スリザリンのロケット

スリザリンのロケット

重い黄金製の楕円形のロケット。表面には、緑色の石(エメラルドと推測される)で蛇のように形作られた、華麗な「S」の文字が刻まれている。通常の方法では開けることができず、開くにはパーセルタングが必要である。分霊箱となった後は、邪悪な魔力を帯び、着用者に精神的な苦痛を与えるようになった。

  1. サラザール・スリザリンが所有し、その死後、子孫であるゴーント家に代々受け継がれた。
  2. その後、裕福な魔女ヘプジバ・スミスが購入した。彼女はボージン・アンド・バークスで働いていた若き日のトム・マールヴォロ・リドルに、このロケットヘルガ・ハッフルパフのカップを見せびらかした。
  3. トム・リドルヘプジバを殺害してロケットを盗み、後にマグルを一人殺害することでこれを自身の二つ目の分霊箱に変えた。
  4. ヴォルデモート卿は、かつて孤児院時代に訪れた海岸の洞窟にロケットを隠した。彼は魔法薬インフェリウスの軍団、一人しか通れないボートなど、数々の強力な防衛魔法を施した。
  5. 死喰い人であったレギュラス・アークタルス・ブラック分霊箱の存在を知り、ヴォルデモートを裏切ることを決意。屋敷しもべ妖精のクリーチャーを伴って洞窟に侵入し、本物のロケットを偽物とすり替えた。レギュラスはこの試みでインフェリウスに殺された。
  6. クリーチャーレギュラスの命令でロケットを持ち帰るが、破壊することはできず、以来ブラック家の屋敷であるグリモールド・プレイス十二番地で保管していた。
  7. 不死鳥の騎士団本部としてグリモールド・プレイス十二番地を使用した際、掃除中に一度は発見されるが、その価値に気づかれず処分されかけた。しかし、マンダンガス・フレッチャーがこれを盗み出した。
  8. マンダンガスは、無許可で魔法道具を売っていたところを魔法省の役人ドローレス・アンブリッジに捕まり、ロケットを賄賂として彼女に渡した。アンブリッジはこれを純血の魔法使いの家系である証として身につけていた。
  9. ロケットの負の力に影響されたロンが一時的に一行を離れるが、後に復帰。ディーンの森で、ロンゴドリック・グリフィンドールの剣を使ってロケットを破壊することに成功した。

スリザリンのロケットは、ヴォルデモート卿の不死性の秘密を解き明かす鍵である分霊箱の一つとして、物語の後半における中心的な役割を担う。特に『ハリー・ポッターと死の秘宝』では、ハリーロンハーマイオニーの三人がこれを探し、持ち運び、破壊する過程が詳細に描かれる。 ロケットが放つ負のオーラは、三人の友情に深刻な亀裂を生じさせ、特にロンの離脱の直接的な引き金となった。最終的にロンロケットを破壊する場面は、彼の恐怖と劣等感の克服を象徴する、彼の成長における重要な瞬間である。また、レギュラス・アークタルス・ブラックが残した偽のロケットと手紙は、彼の知られざる英雄的な物語を明らかにし、クリーチャーハリーたちに協力するきっかけとなった。