ベイン

ベイン (Bane) は、ホグワーツの敷地内にある禁じられた森に生息するケンタウロスの群れの一員です。黒い毛並みを持ち、誇り高く、人間、特に魔法使いに対して強い不信感を抱いています。星の動きから運命を読み解くケンタウロスの伝統を絶対視しており、定められた未来に干渉することに断固として反対します。物語の中では、ケンタウロス族の孤立主義的で厳格な価値観を象徴する存在として描かれています。

• 『ハリー・ポッターと賢者の石』
  1. ハリー・ポッターが禁じられた森で罰則を受けた際に初めて登場します。ルビウス・ハグリッドがハリーを森に連れてきたことに対して強い不快感を示し、火星が不吉なほど明るく輝いていることから、良くない未来を予見していました。
  2. 後に、ヴォルデモート卿に憑依されたクィリナス・クィレルからハリーを救ったケンタウロスのフィレンツェに対し、ベインは激しく反発しました。人間を背に乗せることはケンタウロスが自らを貶める屈辱的な行為だと考え、フィレンツェを「そこらの駄馬」と罵りました。
• 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』
  1. ドローレス・アンブリッジがハグリッドの「魔法生物飼育学」の授業を視察した際、森の端からその様子をうかがっていました。
  2. その後、ハリーとハーマイオニー・グレンジャーによって森へとおびき出されたアンブリッジが、ケンタウロスたちを「汚れた半純血」と侮辱したことに激怒。他のケンタウロスと共にアンブリッジを捕らえ、森の奥深くへと連れ去りました。
• 『ハリー・ポッターと死の秘宝』
  1. 第二次魔法戦争の最終決戦であるホグワーツの戦いでは、当初ケンタウロスの群れは中立を保っていました。しかし、ヴォルデモート卿がハリーの「死」を宣言し、死喰い人たちが勝利を確信したとき、ハグリッドの叱咤と城の防衛者たちの勇気に心を動かされ、群れを率いて戦いに参戦しました。ベインも弓矢を手に死喰い人たちに突撃し、戦況を好転させる一助となりました。

• 外貌
  1. 漆黒の毛並みと体を持ち、黒い髭を生やした「野性的な顔つき」と描写されています。上半身は人間、下半身は馬というケンタウロスの典型的な姿をしています。
• 性格
  1. 誇り高い: 非常に誇り高く、人間を見下す傾向があります。ケンタウロスの伝統と尊厳を何よりも重んじます。
  2. 運命論者: 星に記された運命は絶対であると信じており、それに干渉しようとする者を強く非難します。フィレンツェがハリーを助けたことを責めたのは、この信念に基づいています。
  3. 攻撃的: 自身の種族や縄張りが脅かされたと感じると、攻撃的な態度を示します。フィレンツェやアンブリッジに対する彼の言動は、その性格を明確に表しています。

• 天文学と占い: ケンタウロス特有の能力として、天体の動きから未来を読み解く高度な技術を持っています。彼らの占い学は人間のそれとは一線を画します。
• 弓術: 優れた射手であり、ホグワーツの戦いでは弓矢を武器として使用しました。
• 身体能力: 馬の下半身を持つため、人間をはるかに超える力とスピードを誇ります。大人のアンブリッジを軽々と持ち上げて連れ去るほどの腕力を持っています。

• フィレンツェ: 同じ群れの仲間ですが、彼の親人間的な考え方や、後にホグワーツの教授になるという決断を裏切りと見なし、激しく対立しています。
• マゴリアン: 群れの別の有力なケンタウロスであり、ベインと同様の人間に対する不信感を共有していることが多いです。
• ルビウス・ハグリッド: 人間であり、生徒を森に連れてくるハグリッドに対して、常に警戒心と不信感を抱いています。
• ハリー・ポッター: 当初は森への侵入者として敵意を向けていましたが、最終的にはホグワーツの戦いで共通の敵であるヴォルデモート卿と戦うことになります。

ベイン (Bane) という名前は、英語で「破滅の原因」「苦悩の種」「毒」などを意味します。これは、彼の悲観的で厳格な性格や、星から不吉な運命を読み取る役割を象徴していると考えられます。

• 映画版『ハリー・ポッターと賢者の石』および『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』に登場します。その役割は原作にほぼ忠実です。（映画設定）