テッド・トンクス

テッド・トンクス (Ted Tonks) は、マグル生まれの魔法使いであり、ブラック家出身の魔女アンドロメダ・トンクスの夫、そしてニンファドーラ・トンクスの父親である。彼はヴォルデモート卿の支配に反対し、家族を通じて不死鳥の騎士団と間接的に協力関係にあった。物語の終盤、第二次魔法戦争において、彼は魔法省によるマグル生まれへの迫害から逃れることを余儀なくされ、その逃亡中に命を落とした。彼の善良で勇敢な人柄は、暗い時代における希望の象徴の一つとして描かれている。

早年 テッド・トンクスはマグルの家庭に生まれた魔法使いである。ホグワーツ魔法魔術学校で教育を受けたと推測される。卒業後、彼は純血の名家であるブラック家出身のアンドロメダ・ブラックと恋に落ち、結婚した。この結婚は、純血主義を掲げるブラック家の怒りを買い、アンドロメダは家から勘当され、家系図からも抹消された。二人の間には、後に闇祓いとなる一人娘、ニンファドーラ・トンクスが生まれた。 第二次魔法戦争ハリー・ポッターと死の秘宝』において、トンクス夫妻の家は不死鳥の騎士団の隠れ家の一つとして機能していた。「七人のポッターの戦い」の後、傷を負ったハリー・ポッタールビウス・ハグリッドが彼らの庭に不時着し、テッドとアンドロメダは二人を手厚く看護した。 しかし、ヴォルデモート卿が魔法省を掌握すると、マグル生まれ登録委員会が設立され、マグル生まれは魔力を盗んだ罪人として迫害されるようになった。テッドは登録を拒否し、アズカバンへの収監を避けるために逃亡生活に入った。 逃亡中、彼は同じく逃亡者であったホグワーツ生のディーン・トーマス、元魔法省役人のダーク・クレスウェル、そしてゴブリンのグリップフックやゴーヌックと行動を共にした。しかし、1998年の3月頃、彼は人さらいに捕らえられ、抵抗した末にダーク・クレスウェル、ゴーヌックと共に殺害された。彼の死は、秘密ラジオ番組「ポッターウォッチ」で報じられ、リー・ジョーダンによってその死が悼まれた。 彼の死後、娘のニンファドーラと義理の息子リーマス・ルーピンの間に生まれた男の子は、祖父に敬意を表して「テディ・ルパン (本名:エドワード・リーマス・ルーピン)」と名付けられた。

テッド・トンクスは「金髪で、太鼓腹の」男性として描写されている。彼の性格は非常に温厚で親切であり、初対面のハリー・ポッターにも友好的に接した。また、マグル生まれであるという理由だけで迫害する魔法省の体制に屈せず、逃亡の道を選んだことから、強い意志と勇気を持っていたことがうかがえる。彼と行動を共にしたディーン・トーマスは、「ポッターウォッチ」の中で彼を「本当にいい人だった」と評している。

テッド・トンクスは有能な魔法使いであった。作中で彼が戦闘する場面はないが、以下の点からその能力が示唆される。

  • 治療魔法: ハリー・ポッターが受けた様々な傷(折れた歯や毒触手草による刺し傷)を迅速かつ的確に治療した。
  • サバイバル能力: 数ヶ月にわたり、人さらい死喰い人の追跡をかわしながら逃亡生活を続けたことは、隠密行動や防御魔法に長けていたことを示している。

彼のの仕様(木材、芯、長さ)については、原作に記述がないため不明である。

  • Ted (テッド): 一般的に Edward (エドワード) の愛称。
  • Edward (エドワード): 古英語の “Eadweard” に由来し、「裕福な、祝福された守護者」を意味する (“ead” は「富、幸運」、“weard” は「守護者」)。彼の親切で保護的な性格と一致している。
  • Tonks (トンクス): 一般的なイギリスの姓であり、特別な魔法的な意味合いはない。これは彼のマグル生まれという出自を反映している可能性がある。
  • テッドの本名が エドワード・トンクス (Edward Tonks) であることは、J.K. ローリングが公開したブラック家の家系図、および公式サイト Pottermore で明かされている。
  • 映画版『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』では、トンクス夫妻の家でハリーを看護する場面は大幅に短縮されている。また、彼の死は「ポッターウォッチ」の放送ではなく、隠れ穴でリーマス・ルーピンの口から語られる。(映画版設定)