三大魔法学校対抗試合の優勝杯は、その名の通り、三校対抗試合の勝者に授与されるための、眩いばかりに輝く大きな銀色の杯です。両側には優美な取っ手がついており、全体として非常に精巧な作りをしています。作中の描写によれば、杯の内側からは穏やかで心地よい黄金色の光が絶えず放たれていました。 1995年の第三の課題では、この優勝杯はホグワーツの巨大迷路の中心にある台座の上に置かれ、最初にたどり着いた三大魔法学校対抗試合の代表選手が手にすることになっていました。
この優勝杯の本来の目的は、数百年に一度開催される伝説的な魔法使いの競技会、三大学校対抗試合の栄光と勝利を象徴するトロフィーとして機能することです。 しかし、1994年から1995年にかけて開催された大会では、この杯はヴォルデモート卿の計画の一環として、バーテミウス・クラウチ・ジュニアによって不正に強力な門戸キーへと作り変えられました。この改造により、杯は以下のような特殊な魔法特性を持つことになりました。
優勝杯は、約700年前に始まった三大学校対抗試合の創設以来、その最高の名誉として存在していました。しかし、大会が死者の多さから数世紀にわたって中断されたため、この杯も長く公の場に姿を現すことはありませんでした。 1994年、大会が再開されると、優勝杯は再びその姿を現しました。しかし、この大会における優勝杯の歴史は悲劇的なものとなります。ヴォルデモート卿の復活計画の重要な道具として選ばれ、バーテミウス・クラウチ・ジュニアがアラスター・ムーディになりすましてホグワーツに潜入し、第三の課題が始まる直前に杯を門戸キーに改造しました。 最終的に、ハリー・ポッターとセドリック・ディゴリーが同時に杯に触れたことで、二人はリトル・ハングルトンの墓地へ転送されました。この出来事がセドリック・ディゴリーの死と、ヴォルデモート卿の完全な復活へと直結しました。
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』において、この優勝杯は物語の中心的な役割を担う重要なマクガフィンです。当初は、各校の代表選手たちが目指す栄光の象徴として描かれますが、物語のクライマックスでその真の役割が明らかになります。 優勝杯は、読者と登場人物たちの期待を裏切る「罠」として機能します。栄光のゴールであるはずのものが、死と絶望が待ち受ける場所への入り口であったというどんでん返しは、物語に深刻な転換点をもたらしました。この杯をめぐる一連の出来事を通じて、魔法界はヴォルデモート卿の帰還という避けられない事実を突きつけられ、第二次魔法戦争の幕開けを告げることになります。