マリエッタ・エッジコム

マリエッタ・エッジコム (Marietta Edgecombe) は、ホグワーツ魔法魔術学校レイブンクロー寮に所属していた女子生徒で、ハリー・ポッターより一学年上級生でした。彼女はチョウ・チャンの親友として知られています。物語における彼女の最も重要な役割は、ドローレス・アンブリッジの圧力に屈し、秘密防衛術の勉強会であるダンブルドア軍団を裏切ったことです。この裏切り行為により、ハーマイオニー・グレンジャーが名簿の羊皮紙に仕掛けた強力な呪い「告げ口屋の呪い」が発動し、彼女の顔には「告げ口屋」(SNEAK) という文字が消えないニキビで刻まれました。

マリエッタのホグワーツでの生活について、5年生までは詳しい記述はありません。彼女の物語は、主にハリー・ポッターと不死鳥の騎士団で展開されます。 親友であるチョウ・チャンに誘われ、彼女はしぶしぶダンブルドア軍団 (D.A.) に参加しました。最初の会合から、彼女はヴォルデモート卿の復活を公言するハリー・ポッターの主張に懐疑的な態度を示し、活動に積極的ではありませんでした。 彼女の母親であるマダム・エッジコムは魔法省煙突飛行ネットワーク管理局で働いており、アンブリッジは彼女の母親の職を脅かすことでマリエッタに圧力をかけました。家族を失うことを恐れたマリエッタは、ついに屈服し、ダンブルドア軍団の存在と会合場所である必要の部屋についてアンブリッジに密告しました。 密告直後、ハーマイオニー・グレンジャーがD.A.の署名リストに施していた呪いが発動しました。マリエッタの顔中に、紫色の醜いニキビが浮き出て「告げ口屋」という文字を形成しました。この呪いは非常に強力で、マダム・ポンフリーですら完全には治癒させることができませんでした。 アンブリッジはマリエッタをアルバス・ダンブルドアの校長室へ連れて行き、証言させようとしました。しかし、その場にいたキングズリー・シャックルボルトが密かに彼女に錯乱呪文 (Confundus Charm) をかけたため、彼女の証言は支離滅裂になり、法的な証拠としての価値を失いました。にもかかわらず、ダンブルドアは自ら責任を負い、ホグワーツを去ることになりました。 この事件後、マリエッタは自分の顔を髪や厚い化粧で隠そうとしましたが、ニキビの跡は消えませんでした。学年末のホグワーツ特急の車内でも、彼女が顔を隠している様子が描かれています。この裏切りは、ハリーチョウの関係が破綻する一因ともなりました。

  • 外貌: 原作では、赤みがかった金髪のカーリーヘアを持つ少女として描写されています。ダンブルドア軍団を裏切った後は、彼女の最も顕著な外見的特徴は、顔にニキビで刻まれた「告げ口屋」の文字となりました。
  • 性格: 彼女は意志が弱く、強い圧力の下で簡単に屈してしまう性格として描かれています。彼女は本質的に悪意があったわけではなく、むしろ恐怖心と母親の身を案じる気持ちから裏切りに至りました。ダンブルドア軍団への参加も自発的なものではなく、チョウに強く勧められたためであり、当初から強い信念を持っていませんでした。

マリエッタの特筆すべき魔法能力については、作中で具体的に描写されていません。ダンブルドア軍団の一員として、彼女は武装解除呪文盾の呪文といった基本的な防衛呪文を学びましたが、その習熟度は不明です。彼女の魔法レベルは、一般的なホグワーツの生徒の平均的なものだったと考えられます。

  • チョウ・チャン: マリエッタの最も親しい友人。チョウはマリエッタをD.A.に誘い、彼女が裏切った後でさえ「彼女は良い子だけど、ただ間違いを犯しただけ」と擁護しました。この擁護が、ハリーとの関係に亀裂を入れる原因となりました。
  • ハーマイオニー・グレンジャー: 「告げ口屋の呪い」の考案者であり、実行者。ハーマイオニーの容赦のない魔法は、彼女の友人への忠誠心の強さと、裏切り者に対する厳格な姿勢を物語っています。
  • ドローレス・アンブリッジ: マリエッタの弱みにつけこみ、彼女を裏切り者にした張本人。アンブリッジは、自身の目的のためなら生徒を脅迫することも厭わない冷酷な性格を示しました。
  • マダム・エッジコム: マリエッタの母親。魔法省での彼女の立場が、マリエッタが裏切る直接的な動機となりました。
  • Marietta: 「Maria」の愛称形。ヘブライ語の「Miryam」に由来し、「苦い海」「反抗」あるいは「望まれた子供」など、様々な意味が考察されています。「苦い」や「反抗」(この場合は裏切り)といった意味は、彼女のキャラクターと関連があるかもしれません。
  • Edgecombe: イギリスのデヴォン州にある地名に由来する姓で、「尾根の上の谷」を意味します。キャラクターの性格との直接的な関連性は不明です。