ウィーズリーのワイルド・ファイア・ウィズ=バン
基本情報
- タイプ (Type): 魔法のいたずら道具、花火
- 製造者 (Maker): フレッド・ウィーズリーとジョージ・ウィーズリー
描写と外見
ウィーズリーのワイルド・ファイア・ウィズ=バンは、ウィーズリー・ウィザード・ウィーズが開発した、非常に強力で壮観な魔法の花火製品である。この製品ラインには、比較的安価な「基本セット」(Basic Blaze) と、より高性能な「デラックス・セット」(Deluxe Detonator) が含まれている。 これらの花火は、一度点火されると、単に爆発して消えるのではなく、生命を宿したかのような振る舞いを見せる。ピンクやオレンジ色の火花を散らしながら、実物大の燃え盛るドラゴンや、きらめく鳥、巨大な火花のコウモリといった様々な姿に変化し、空中を飛び回る。また、一部は巨大な線香花火やロケットのように振る舞い、廊下を猛スピードで駆け抜ける。その光景は極めて騒々しく、視覚的にも圧倒的である。
魔法の特性と用途
この花火の最も顕著な特性は、その驚異的な持続力と、除去に対する強い抵抗力である。通常の魔法ではほとんど効果がないように設計されている。
- 除去呪文への耐性: 消失呪文(エバネスコ)をかけると、消えるどころか数が10倍に増殖する。
- 攻撃呪文への反応: 失神呪文(ステューピファイ)を当てると、より激しく爆発し、被害を拡大させる。
- 自律的な動き: これらの花火は自律的に動き回り、特定の標的(例えば、ドローレス・アンブリッジ)を執拗に追いかける能力を持つ。
主な用途は、壮大な娯楽を提供すること、そして権威的な支配に対する大規模な混乱と反抗の手段として活用されることである。その除去の困難さから、一度放たれると長期間にわたって混乱を引き起こすことができる。
歴史
ウィーズリーのワイルド・ファイア・ウィズ=バンは、フレッドとジョージ・ウィーズリーがホグワーツ魔法魔術学校在学中に開発した、数多くのいたずら道具の一つである。開発資金は、ハリー・ポッターが三大魔法学校対抗試合で得た賞金千ガリオンを双子に譲渡したことで賄われた。 卒業後、双子はダイアゴン横丁に開店した自分たちの店、ウィーズリー・ウィザード・ウィーズの主力商品としてこの花火を販売し、大きな成功を収めた。
物語における役割
この魔法の道具は、特に『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』において象徴的な役割を果たす。ドローレス・アンブリッジがホグワーツ高等尋問官、さらには校長として学校を圧政的に支配する中、フレッドとジョージ・ウィーズリーはO.W.L.試験の最中にこの花火を校内で一斉に解放した。 この行為は、アンブリッジの権威に対する公然たる反逆であり、彼らのホグワーツからの劇的な退学のクライマックスを飾った。花火は何日にもわたって校内を混乱させ、アンブリッジやアーガス・フィルチですら手出しできなかった。最終的に、呪文学の専門家であるフィリウス・フリットウィック教授がほとんどを始末したが、彼は双子の魔法の才能に敬意を表し、「見事な魔法だ!」と称賛して、一つだけ魔法で箱に閉じ込め、記念として残した。この事件は、アンブリッジ支配下にあったホグワーツの生徒たちにとって、希望と抵抗の象徴となった。
幕后情報
- 映画版『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』では、この花火が解放されるシーンが視覚的に華々しく描かれている。特に、巨大なドラゴンの形をした花火がアンブリッジを追い回し、彼女が制定した数々の「教育令」の額縁を破壊していく様子は、原作の精神を反映した象徴的な演出となっている。(映画設定)