アポリーヌ・デラクール

アポリーヌ・デラクールは、フランス出身の魔女であり、フラー・デラクールガブリエル・デラクールの母親です。彼女は部分的にヴィーラの血を引いており、そのことに由来する驚くべき美貌で知られています。物語の中では、主に娘たちを支える優雅で愛情深い母親として登場し、三強対抗試合ビル・ウィーズリーとフラーの結婚式といった重要な場面で姿を見せます。

アポリーヌが物語に初めて登場するのは、1995年、ホグワーツ魔法魔術学校で開催された三強対抗試合の第三の課題の時です。彼女は夫のデラクール氏と共に、ボーバトン魔法アカデミー代表選手である長女フラーを応援するためにホグワーツを訪れました。ハリー・ポッターは、彼女とフラーが共有する、人間離れした美しさに気づき、それが彼女たちのヴィーラの血筋によるものであることを理解しました。

1997年8月1日、アポリーヌは夫と共に陋居で行われたビル・ウィーズリーフラー・デラクールの結婚式に出席しました。彼女は結婚式の準備においてモリー・ウィーズリーを手伝い、魔法で金色の大きな泡をたくさん浮かべて式場のテントを飾るなど、その優れた魔法の腕前を披露しました。式の間、彼女は優雅でありながらも、第二次魔法戦争の暗い影が迫る中、娘たちの身を案じる母親としての一面も見せました。

アポリーヌは、腰まで届く長い金髪を持つ、息をのむほど美しい女性として描かれています。彼女の美しさはヴィーラの血統に由来するものであり、その魅力は長女のフラーにも色濃く受け継がれています。彼女の立ち居振る舞いは常に優雅です。

彼女は物腰が柔らかく、洗練されたフランス人魔女です。家族への愛情が深く、特に二人の娘に対しては非常に協力的で、心配りを欠かしません。ウィーズリー家の素朴な生活様式に少し戸惑いを見せる場面もありましたが、モリー・ウィーズリーとは礼儀正しく協力的な関係を築きました。全体として、彼女は気品があり、落ち着いた性格の持ち主です。

アポリーヌは有能な魔女です。彼女が披露した最も顕著な魔法は、ビルとフラーの結婚式で使われた装飾魔法です。彼女は杖を軽く振るだけで、石鹸玉のような金色の大きな泡を無数に作り出し、テントの天井を満たしました。このことから、彼女が高度な呪文、特におそらくは無言呪文に長けていることが示唆されます。

物語の中で、アポリーヌ・デラクールが所有する特筆すべき魔法の品は言及されていません。

  • デラクール氏: アポリーヌの夫であり、共に娘たちを支える良きパートナーです。二人はいつも一緒に行動しており、仲睦まじい様子が描かれています。
  • フラー・デラクール: 彼女の長女。アポリーヌはフラーを深く愛しており、彼女の人生の重要な節目には必ず寄り添い、サポートします。
  • ガブリエル・デラクール: 彼女の次女。フラーと同様に、深い愛情を注いでいます。
  • ウィーズリー家: フラーがビル・ウィーズリーと結婚したことによる姻戚関係です。特にモリー・ウィーズリーとは、文化的な違いを感じさせつつも、結婚式の準備を通じて協力し合い、良好な関係を築きました。
  • アポリーヌ (Apolline): ギリシャ神話の光と芸術、そして美の神であるアポローン (Apollo)に由来するフランス語の女性名です。これは彼女のヴィーラとしての美しさを象徴していると考えられます。
  • デラクール (Delacour): フランス語で「de la cour」と書き、「宮廷の」や「法廷の」を意味します。これは彼女の家族が持つ、高貴で洗練されたイメージを示唆しています。
  • 映画『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』では、ビルとフラーの結婚式の場面にアポリーヌ・デラクールがカメオ出演していますが、台詞はありません。この役は女優のソフィー・ヘイマン (Sophie Heyman) が演じました。(映画設定)