グロウプは、ルビウス・ハグリッドの異父弟にあたる純血の巨人です。彼は他の巨人たちから、その比較的小柄な体格(約16フィート)が原因でいじめられていました。ハグリッドによってイギリスへ連れてこられ、当初は禁じられた森に隠されていましたが、物語が進むにつれて次第に文明的な振る舞いを身につけ、第二次魔法戦争ではホグワーツの防衛側として戦いました。彼の存在は、家族の絆というテーマと、見た目や出自によらない個人の成長の可能性を象徴しています。
グロウプは、巨人のフリドウルファと、彼女がハグリッドの父と別れた後に結ばれた別の巨人との間に生まれました。彼は山岳地帯の巨人の集落で暮らしていましたが、巨人としては小柄であったため、他の巨人たちから絶えずいじめを受ける日々を送っていました。 1995年、アルバス・ダンブルドアの命を受けて巨人との交渉に赴いたルビウス・ハグリッドとマダム・マクシームは、そこで孤立していたグロウプを発見します。母親を同じくする唯一の家族であるグロウプを見捨てられなかったハグリッドは、彼を密かにホグワーツの近くにある禁じられた森へと連れて帰ることを決意しました。
ハグリッドはグロウプを森の奥深くに匿い、英語や礼儀作法を教えようと試みました。当初、グロウプは非常に乱暴で、ハグリッドの言うことを聞かずに木を引き抜いては振り回すなど、野性的な行動が目立ちました。ハグリッドは、自分が魔法省によってホグワーツを追われた際のことを案じ、ハリー・ポッター、ロン・ウィーズリー、そしてハーマイオニー・グレンジャーにグロウプの世話を託します。 その後、ドローレス・アンブリッジがハグリッドを襲撃した際、森へ逃げ込んだハリーとハーマイオニーは、アンブリッジをケンタウルスの群れへとおびき寄せます。その騒ぎの中でグロウプも姿を現し、ケンタウルスたちの注意を引いたことで、結果的にハリーたちが難を逃れる一因となりました。
翌年には、グロウプはハグリッドの教育の成果もあって著しく落ち着き、より文明的な振る舞いを見せるようになります。彼は禁じられた森を出て、ホグズミード村の近くにある山腹の洞窟で暮らすようになりました。アルバス・ダンブルドアの葬儀にも参列し、悲しみにくれるハグリッドを慰める姿が見られました。 1998年のホグワーツの戦いでは、グロウプはヴォルデモート卿側に付いた他の巨人たちと勇敢に戦い、ホグワーツを防衛する側として貢献しました。
グロウプの身長は約16フィート(およそ4.9メートル)で、巨人の基準では非常に小柄です。彼の頭は不格好な灰色の巨石のようで、体とのバランスが取れていません。肌は緑がかった色合いで、歯は黄色く、目は小さなくすんだ茶色をしています。 当初の彼の性格は、非常に野性的で暴力的、そして知能も低いように見えました。言葉はほとんど話せず、「ハガー」(ハグリッド)、「ハーミー」(ハーマイオニー)、そして自分の名前など、いくつかの単語しか理解できませんでした。しかし、物語を通じて彼は大きな成長を遂げ、より穏やかで思慮深い一面を見せるようになります。特に、自分に辛抱強く接してくれたハーマイオニー・グレンジャーには特別な愛着を抱いていました。
グロウプは巨人の血を引いているため、魔法は使えませんが、それを補って余りあるほどの驚異的な身体能力を持っています。
「グロウプ (Grawp)」という名前は、彼が発するうなり声や原始的な音を模したオノマトペ(擬音語)である可能性が高いです。これは、彼の初期の文明化されていない状態と、限られた言語能力を反映しています。ハグリッドが彼の発する音を聞いて名付けたと考えられます。