門戸キー
基本信息
記述と外観
門戸キーは、意図的に目立たない、ありふれた日用品の姿をしている。これは、何も知らないマグルが誤って拾い上げて使用してしまうのを防ぐためである。作中では、以下のような様々な物体が門戸キーとして登場した。
- 古くて臭いブーツ (炎のゴブレット)
- 黒く焦げた古い薬缶 (不死鳥の騎士団)
- しわくちゃのポテトチップスの袋 (炎のゴブレット)
- さびた空き缶 (炎のゴブレット)
- ゴムの鶏 (ハリー・ポッターと呪いの子、舞台劇脚本)
門戸キーが作動する直前、それは青白い光を放ち、かすかに振動を始める。
魔法の特性と用途
門戸キーは、一人または複数の魔法使いを、あらかじめ設定された特定の場所へ、特定の時間に瞬時に移動させるための魔法道具である。使用者は作動時刻に門戸キーに触れている必要がある。 移動が始まると、使用者はへその裏側から見えない鉤で強く引っ張られるような感覚を覚え、色と音の渦の中に巻き込まれる。移動中の感覚は極めて不快であり、多くの者が着地時に転倒したり、吐き気を催したりする。 門戸キーの作成には「ポルトゥス」という呪文が必要である。これは高度な魔法であり、その作成は魔法省の魔法交通局に属する門戸キー認可課によって厳しく規制されている。無許可で門戸キーを作成することは違法である。門戸キーは片道通行にも往復通行にも設定することができる。
歴史
門戸キーが物語で初めて登場したのは、ハリー・ポッターが2年生の夏休み明け、ウィーズリー一家やディゴリー一家と共にクィディッチ・ワールドカップ会場へ向かう場面である。この時使用されたのは、丘の上に置かれた古いブーツだった。 最も重要な門戸キーは、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』に登場する三大魔術の杯である。バーティ・クラウチ・ジュニアは三大魔法学校対抗試合の優勝杯に密かに魔法をかけ、ホグワーツの敷地外へ移動できる門戸キーに作り変えた。これにより、杯に触れたハリー・ポッターとセドリック・ディゴリーはリトル・ハングルトンの墓場へ強制的に移動させられた。この門戸キーは往復設定になっていたため、ハリーはヴォルデモート卿から逃れる際に杯を使い、ホグワーツへ帰還することができた。 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』では、アルバス・ダンブルドアがその場で門戸キーを作成する卓越した能力を二度見せている。一度目はアーサー・ウィーズリーがナギニに襲われた後、ハリーとウィーズリー家の子供たちを校長室からグリモールド・プレイス12番地へ送るため。二度目は神秘部の戦いの後、ハリーを魔法省からホグワーツへ安全に送り返すためであった。 『ハリー・ポッターと死の秘宝』では、「七人のポッター」作戦において、不死鳥の騎士団のメンバーが各々の目的地へ移動するための主要な手段として複数の門戸キーが使用された。
物語における役割
門戸キーは、物語において重要なプロット装置としての役割を担っている。初期には、幻影顕現ができない未成年の魔法使いや、長距離を大人数で移動するための便利な手段として描かれる。 しかし、『炎のゴブレット』でその役割は一変する。本来は安全な移動手段であるはずの門戸キーが、敵の策略によってハリーを危険な罠へとはめるための道具として悪用された。この出来事は、魔法界の日常的な道具がいかに容易に武器となりうるかを示し、物語の緊張感を一気に高めた。三大魔術の杯が門戸キーであったという事実は、シリーズ全体の転換点であるヴォルデモートの復活を直接引き起こす原因となった。 また、ダンブルドアが緊急時に即座に門戸キーを作成する場面は、彼の計り知れない魔法の腕前を読者に示す象徴的なシーンとなっている。