ゴブリン
概要
ゴブリン (Goblin) は、非常に高い知能を持つ魔法生物の一種である。彼らは魔法界の経済を支えるグリンゴッツ魔法銀行を運営し、金属、特に銀を加工する卓越した技術で知られている。ゴブリンは独自の言語(ゴブリン語)と文化を持ち、魔法使いとは異なる独自の魔法を操るが、魔法省によって魔法の杖の所持を禁じられている。その歴史は魔法使いとの根深い不信と対立に満ちており、物語全体を通じて重要なテーマの一つとなっている。
身体的特徴と性質
ゴブリンの外見と性質は、原著において以下のように描写されている。
- 外見: 身長が低く、痩せている。色黒で賢そうな顔立ちをしており、非常に長い指と足を持つ。目は黒く、鋭い知性を感じさせる。一部のゴブリンは尖った顎鬚を生やしている(例:グリップフック)。
- 知性: 魔法使いと同等か、特定の分野ではそれ以上の高い知能を持つ。複雑な金融システムの管理や、高度な魔法がかけられた物品の製作が可能である。
- 性質: 秘密主義で、自分たちの財産や知識を非常に重んじる。金銭や宝物に対して強い執着心を持つとされるが、これは魔法使い側からの偏見も含まれている可能性がある。彼らは誇り高く、魔法使いから二流の存在として扱われることに長年憤りを感じている。
文化、社会、能力
- 金属加工技術: ゴブリンは伝説的な金属加工職人である。彼らが作る品物は最高品質とされ、魔法的な特性を帯びることが多い。
- 所有権の概念: ゴブリンの文化における所有権の考え方は、魔法使いのそれとは根本的に異なる。
- 彼らは、品物の真の所有者はその製作者であると信じている。
- 魔法使いがゴブリン製の品物を購入することは、あくまで一代限りの「レンタル」であり、購入者が死亡した際には製作者(またはその一族)に返却されるべきだと考えている。この価値観の相違が、グリフィンドールの剣の所有権を巡る対立など、歴史を通じて多くの紛争の原因となってきた。
- グリンゴッツの運営: ダイアゴン横丁に位置するグリンゴッツ魔法銀行は、完全にゴブリンによって運営されている。彼らは魔法使いの財産を厳重に守る一方で、魔法界の経済を実質的に支配している。
歴史と魔法使いとの関係
ゴブリンと魔法使いの関係は、何世紀にもわたる差別と反乱の歴史によって特徴づけられる。
- ゴブリンの反乱: 歴史上、ゴブリンは魔法使いの支配に対して幾度となく大規模な反乱(Goblin Rebellions)を起こしてきた。これらの反乱は魔法史の授業で扱われる重要な出来事だが、多くの魔法使いはそれを軽視している。
物語における役割
- ハリー・ポッターと賢者の石: ハリー・ポッターが初めてグリンゴッツ魔法銀行を訪れた際、グリップフックというゴブリンが彼を金庫まで案内した。この出来事を通して、読者はゴブリンが魔法界の金融を担っていることを知る。
- ハリー・ポッターと死の秘宝: 物語の終盤でゴブリンは極めて重要な役割を果たす。ヴォルデモートの分霊箱の一つがベラトリックス・レストレンジの金庫に隠されていることを知ったハリーたちは、グリップフックに協力を求める。グリップフックはグリフィンドールの剣を報酬として要求し、銀行への侵入を手伝うが、金庫内で裏切り、剣を奪って逃走する。この一連の出来事は、ゴブリンと魔法使いの間の根深い不信感を象徴している。
著名なゴブリン
- グリップフック (Griphook): グリンゴッツ魔法銀行の行員。ハリーの金庫を案内し、後にレストレンジ家の金庫への侵入を手伝ったが裏切った。
- ラグヌック一世 (Ragnuk the First): グリフィンドールの剣を製作した、中世の偉大なゴブリンの王。
幕後情報
- 映画版では、ゴブリンはより怪物的な、鋭い歯を持つ特徴的な外見で描かれている。(映画設定)
- 俳優のワーウィック・デイヴィスは、『賢者の石』でグリップフックの声を担当し、『死の秘宝』ではグリップフック自身を演じた。彼はまた、シリーズを通してフィリウス・フリットウィック教授も演じている。(映画設定)
- Pottermore(後の Wizarding World)では、ゴブリンの文化や歴史について、原作にはない補足情報が提供されることがある。(Pottermore)