横丁で怪しげな商売をする彼のキャラクターと店の雰囲気に合致しています。

カラクタカス・バークに関する情報のほとんどは、『ハリー・ポッターと謎のプリンス』でアルバス・ダンブルドア憂いの篩を通してハリー・ポッターに見せる記憶の中で語られるものです。映画版では彼の役割は大幅に省略されており、主に原作小説において物語の背景を形成するキャラクターとして存在しています。