クルミは、ハンサムな外見を持つ杖木として知られています。(Pottermore) J・K・ローリングの著作によれば、クルミ材は非常に知性の高い性質を持ち、杖の持ち主となる魔法使いや魔女にも高い知性を求めます。この杖木は、所有者が十分に聡明であれば、所有者が望むあらゆる魔法を忠実に実行する能力があります。 しかし、知性が平均以下の者がこの杖を使おうとすると、杖は力を発揮せず、所有者との間に魔法的なつながりを築くことが難しいとされています。(Pottermore)
クルミの杖は、魔法の発明家や革新者といった、非常に聡明な人物を新たな所有者として求める傾向があります。(Pottermore) 一度所有者と絆を結ぶと、クルミの杖は非常に忠実で、他の杖木のように簡単には心変わりしません。しかし、この杖は元の所有者から力ずくで奪われた場合、「征服」される可能性があります。その場合、杖は新たな所有者の道徳観や命令に従うようになります。 クルミの杖自体には良心がなく、冷酷で良心を持たない者の手に渡ると、いかなる闇の魔術でも躊躇なく実行するため、非常に危険な武器となり得ます。この特性は、死喰い人であるベラトリックス・レストレンジがクルミの杖を効果的に使いこなしていた事実によって証明されています。
物語で最も有名なクルミの杖は、ベラトリックス・レストレンジが所有していたものです。この杖はクルミ材とドラゴンの心臓の琴線を芯材に持ち、長さは12と4分の3インチ、頑固な性質を持っていました。 ベラトリックスはこの杖を用いて、ネビル・ロングボトムの両親であるフランク・ロングボトムとアリス・ロングボトムに対する許されざる呪いの一つ、磔の呪いを使用するなど、数々の残虐な行為を行いました。また、第二次魔法戦争中、マルフォイの館でハーマイオニー・グレンジャーを拷問した際にもこの杖が使われました。 1998年、マルフォイの館での戦闘の末、この杖はハリー・ポッターによってベラトリックスから奪われました。その後、ハーマイオニー・グレンジャーが自身の杖を失ったため、一時的にこのクルミの杖を使用していましたが、彼女が正当な所有者ではなかったため、その性能を完全に引き出すことはできませんでした。
クルミの杖は、シリーズで最も冷酷な悪役の一人であるベラトリックス・レストレンジの邪悪さと強力な魔法能力を象徴するアイテムとして機能します。杖そのものに良心がないという設定は、所有者の意志を純粋に増幅する道具としての杖の性質を浮き彫りにしています。 また、この杖がハリー・ポッター一行に奪われる出来事は、死の秘宝における「杖の忠誠心」という重要なテーマを具体的に示す一例となります。杖が元の所有者から奪われることで忠誠心が移るというルールは、物語のクライマックスでニワトコの杖の所有権をめぐる謎を解く上で決定的な伏線となりました。